第99話 サーロインステーキを食べて英気を養いますわ
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今回は害獣ウサギ回です!
「広いですわねぇ……」
「広いねぇ、シャーロットお姉さん」
シルバーベインの街についたワタクシ達は、明日の下見をしに来ているのですわ。
ワタクシの目の前には、見渡す限り一面の荒野が広がっていますわ。
そして後ろには、シルバーベインの街が立っていますわ。
街の防壁は上から見ると半円状の形になっていて、各所に門が設けられていていますわ。
モンスタースタンピードに備えて作られたこの街は、王国最南端に位置していて隣の国と面していますの。
国境は今目の前にあるとてつもなく広い荒野の真ん中にある……のですが、この荒野に住んでいるのはモンスターさんだけ。資源も何もなく、両国とも開拓する予定がないただただ広いだけの土地ですわ。
そして、この荒野に生息するモンスターさんたちが突如一斉に街へ押し寄せてくるのがモンスタースタンピードですわ。
荒野からワタクシ達の住む王国中心部を守るように、シルバーベインの街が立ち塞がっておりますわ。
飾り気はありませんけれども、作りはとても頑健ですわ。街を行き交う人たちも、イキイキしてエネルギーに満ち溢れてらっしゃいますの。
モンスターさんの群れがこの街にやってくるのは明日。どんなモンスターさんたちとお会いできるのか楽しみですわ!
ワタクシ達は受付のためにレストラン”冒険者ギルド”の支店へ向かいますわ。
「この街の支店も、ずいぶん立派ですわね……」
プラチナ昇級試験を受けたミウンゼルの街の支店も立派でしたけれども、この街の建物も立派ですわ。
ワタクシ達はカウンターのウェイトレスさんに話しかけますわ。
「シャーロット・ネイビー御一行様ですね。お待ちしておりました。プラチナカード所有者が3人と伺っております。大変心強いです。明日はよろしくお願いしますね」
ウェイトレスさん、なんだか嬉しそうですわ。
ちなみに、アリシアさんはポイントカードを数日前に作ったばかりでまだブロンズランクとのことですわ。
「シャーロット御一行様は、明日正門前に配置となります。最も多くモンスターが押し寄せる場所ですが、問題はありませんでしょうか?」
「まぁ、それは嬉しいですわ」
「『嬉しい』ですか!? 『怖い』とかではなく!?」
「ええ。どんなモンスターさんとお会いできるのか、ワクワクしておりますわ」
「ワクワク!?」
ウェイトレスさん、なんだか大層驚いてらっしゃいますわ。
「……すみません、取り乱してしまいました。まるで明日食べ放題のビュッフェにでも行くかのようなその様子。とても貫録を感じます。あなたほどの方が来てくださって本当に頼もしいです」
ウェイトレスさんが、ワタクシの手を固く握りますわ。
こうしてワタクシ達はモンスタースタンピードの受付を済ませましたわ。
そのときワタクシは、見覚えのある人の姿を見つけましたわ。白いドレス姿の若い女性と、中年女性の二人組。ワタクシの街に結界を張り直してくださった聖女様と、その隣にいらっしゃった女性ですわ。後ろには剣を帯びた護衛の方もたくさんついてきておりますわね。
どうやら、あのお二人も何かの手続きをしにいらっしゃったご様子。
「シャーロットさん、聖女さんもモンスタースタンピードに参加することがあるんだ。モンスタースタンピードのモンスターは普段と違って凄く積極的に人や街を襲いにくるんだけど、それでも聖女様の結界があると何割かのモンスターは街に入らず引き返しちゃうんだ」
と、ユクシーさんが教えてくださいましたわ。そしてアリシアさんは。
「出たわね、クソババァ」
と露骨に嫌そうな顔をなさいますわ。
「出会ったら何が起きるって訳じゃないけど。顔を合わせたくないわ」
そういってアリシアさんは、ワタクシの陰に隠れなさいましたわ。
(聖女と一緒にいるあのセレスティアってババァ。あいつが聖女の一族の現当主で、【黒の聖女】のギフトを授かったアタシを追放したのよ)
アリシアさんがワタクシの耳元で囁きなさいますわ。
(大丈夫。何も手出しはさせないさ。いざとなったら、僕がこの仮面を外して権力の力で守ってみせる。それに、ギフトを理由に追放とは。あとで王家の方から追求するように手配しておこう)
そう小声で仰る殿下は、いつになく頼もしいですわ。
セレスティアさんと聖女様は何かカウンターで手続きをした後、去っていきましたわ。
「さて皆様。気を取り直して、ちょっとお高いレストランにでも行って晩御飯にいたしましょう!」
モンスタースタンピードが始まるのは明日。今日は美味しいものを食べて宿でゆっくりと休んで英気を養いますわ。
ワタクシ達は奮発して、街の最高級レストランに入りましたわ。先日のブレイズオパールの収入がありますので、財布のひもも緩んでしまうというものですわ。
4人全員でレストラン最上階の席に着くと、窓から街の綺麗な夜景が見渡せましたわ。
頼んだのはコースメニュー。今日のメインはブランド牛のサーロインステーキとのこと。楽しみですわ~!
「こちら、アミューズのフェアリーハーブのゼリーでございます」
「まぁ、美味しそうですわ」
「美味しそうだね、シャーロットお姉さん!」
そして口に運ぶと、素晴らしいお味でしたわ!
そして前菜、スープ、魚料理が運ばれてきまして。いよいよ次がメインのお料理。
期待が高まりますわ~!
そのとき。
「おい。お前が、シャーロット・ネイビーか」
突然、大柄な殿方が声を掛けてこられましたわ。背中には、食事の場には似つかわしくない大きな剣を背負ってらっしゃいます。後ろには、同じく剣や弓を持った方が数人立っておられますわ。
「俺たちは”紅い餓狼”。全員がゴールドランク以上の超実力派パーティーだ。モンスタースタンピードではこれまで毎回正門前に配置されてきた。それが今回、モンスタースタンピード初参加のお前達が正門前配置だと!? 納得できねぇ。お前達ごときにそんな実力有るはずねぇ、ワイロでも渡したんだろ!」
なんだか、怒ってらっしゃいますわ。
「お客様。他のお客様のご迷惑になりますので店内ではお静かに願います」
サーロインステーキを持ってきてくださったウェイトレスさんが、後ろからたしなめますわ。
しかし。
「うるせぇ、引っ込んでろ!」
”ドンッ!”
怒った殿方がウェイトレスさんを突き飛ばしますわ! そしてワタクシのメイン料理がも宙を舞いますわ。
「いけませんわ! ”タイムストップ”ですわ!」
ワタクシ反射的に時間を止めて。宙を舞うサーロインステーキをお皿でキャッチ。それと体勢を崩したウェイトレスさんを抱き起こして転ばないように体勢を立て直しますわ。
そして時間が動き出すと。
「!? てめぇ、いつの間にそんなところに料理の皿を持って立ってやがる……! というか、マジで動きがみえなかったぞ……!」
さっきまで怒っていらした殿方、今は混乱してらっしゃる様子ですわ。
「俺の目に映らない一瞬の間に、立ち上がって宙に舞った料理を皿でキャッチ。しかも、椅子を引く音さえ立てなかった。一体、どれほどのスピードと技術があればそんなことが出来るんだ……!」
殿方、膝から床に崩れ落ちますわ。
「今の俺じゃ、アンタに実力でまるで及ばない……! 無礼を働いたこと、どうかお許し願いたい」
殿方が深く頭を下げると、後ろにいた方々もそれにならいますわ。
「そしてウェイトレスさん。貴方にもご迷惑をおかけした。大変申し訳ない」
ウェイトレスさんにも深々と頭を下げた後。
「全員、身も心も一から鍛え直しだ。超実力派パーティーなんて浮ついた称号は捨てて、初心に返って出直そう」
と言って去ってしまいましたわ。
「話を聞かない方々ですわね……。ワタクシはスピードで動いたのではなく、ただ単に時間を止めただけだとお伝えしようと思いましたのに」
「やめときなさいよ。余計混乱させるだけだから」
魚料理を切り分けながらアリシアさんが言いますわ。
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