第94話 暑いときにはカレーが一番ですわ
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今回は短いオマケ回となっております。受付嬢がイキイキしている回です~!
「暑いですわ~」
ワタクシ今、ユクシーさんアリシアさんと火山地帯に来ておりますわ。
エイゾフ火山。街から馬車を乗り継いで2日ほどかかる場所にあるダンジョンですわ。中には未開拓の火山洞もあり、大型モンスターさんが沢山生息するそうですわ。
「エイゾフ火山は別名宝石の海って呼ばれる位宝石が沢山とれる火山なんだ。今回はここで荒稼ぎしようよ!」
というユクシーさんの提案でここまでやってきたのですわ。
ワタクシはたくさんものを持ち運べるスキル”アイテムボックス”が使えますわ。採掘した宝石をアイテムボックスにしまっておけば、一度に沢山運ぶことが出来る、というのがユクシーさんの計画ですわ。
「シャーロットお姉さんは、お金が沢山手に入ったら何に使うの?」
「そうですわね……。ワタクシは、今住んでいるお家はお兄様から借りている物ですから、まずは自分のお家を買って……。庭に新鮮な卵を手に入れるための鶏小屋も作って……。あと、高級レストランに行くのに使いますわ!」
「アタシも、家を追い出されたばっかりで今は宿に泊まってる状態だから、大金が入ったら住むところをしっかり確保したいわね。ユクシーは?」
「私はもちろん、病院でリハビリ中の妹のために使うよ。今妹がリハビリしてる病院、お医者さんの腕はいいんだけど、建物が古くなってきてるんだ。そんなところにずっとエレナを置いておくわけにもいかないから、病院に寄付して建物を新しくきれいにしてもらおうと思って」
「アンタ一体妹にいくらお金かけるつもりなのよ! そんなことしてたら、いくらお金があっても足りないでしょ」
「うん、そうなんだ。だからとにかく沢山お金を稼ぎたいんだ!」
ユクシーさん、燃えてらっしゃいますわ。
そんな風に話をしながら、ワタクシ達は暑い山を登っていきますわ。
「ここで一度休憩にいたしましょう。はい、お水ですわ」
近くにあった岩に腰掛けて、アイテムボックスから出したお水をお二人に渡しますわ。
「ありがとう、シャーロットお姉さん。アイテムボックスがあると、こういう厳しい環境でも楽々探索できるね!」
「いや、水が飲み放題でもこの山を登るのは全然楽じゃないけど? この山の斜面キツすぎなのよ!」
「アリシアさんと同じ意見ですわ。ワタクシも凄く疲れておりますわ」
「さぁ、出発しよう!」
ユクシーさん、もう立ち上がって歩き出そうとしますわ。
「ちょっと待ってよ、まだ1分も休んでないじゃないの! もっと休まないと身体が持たないわよこの体力お化け!」
「ユクシーさんの体力お化けですわ~」
「た、体力お化けじゃないよ! 一般的な冒険者の範囲だよ!」
等とおしゃべりして、たっぷり休んでからワタクシ達は登山を再開しましたわ。
そしてしばらく歩いていると。
「あら、あんな所にモンスターさんがいらっしゃいますわ」
1体のモンスターさんがこちらへ向かってものすごい勢いでやってきますわ。
「毛皮が燃えてらっしゃいますわ……!?」
突進してくるのは立派なツノの生えた雄牛さん。背中の毛皮が燃えていて、近づくだけで暑そうですわ。ご自分で熱くないのでしょうか?
「あれは”フレイムバッファロー”だよシャーロットお姉さん! 近づくとそれだけで火傷しちゃうから私は手が出せないな。シャーロットお姉さんの魔法にお任せするね!」
「わかりましたわ」
しかし正直なところ、今ワタクシは暑さで食欲が落ちておりますの。ガッツリとしたお肉系ではなく、サラダなどのあっさり系やシャーベットなどの冷たい系が食べたいというのが本音ですわ。
「見るからに水属性に弱そうな見た目してるわね。アレなんかいいんじゃない? ゴーレムの森で、船を勢いよく動かしたあの水を噴き出す魔法」
「ご提案ありがとうございますアリシアさん。でも、今回は別の魔法を使わせてくださいまし」
“ウォーターショット”でフレイムバッファローさんを倒しても、きっとお料理にはなりませんもの。
やはりここは、火を通してお料理にするのが一番ですわ!
フレイムバッファローさんが、角を突き出して突進してきますわ。
そこへ
「“プチファイア”ですわ」
火の塊をぶつけますわ!
“ブモオオオオオオオォ!”
フレイムバッファローさんが炎に包まれますわ。
「火を纏うモンスターを火属性魔法一撃で倒す……まぁ、アダマンタイトゴーレムを一撃で倒すアンタを常識で考えちゃいけないわよね。アンタが何やってもアタシは驚かないわよ」
炎が消えて、フレイムバッファローさんのお料理が出てきますわ。今回のお料理は――
「ビーフカレーですわ!」
「何それ!? モンスターを倒したら料理になるってこと!?」
「早速驚いてるよアリシアさん。これがシャーロットお姉さんのギフトの力なんだ。最初見た時私もびっくりしたなぁ」
今回出てきたカレーは3皿。ちゃんとアリシアさんの分もありましたわ。ワタクシ、安心致しましたわ。
「早速いただきましょう!」
岩の影に移動して、テーブルと椅子を用意。さぁ、食事の支度が整いましたわ。
「「「いただきます!!」」」
パクリ。
これは……!
燃えるような辛さ! しかし、それが食欲を掻き立てるのですわ!
ワタクシ先ほど“暑くて食欲が落ちている”と言いましたかしら?
嘘ですわ〜!
カレーのスパイシーさで食欲増し増し。お皿まで食べてしまいそうなくらいですわ!
「シャーロットお姉さん、お水ちょうだい!」
「アタシも! 」
お二人もお水を飲みながらすごい勢いでカレーを口に運んでいきますわ。ワタクシも同じように水とカレーを口に運びますわ。
こんなに。こんなに辛いのに。
食べる手が止められませんわ~!
そしてフレイムバッファローさんのお肉は、アツアツで噛み締めるたびに旨みが吹き出してきてとっても美味ですわ! カレーのスパイスもたっぷり染み込んでいますわ!
パクパクですわ!
「美味しかったですわ~!」
やはり暑いときにはカレーが一番ですわね。
『モンスターを食べたことによりレベルが上がりました』
『”フレイムバッファロー”捕食ボーナス。魔法“フレイムランタン”を修得しました』
「あら? ワタクシ、新しい魔法を覚えたようですわ。早速試してみますわ。“フレイムランタン”ですわ」
“ボゥッ!”
魔法を使うと炎で出来たランタンが現れて、ワタクシの数歩先をふらふら漂っておりますわ。
これは夜道を歩くときに足下を照らしてくださる魔法でしょうか? 両手が開くので、なかなか便利ですわ!
「ねぇ、料理を食べ終わったら勝手にレベルが1あがったんだけど。何これ?」
「アリシアさん、シャーロットお姉さんの料理を食べると1食で1回レベルが上がるんだ。私も今レベルが1上がったよ」
「何それ!? 破格すぎじゃないの!? どうなってるのよ!」
アリシアさん、大変驚いてらっしゃいますわ。
「さぁ、腹ごしらえも済んだところで先へ進みますわよ」
「「おー!」」
こうしてワタクシたちは登山を再開しましたわ。
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