第84話 川を渡ろうとしたら大変な目に遭いましたわ
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「こんなこともあろうかと。ワタクシ、ちゃんと準備してきたのですわ」
ワタクシは、アイテムボックスから用意していたボートを引き出して水面に浮かべますわ。
「アンタ、そんなものまでアイテムボックスに入るの!? 実家にいた頃アイテムボックス持ちは見たことあるけど、そんな沢山物が運べるのは初めて見たわよ!」
アリシアさん、目を丸くしてらっしゃいますわ。
「ワタクシのアイテムボックス、まだまだ物が入りますわよ。荷物運びは任せてくださいまし」
そしてワタクシ達はボートに乗り込み。
「さぁ、出発ですわ〜!」
右のオールをユクシーさんが。左のオールをアリシアさんが持って漕いでくださいますわ。ボートは水面をゆっくりと滑っていきますわ。
「もう少しこのゆったりとした旅を楽しんでいきたいところでしたけれども、モンスターさんたちが集まってきましたわ」
しかしこの程度、何も困ることはありませんわ。
「”ウインドカッター”ですわ」
ワタクシ、水中の魚モンスターさんを倒しますわ。本当であれば“プチファイア”で倒してお料理にしたいところですけれども、相手は水の中。火の玉を出す“プチファイア”を使うと周りに熱湯が飛び散って危険ですわ。
「こっちにもいるわね。”ダークアロー”!」
アリシアさんも一時的にオールを手放して、黒い弓矢の魔法で水中のモンスターさんを倒してらっしゃいますわ。
こうして、ワタクシとアリシアさんは集まってきたモンスターさんを全滅させますわ。
「さて、ひと段落つきましたわね」
モンスターさんをあらかた倒してほっと一息ついたその時。
「あー! モンスターにかじられてる〜!」
ユクシーさんが悲鳴をあげますわ。見ると、ユクシーさんの持っていたオールの、半分から先がなくなっていますわ。断面を見ると、どうも魚モンスターさんに噛みちぎられてしまった様子。
「ごめんなさいシャーロットお姉さん、アリシアさん。どうしよう、これじゃボートが漕げないよ……」
「気にしないでくださいましユクシーさん。モンスターさんを撃ち漏らしたワタクシにも責任がありますわ」
「それを言ったらアタシだって。それに、そもそもモンスターが寄ってきたのはアタシのせいかもだし……」
「とにかく、今はなんとか向こう岸につく方法を考えましょう」
アリシアさんが残っている一本のオールで水を漕ぎますけれども。片側を漕ぐだけでは船がその場で回転するだけですわ。
「……まぁ、悲観することはありませんわ。ここは池ではなくて川。流されているうちに、どちらかの岸に打ち上げられることでしょう」
そう思って流れに身を任せていたのですが。
“ドドドドドド……”
川の下流の方から、何やら不吉な音が聞こえてきましたわ。恐る恐る見ると、下流の方で滝がワタクシたちを待ち構えていましたわ。
「「「キャーー!!」」」
辺りに、3人分の悲鳴が響きますわ。
「どうしようシャーロットお姉さん! このままだと落ちちゃうよ!」
「落ち着いてくださいましユクシーさん。そうだ、オールの代わりに手で水を掻きましょう! オールほどではないでしょうけれど少しは前に進めるはずですわ!」
「わかった! アタシは右、ユクシーは左を漕ぎなさい!」
バチャバチャバチャバチャ。
2人は必死で水を掻いて下さるのですけれども。
「ダメですわまだ滝に引き寄せられていきますわ〜!」
さっきよりも少しゆっくりにはなりましたけれども。それでも、川の流れには逆らえずどんどんと滝に吸い寄せられていきますわ。
どうしましょうどうしましょう。
限界まで追い詰められたワタクシの頭に、あるアイデアが浮かびますわ。あの魔法でしたらこの状況をなんとかできるかもしれませんわ。
「一か八か……“ウォーターショット”ですわ!」
ワタクシは船のお尻側に向かって、水属性魔法“ウォーターショット”を発動しますわ。
“バシャアアアアァ!”
ワタクシの手のひらから、大量の水が勢いよく噴き出しますわ。
そしてその反動で、ボートが一気に加速しますわ! 水面を切り裂いて、小舟が勢いよく川の上を駆けますわ。
「きゃあああぁ! 一体なんなのよこれええええぇ!」
悲鳴をあげながらアリシアさんがワタクシの腰にしがみつきますわ。
「すごーい! シャーロットお姉さん、これ楽しいよ!」
一方ユクシーさんは激しく揺れる小舟の上でも何も怖くないようではしゃいでらっしゃいますわ。
“ザパァ……”
ボートが軽く岸に乗り上げて、ようやく止まりましたわ。
魔法を使っただけであんなに加速するだなんて。ワタクシも予想外でしたわ。
ワタクシとユクシーさんに続いてアリシアさんがよろよろとボートから降りて、近くにあった石に腰掛けて動かなくなってしまいましたわ。
「アリシアさん、どうしましたの? もしかして、今のボートの急加速で腰が抜けて立てなくなってしまいましたの?」
「こ、腰なんて抜かしてないわよ! ちょっと疲れたから休憩してるだけだってば!」
アリシアさんが立ち上がりますけれども、足がガクガクですわ。
「ごめんなさいアリシアさん。滝に落ちないようにするにはあの方法しか思いつきませんでしたの」
「気にしてないわよ。ああしてもらわなかったら今頃全員滝壺の底だったでしょうし」
「シャーロットお姉さん、私はすっごく楽しかったよ? 帰りはもっと速くして欲しいな〜!」
「それはやめて! 腰を抜かしてるのは認めるから、それだけはやめて!」
川辺に、アリシアさんの悲鳴のような訴えが響きますわ。こんなふうに、ワタクシたちは休憩も兼ねてしばらく川辺で談笑していましたわ。
そしていよいよ、森の最奥へと向かいますわ。
川岸から奥の方へ向かうとまたすぐに蒼白い木が生えはじめましたわ。そしてさらに奥へと進むと。
「ついにたどり着きましたわ~!」
ワタクシ達、ついに森の最奥地にまでたどり着きましたわ。
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