第83話 黒の聖女様と一緒に森の奥をめざしますわ
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アリシアさんが、左手に持っている魔法でできた黒い弓を見せつけますわ。そういえば、その弓の形には見覚えがありますわ。
「そういえばアリシアさんのその弓、聖女様が使っている弓とそっくりですわね。色は真反対ですけれども」
【聖女】。ある一族にしか発現しない特殊なギフトで、モンスターを退ける結界を張る能力と、光の矢”ホーリーアロー”を扱う能力を併せ持っておりますわ。
「その通り。アタシは聖女の出来損ない。聖女の一族に、ごく稀に生まれる“黒の聖女”。聖女と反転した性質を持つ才能よ」
「反転、と言うことは……?」
「聖女がモンスターを寄せ付けない結界を張る逆で、黒の聖女はモンスターを引き寄せる力を持つ。しかも、アタシはギフトを授かったばかりで力が上手くコントロールできないから、居るだけでモンスターを引き寄せるのよ」
そう言って笑うアリシアさんは、どこか悲しそうですわ。
「あの鹿モンスターの素材はあげるわ。ゴーレムの群れを追い払ってくれたお礼ってことで。それじゃ、さよなら」
そう言って、アリシアさんは立ち去ろうとしますわ。
「アリシアさん、お待ちになってくださいまし」
「何よ? まだ何か用があるの?」
「ありますわ。ワタクシ、アリシアさんにお礼を言いたいのですわ」
「だから、鹿モンスターを倒したのはゴーレムから助けてくれたお礼で、感謝されるようなことじゃ……」
「違いますわ。モンスターを引き寄せてくれたことにお礼が言いたいのですわ」
「……はぁ!?」
アリシアさん、困惑してらっしゃいますわ。
「ワタクシもユクシーさんも、お腹が空いていて困っていたのですわ。アリシアさんのモンスターを引き寄せる力のお陰で、ワタクシ達は美味しいご飯を食べることが出来ますわ」
「ば、馬鹿じゃないの!? モンスターを引き寄せる、アタシみたいな忌まわしいギフトの力に感謝なんて! おべっかも大概にしなさい! こんな出来損ない聖女のご機嫌取ったところで何もいいことなんてないわよ」
アリシアさん、顔が少し紅くなってらっしゃいますわ。
「シルバーホーンを持ってきたよ、シャーロットお姉さん!」
ユクシーさんが、頭を射貫かれたシルバーホーンさんを引きずって持ってきてくださいましたわ。
「では、ご飯にいたしましょう。さぁ、アリシアさんもご一緒に」
「アタシは結構。モンスターを食べることに抵抗はないけど、お腹なんて空いてないし」
と言った時。
“ぐうううぅ”
アリシアさんのお腹が鳴りましたわ。
「……お腹、空いてらっしゃいますよね?」
「ああもう、わかったわよ! ありがたくご一緒させてもらうわよ!」
こうして、アリシアさんと一緒に食事することになりましたわ。
火を起こしたりシルバーホーンさんを解体したり。ユクシーさんが手際よく準備を進めてくださいますわ。
”じゅわあああぁ……”
金網の上で、シルバーホーンさんのお肉が美味しそうに焼けますわ。
「「「いただきます」」」
ワタクシ、シルバーホーンさんのお肉を口に運びますわ。無人島で食べたときと同じ、牛肉とも豚肉とも違う風味が堪りませんわ。ユクシーさんによる味付けも絶妙で、いくらでも食べれてしまいそうですわ。
「あら。モンスターってこんなに美味しいのね」
そして、アリシアさんにもお食事を楽しんでいただけているようですわ。
「アリシアさん、モンスターを食べるのは初めてですの?」
「ええ。というか、モンスターの生息地に1人でくるのも初めてなのよ。つい3日前このギフトを授かって、聖女の一族から追い出されたばっかりだから」
「アリシアさん、初めてでいきなりゴーレムの森に入るのは、危ないよ」
「うう。わかってるわよ。ちょっと実家を追い出されて、自暴自棄になってたのよ」
アリシアさん、顔を背けてしまいましたわ。
「でも、ここまで来たんですもの。せっかくですから、一緒に氷結果実の生えていると言う噂の最奥までご一緒しましょう?」
「……分かった、そうさせてもらうわ」
こうして、アリシアさんと一緒にこの森の最奥へ向かうことになりましたわ。
それからの探索は、少し賑やかになりましたわ。
なにせ、さっきまでは近づかなければ何もしてこなかったゴーレムさん達が、今はあちらから襲いかかってくるのですもの。
ですが。
「”プチファイア”ですわ」
近づいてきた端から魔法で倒しますわ。
この程度の手間、何でもありませんわ。
ということを繰り返していると、開けた場所に出ましたわ。
そして、そこには大きな川が流れていましたわ。
「見事な川ですわね」
「深さもあるね。とても歩いて渡れそうにないよ、シャーロットお姉さん」
ワタクシは”バブル”という泡のドームを作る魔法が使えますわ。あの魔法を使えば池や海の底を歩くことができるのですわ。
しかし。川で使うと、水の流れを受けてどんどん下流の方に流されてしまうことでしょう。使うわけには行きませんわ。
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