第78話 ワイバーンさんのお肉は旨味たっぷりですわ!
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「岩山の頂。意外と、広いですわね……」
ワタクシ達は、ついにワイバーンさんのいらっしゃる岩山の頂にまでたどり着きましたわ。
思っていたよりも平らで広い土地が広がっていますわ。
「見つけた、あそこだよ」
ユクシーさんが指さす先。大きな木の陰に、鳥の巣のようなものがありましたわ。ただし、大きさが鳥の巣とは桁違いに大きくて、中に丸ごと一軒家が建ちそうなほどですわ。
「ワイバーンさんは、今はいらっしゃらないようですわね」
「そうだね。また水を飲みに行っているのか、それとも餌をとりに行っているのか。どっちにしても、今のうちに作戦を考えないとだね」
「正面から襲いかかっても、また前の時のように逃げられるだけですわ」
「うん。警戒心が強いみたいだし、逃したら最悪の場合巣を別の場所に変えるかもしれないね」
「それは困りますわね。そんなことになったら、これまでの苦労が全て水の泡ですわ!」
なんとしても、確実に仕留めませんと。
「それでね。私に案があるんだけど……」
ユクシーさんが私に耳打ちしますわ。
「……なるほど、それは良い案ですわね。それでいきましょう」
数時間後。
「来ましたわ!」
ワイバーンさんの気配が近づいてくるのを感じましたわ。
計画通り、ワタクシとユクシーさんはワイバーンさんの巣から少し離れたところにある岩陰に隠れますわ。
ここがワイバーンさんに気づかれないギリギリの距離。
そして、ここからではとてもワタクシのプチファイアは届きませんわ。
「きたよ……!」
ユクシーさんが声をひそめて言いますわ。
ワイバーンさんがゆっくりと巣の隣に着陸しようとしますわ。
足が地面を踏み締める、その瞬間。
“ズボッ”
足元の地面が、急に陥没しますわ。
「やった、うまく作動した!」
ユクシーさんが、錬金術を応用して作った罠ですわ。
地面を、表面をそのままに中身をスカスカにしておいたのですわ。そこに着地すると、体重で一気に地面が抜けるという仕組みですわ。
狙い通り、下半身が地面にうまっていますわ。
「初めてだったけど、うまく行ってよかった……!」
ワタクシとユクシーさんは走り出しますわ。
「まだまだ、次行くよ! シャーロットお姉さん! 例のものを頂戴!」
「ハイですわ!」
ワタクシ、アイテムボックスから小さな塊を取り出してユクシーさんに渡しますわ。
「えーい!」
ユクシーさんが小さな塊を投げますわ。そして、ワイバーンさんの鼻先で破裂。ユクシーさんお手製の閃光弾。錬金術のギフトで作った材料を使ったものですわ。
“ギャオオオオオォ!”
ワイバーンさんの動きが止まりますわ。その間に、ワタクシとユクシーさんは距離を詰めますわ。あと、ほんの数メートルでワタクシの魔法の射程距離ですわ。
……しかし。
”ギャオォ!”
ワイバーンさん、閃光弾の衝撃から復活しましたわ。翼を大きくはためかせて、落とし穴から脱出しますわ。
「ええ、もう動けるの!? 思ったより立ち直りが早い!」
「どうしましょう、ユクシーさん」
まだワタクシの魔法の射程外。困りましたわ。
「【錬金術】発動!」
ユクシーさんが鎖を作り出して、ワイバーンさんの足に引っ掛けますわ。
「逃がさないよ!」
全身を使って、思い切り鎖を引きますわ。
決して、ユクシーさんの小さい体ではワイバーンさんの巨体を引き寄せることはできませんわ。
ですけれども、バランスを崩した様子。空中で翼をばたつかせて、姿勢を戻そうと必死ですわ。
「はい、シャーロットお姉さんも引っ張って!」
ユクシーさん、ワタクシに鎖の一部を手渡しますわ。
協力している以上、もちろんワタクシもできることはなんでもお手伝いしますわ。
ただ、ワタクシの細腕で引っ張ったところで、足しになるかはわかりませんけれども……
「せーの。ですわ」
“ビターン! ズザザザザザ!”
ワイバーンさん、地面に叩きつけられましたわ。それどころか、ワタクシたちの方へ勢いよく地面を滑ってきましたわ。
「さすがシャーロットお姉さん、凄いパワー!」
ユクシーさん、なんだか喜んでいらっしゃいますわ。
誤解です、誤解ですのよユクシーさん。
ワタクシが引っ張ったことでたまたまワイバーンさんが飛行のバランスを崩して、自分の翼の力で自分を地面に叩きつけてしまっただけですのよ?
ワタクシ、ついていますわ。
何はともあれ、これはワイバーンさんを食べるビッグチャンス。
「プチファイアですわ!」
ワタクシは魔法を放ちましたわ。
そしてできあがったお料理は……
「シチューですわ!」
大きなお皿に入った赤ワイン煮込みのシチュー。とっても良い香りですわ!
「さぁ、早速召し上がりましょうユクシーさん!」
ワタクシは、テーブルと椅子を並べて急いで支度を整えますわ。
早く、早くこのシチューを食べたくて仕方ないのですわ!
「「いただきます!!」」
早速ワタクシ、ワイバーンのお肉を口に運びますわ。
「なんて歯ごたえのあるお肉……!」
ワタクシ、なぜ今回のお料理がシチューだったのか理解できましたわ。
焼いただけではワイバーンさんのお肉は硬すぎて食べられないのですわ。
じっくりとシチューにして煮込むことで、柔らかくなって食べられるようになるのですわ。
「牛のすね肉の旨味を更に濃縮したような味ですわ!」
牛のすね肉というのは、とても硬くて筋張っていて、その分旨味がたっぷり詰まっているお肉なのですわ。
このワイバーンさんのお肉は、更に硬くて旨味がギッチギチに詰まっていますの。
噛めば噛むほど、旨味が出てくるのですわ。
と言うよりも……
「旨味が、無限に出てきますわ……!」
お肉を何度噛んでも、旨味が一向に減らないのですわ。
このシチューの旨味は、牛のお肉に換算すれば一体牛何頭分の旨味になるのか。想像もつきませんわ~!
「天にも昇る心地ですわ~」
パクパクですわ!
「今回も大変美味でしたわ……!」
たった1皿ですけれども、歯ごたえたっぷりのお肉だったからか、高級レストランのフルコースを2周したかのような満足感ですわ。
『ボスクラスモンスターを食べたことによりレベルが5上がりました』
『レッドワイバーン捕食ボーナス。魔法“フレアウイング・アークナイツ”を修得しました』
そしていつもの耳鳴りですわ。
「今回のお料理は格別だね! 経験値もまた沢山もらえたよ! 3レベルも上がっちゃった!」
「ええ。格別の美味しさでしたわね」
ユクシーさんも満足のようですわ。
ユクシーさんのレベルが3上がったと言うことは……
大体、ワタクシの半分程度レベルが上がるということでしょうか?
先ほどのポップバルーンで0.5レベルがたまっていたとすれば、今回の2.5を合わせて一気に3レベルアップ。計算は合いますわ。
もっとも、”レベル”というのがなんなのかわからないのですけれども……。
「さて、せっかく魔法を覚えたので試してみたいですわ」
ちょうど、近くに巨大なトカゲのようなモンスターさんがいるのを見つけましたわ。大きさはワタクシよりもずっと大きいですわ。実験台としてふさわしいサイズですわね。
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