第74話 温泉はとても心地よいですわ
本日2023/6/5コミカライズ更新されています~!
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「ワイバーンさん討伐チーム結成ですわ!」
「おー!」
ワタクシ、渓谷で偶然会ったユクシーさんと一緒にワイバーンの討伐を一緒にやることになりましたわ。
……とはいえ。
「どこに行けば良いのですの?」
ワタクシ、ワイバーンさんを見失ってしまいましたわ
「それなら大丈夫! 私、あのワイバーンの棲家を突き止めてるんだ」
「まぁ! 流石ですわユクシーさん! 頼りになりますわ~! して、その巣はどこにありますの?
「あそこだよ!」
ユクシーさんが指差すのは――
滝が流れ出している、一番高い岩山ですわ。
「あんな高い山に巣がありますの……!?」
しかもユクシーさんが指差しているのは山頂の辺り。
あの高くて険しい山、ワタクシに登れますかしら……。
「さぁ行こうシャーロットさん!」
ユクシーさん、元気に駆け出し始めましたわ。ワタクシも後を追いますわ。
――数時間後。
「もう一歩も歩けませんわ……」
山の麓に着いただけで、ワタクシ疲れ果ててしまいましたわ。
疲労困憊ですわ……。
「もう動けませんわ……」
ワタクシ、その場にへたり込んでしまいますわ。
「シャーロットお姉さん、もしかして体力ないの……? あんなに凄いのに、意外な弱点だなぁ」
ユクシーさんは元気ですわ。腰に重そうなハンマーまで提げているのに、全然疲れた様子がありませんもの。
「ユクシーさんがたくましすぎるだけですわ。ワタクシ、肉体労働はしたことがありませんけれども、侯爵家にいた頃は運動不足にならないよう運動器具で身体を鍛えたり庭でジョギングしたりしていたのですわよ」
今の家になってから、運動器具やジョギング出来る庭がないのを言い訳にサボり気味ですけれども……。
「そうだ、ちょっと寄り道して行こう」
ユクシーさんは進路を変えますわ。
「ど、どこに行きますの?」
「良いところだよ。えっとね、ヒントは今のシャーロットさんがきっと気にいるところ♪」
ユクシーさんは軽い足取りで森の中を歩いていきますわ。
歩いて行くうちに景色が変わり、木が減って代わりに岩肌が目立ってきましたわ。
「あら? なんでしょうかこの匂いは……」
歩いて行くうちに、不思議な匂いが漂ってきましたわ。
思い出しましたわ。この匂いは――
「温泉ですわー!」
湧き水が、溶岩の熱で温められて湧き出している、自然の恵み。それが温泉ですわ。
疲れ切ったワタクシが、まさに一番欲しかったモノですわ。
「昨日この辺りを歩いてて見つけたんだ。良かった、シャーロットお姉さんに喜んでもらえて」
「素晴らしいですわユクシーさん。さぁ、ワタクシが一番乗りですわ!」
「あ、ズルいよシャーロットお姉さん!」
ワタクシとユクシーさんは競うように温泉に飛び込みますわ。
「あぁ、疲れた身体に染み入りますわ~♪」
「気持ちいいねぇ、シャーロットさん」
温泉の周りには遮るモノはありませんけれども、ここは人里離れた渓谷の奥地。人は滅多と通りかかりませんし、耳の良いユクシーさんが近づく人がいないか気にかけてくださいますので心置きなく寛げるのですわ。
「あー、疲れがどんどん体から溶け出していきますわ〜」
湯船に身体を浸していると、疲れがどんどん抜けていきますわ。
外を見渡すと、美しい景色が広がっていますわ。遠くには岩山が高く聳えていますの。鳥のさえずりも耳に心地よいですわ。
「ふんふんふふ〜ん♪」
気分が良くなって、思わず鼻歌を歌ってしまうほどですわ。
「エレナも、いつか連れてきてあげたいなぁ」
と、ユクシーさんが呟きますわ
「エレナ? どなたですの?」
「私の妹なんだ。シャーロットさんのおかげで病気が治って、ずっと寝たきりだったから今は病院でリハビリ中なんだ。歩いて遠出出来るようになったら、いろんな所に連れて行ってあげる約束をしてるんだ」
「(なんでワタクシのおかげと言われているのかわかりませんけれども)それはよかったですわ。早く退院出来ると良いですわね」
「うん。エレナの為にも、頑張って沢山稼がないといけないんだ」
そういってユクシーさんは拳を突き上げますわ。
「ユクシーさんは優しいお姉さんですのね」
「えへへ」
ワタクシは、ユクシーさんの頭を撫でますわ。
こんなに小さいのに、妹のために頑張れるなんて偉いですわ。
そして相変わらず、とても愛らしいですわ~!
熊のような耳が時折ピコピコ動くのが、たまりませんわ。それにお肌もスベスベですわ
「相変わらず綺麗なお肌で、うらやましいですわ~」
「私は、シャーロットさんの体型が羨ましいなぁ。大人っぽくて、スタイルも良くて。何か秘訣はあるの?」
「スタイルの秘訣? そうですわね……何でも好き嫌いせず食べることですわ!」
「好き嫌いしないことか……よーし、私も頑張る!」
そこからしばらく、ワタクシとユクシーさんはのんびりと話に花を咲かせましたわ。
「ねぇ、シャーロットさんは兄弟はいるの?」
「お兄様が居ますわ。優しくて、偶に厳しいお兄様ですわ。今住んでいる家も、お兄様から借りているものですわ」
偶に、お父様にバレないよう差出人を偽装してお兄様にはお手紙を差し上げていますわ。家を借りたりと色々お世話になっていることですし、一度どこかで時間を作って挨拶しに行くべきかもしれませんわね。お父様にバレないように。
こんなふうに、お湯につかったままずっとのんびり話をしていましたわ。
そして疲れが抜けきった頃、ワタクシ達は温泉から上がりましたの。
「……さてユクシーさん。日もいい具合に暮れてきて。心も身体もリフレッシュした時にやることと言えば〜?」
「せーの、」
「「晩御飯(ですわ)!」」
丁度ここで、2人同時にお腹が鳴りますわ。
「さぁユクシーさん、早速食材になるモンスターさんを探しに行きますわよ!」
ワタクシはモンスターさんの気配に集中しますわ。
「ちょうど良いところにモンスターさんの気配を見つけましたわ。今晩の食材はこちらのモンスターさんにいたしましょう」
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