第７３話 ワイバーンさん討伐チーム結成ですわ！
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「長い道のりでしたわ……」
険しい道。
視界の悪い森。
ここへ来るまで、苦難の連続でしたわ。
歩き疲れたり大好きな紅茶が飲めなかったり楽しみにしていた焼きベーコンが作れなかったり、とても大変でしたわ。
ですけどその甲斐あってついに。ワタクシ、ワイバーンさんを見つけましたわ！
「こちらには気づいていらっしゃらないようですわね……」
ワタクシ、木陰からそっと覗きますわ。
ワイバーンさんは湖で水を飲んでいるところ。絶好のチャンスですわ。
辺りを見渡すと、一面の森。
あまり、ワイバーンさんの巣があるようには思えませんわ。きっと、どこか別のところに巣があるのでしょう。
「巣がどこかわからない以上、ここで仕留めるべきですわね……」
ワタクシは、音を立てないように気をつけながらワイバーンさんに近づいていきますわ。
「”ステルス”ですわ」
魔法を使って、姿を透明にしますわ。
音を立てないように、そーっとそーっと。足下の小枝などを踏まないよう注意しながらゆっくりと進みますわ……。
”ゴクンッ”
ワイバーンさんが水を飲み終え、頭を上げますわ。
いけませんわ、このまま飛び去ってしまいそうですわ！
距離はまだ遠くて、ワタクシの魔法が届くかギリギリですわ。本当はもっと、距離を詰めてからにしたかったのですけれども……！
「”プチファイア”ですわ！」
ワタクシは魔法で火の塊を飛ばしますわ。
ですがあと少しのところで、ワイバーンさんは飛び上がって避けてしまいましたわ。
「ああ、残念ですわ」
――その時。
「逃がさないよ！」
どこからか、鉄製の鎖が飛んできましたわ。鎖はワイバーンさんの翼に絡みつきますわ。
「やああぁ！」
誰かが、鎖を地上から引っ張っていますわ。
”ギャオオオオオオ！”
ワイバーンさんが吠えながら翼を振るって、鎖を振り解きなさいます。そして、どこかへ飛び去ってしまいましたわ。
「ああ、また逃げられちゃった……」
しょんぼりした声とともに、森の中から人影が出てきますわ。その姿は――
「まぁ、ユクシーさんではありませんの！」
「わぁ、シャーロットお姉さんだー！ やったー！」
ワタクシ達は駆け寄って、抱擁を交わしますわ。
「ユクシーさんはどうしてここへ？」
「ワイバーン討伐のクエストを受けてきたんだ。報酬が良いから受けたんだけど、すぐに逃げられちゃって困ってたんだ」
「まぁ、ワタクシも同じですわ。……ユクシーさん、力を合わせて一緒にあのワイバーンさんを倒しませんこと？」
「いいの？ 勿論、シャーロットお姉さんがいれば頼もしいよ。一緒にがんばろー！」
「ワイバーンさん討伐チーム結成ですわ！」
「おー！」
