第52話 食べ物を調達しなくてはいけませんわ
「まずは、現状把握ですわ」
ワタクシは便利な穴から紙とペンを取り出して、簡単な島の地図を描きますわ。
島は大きく分けて3つのエリアに分かれていますわ。
1つ目はワタクシが今いる、島中央の森エリア。
2つ目は、島を囲んでいる磯や砂浜の沿岸エリア。
3つ目は、島の東にある岩山エリア。
沿岸エリアと岩山エリアは見通しが良くて隠れる場所が少ないですから、この森エリアに受験生が多く集まりそうですわ。
さて、5日間生き抜くために、ワタクシはどうするべきでしょうか……?
そこでワタクシ、大変なことに気付きましたわ。
「ご飯が足りませんわ……!」
試験官さんからもらった水と食料は2日分。試験は5日。3日分の食料が足りませんわ!
これは絶体絶命のピンチですわ。
お金は持ってきていますけれども、この島にはレストランはなさそうですし困りましたわ。
そこでワタクシ、試験官さんの言葉を思い出しましたの。
『他のプレイヤーから水と食料とペンダント奪うもよし!』
そうですわ、今回は他の受験生さんから水や食料を奪ってもいいのですわ。
ちょっと怖いですけれども、他の受験生さんを見かけたらコッソリ荷物を頂いていくのも手ですわね。
とりあえず今日はもう日が暮れていますし寝ることにしますわ。
「こんなことがあろうと、ワタクシテントを用意してきたのですわ!」
マリーに勧められて、ワタクシこのプラチナ試験に参加する前にいろんな道具を買い込んで、便利な穴にしまっておいたのですわ。
穴を広げて、テント一式を引っ張り出しますわ。
小さなソファとベッドも用意しましたので、快眠間違いなしですわ。
早速組み立てますわ~!
――
「全然組み立てられませんわ」
テントの設営って!
難しいですわ!
説明書を見てもどこにどう刺せばいいのかよくわかりませんわ。
“ペグ”という地面に差す杭もどこにさせばいいのかよくわかりませんしまっすぐ刺さりませんし刺した後『あら? もう少し左の方が良かったですわね』と思って抜いて刺しなおしたりを繰り返しているうちに地面がぐずぐずになってペグを刺せなくなりますし。
テントの生地も、説明書を読んでもどことどこをどう結べばいいのかチンプンカンプンですし。
諦めましたわ。
何もないよりはマシでしょうし、今日はせめてテントの生地の中に潜り込んで寝ることにしますわ……
「うぅ、寝苦しい、寝苦しいですわ……!」
こうしてワタクシ、最終試験初日を無様に過ごす羽目になりましたわ。
――翌朝。
「サ、サ、サ、サンドイッチ~♪」
テントの生地の中の寝心地は悪かったですわ。
でも、朝にあった悪いことというのは、美味しいご飯を食べたらリセットされるのですわ。
レストラン『冒険者ギルド』のご飯はとてもおいしいのですわ。特にサンドイッチは絶品ですわ。きっと支給された食料もサンドイッチですわ。
楽しみですわ~!
「サ、サ、サ、サンドイ――なんですのこれ」
リュックに入っていたのは、レンガみたいなビスケットですわ。
「これが、食料……!?」
食べてみますわ。
……もさもさですわ。
味が、味が無いですわ……。
ほのかに甘みがありますけど、それだけですわ。
しかも口の中の水分が根こそぎ持っていかれてしまいますわ。
マズくは、無いのですけれども。
美味しくないですわ。
「試験終了まで、これしか食べ物がないのですの――!?」
絶望ですわ絶望ですわ。
美味しいものが、美味しいものが食べたいのですわ!
そう言えば試験官さん、この島にはモンスターさんもいるとおっしゃっていましたわ。
「こうなればモンスターさんを食べるほかないですわ」
ワタクシ、早速モンスターさんを探しに出かけましたわ。








