第45話 二次試験合格ですわ
「……第11チーム、二次試験合格だ……!」
やりましたわ~!
「やったねシャーロットさん!」
ワタクシはユクシーさんとハイタッチして喜びを分かち合いますわ。
「ユクシーさん、最後の一撃お見事でしたわ。試験官さんの隙を逃さない良い一撃でしたわよ」
「シャーロットさんこそ、あの試験官さんの攻撃を受け止めるなんてすごいよ」
「受け止めたのではありませんわ。きっとワタクシの麻痺魔法がかわされたようにみえてキッチリ効いていたのですわ。試験官さんの斧の攻撃は、二回ともまるで力が入っていませんでしたもの」
「そうかなぁ……?」
ユクシーさんは首をかしげますわ。
「私には、シャーロットさんに渾身の力を込めて攻撃した試験官さんが『馬鹿な、なんだこの斧の手応えは!? この受験生、まるで最上位種ドラゴン並の防御力じゃないか!』って驚いていたように見えたんだけどなぁ……」
「まぁ、なんてことを仰いますの」
ワタクシは、ユクシーさんの両ほっぺを軽く引っ張りますわ。
「ワタクシ、家庭教師の先生にちょっと護身用の魔法を習っただけの普通のか弱い女の子ですのよ。身体がなんちゃらドラゴン並に固いだなんてそんなことありませんわ。そんなに強かったら、ワタクシまるで化物ではありませんの!」
「ご、ごめんなひゃい……。シャーロットさんは化物なんかじゃないれす……」
ユクシーさんが手を挙げて降参のポーズを取りますわ。
ワタクシが化物でないとわかってくれたようですわ。
こうして、ワタクシ達は二次試験を突破することができましたわ。
――
「以上で、二次試験終了だ!」
数時間して、全員の二次試験が終わりましたわ。
合格したのは、ざっと数十人。最初の半分以下ですわ。
「お前たちには3次試験に進んでもらう! 今日は疲れたりケガをしたりしただろう。今日は宿に戻って十分身体を休めてくれ! 明日の朝、また同じ時間にここへ集合してもらう。それでは、解散!」
こうして今日の試験はすべて終わりましたわ。
時間はお昼過ぎ。
……お腹がすきましたわ。
朝から何も食べていなかったので、お腹ぺこぺこですわ。
ユクシーさんを誘ってこの後遅めのランチでも――
「シャーロットお姉さん、明日も頑張ろうね! じゃあね!」
誘いそびれてしまいましたわ。
ユクシーさん、足が速いですわ。あっという間に街角に消えていきましたわ。
仕方ありませんので、1人でランチにするとしますわ。
この街は港街。折角ですので、港で海を見ながらランチにしたいですわ~。
そう思って港の方へと歩いていると……。
「久しぶりだね、シャーロットさん」
夜会用の仮面を着けた殿方に後ろから声を掛けられますわ。
どなたでしょう……?
ワタクシの知り合いに、こんな仮面をつけた方はいませんわ。
「僕だよ、僕」
そういって殿方は仮面を外しますわ。その顔は――。
「まぁ、アウゼス殿下」
「しーっ」
そういって殿下は口元に指を立てますわ。
「第一王子という立場上、あんまり堂々とプラチナ昇格試験を受けに来るわけにもいかなくてね。試験には仮面の冒険者アウロフという名前で参加している」
そう言って殿下はまた仮面を着けますわ。
「まさか殿下も参加しているだなんて、意外ですわ」
「王たるもの、強さも必要とされるんだ。公務の方も、前倒しで仕事を進めてなんとか時間を作ってきた」
今気づきましたけれども、私服姿の護衛の方がさり気なく距離を取って殿下を護衛していますわ。
「と、ところでシャーロットさん今日は良い天気だね……」
殿下、また天気の話をしてらっしゃいますわ。
会うたびに殿下は天気の話をするのですわ。
他に話題のレパートリーがないのかしら。
と、その時ワタクシ良いことを思いつきましたわ。
「殿下、今から一緒にランチに致しませんこと?」
「!? い、今からシャーロットさんとランチに……!?」
殿下が素早くシュパパ! と後ずさりますわ。
「待ってくれシャーロットさん。君とランチに行くなんて、心の準備が……」
殿下は相変わらず変わったことを仰いますわ。ランチを食べに行くのに心の準備が必要だなんて。
「いいから、行きますわよ~」
こうしてワタクシは殿下の腕を引っ張って港へ連れ出しましたわ。
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