第4話 貝のバターソテーを食べますわ
美味しいお肉を食べているうちに、なんだか耳が良くなってモンスターの気配が分かるようになりましたわ。
「あら? 」
なんだか、不思議なモンスターの気配がしますわ?
スライムさんよりも狼さんよりも濃い気配。それに動きも特徴的ですわ。スライムさんや狼さんは動いている気配がするのですが、その気配は一切動こうとしませんの。
「どうしましょう……」
新しいモンスターさんを食べてみたい気持ちはありますわ。
でも、今日はもう沢山モンスターさんを食べたのでこれ以上は食べ過ぎですし……。
………………
…………
……
よし。
ワタクシ決めましたわ。
「見に行くだけにしましょう、見に行くだけ」
どんなモンスターさんなのか、気になったから見に行くだけですわ。
モンスターさんを見に行くだけですわ。
決して食べに行くわけではありませんわ。
「この辺りのはずなのだけど……」
ワタクシは歩いて不思議な気配のする方へとやって来ましたわ。でも、周りには木があるばかりでモンスターさんらしきものは全く見当たりませんの。
「むむむ……」
ワタクシは集中して、気配を探りますわ。
「これは、下かしら……?」
なんだか、足元の方に気配がある気がしますわ。
地面に潜っているモンスターさんかしら?
それとも……?
ワタクシは、少し思い当たることがあって辺りを歩いて探し始めますわ。
「ありましたわー!」
ワタクシ、洞窟を見つけましたわ!
しかも予想通り、穴はドンドンと下の方へ向かっていますわ。
「思った通りですわー♪」
予感的中ですわ。
近くにあった木の棒に“プチファイア”で火をつけて、松明にしますわ。
「それでは冒険に出発ですわ~」
ワタクシは、洞窟の中へと足を踏み入れますわ。
道中には、モンスターさんは全然いなくて。
そして洞窟の一番奥には……
「宝箱ですわ~!」
装飾品がついた、頑丈そうな木の箱。これはどこからどう見ても宝箱ですわ。
何故かこの箱からモンスターの気配がするのですけど。
不思議ですわ~。
「何が入っているか、ワクワクしますわ♪ 食べ物には期待できませんけど……。 中身は金銀財宝かしら? ドレスかしら? ヘアアクセサリーも欲しいですわ♪」
ワタクシが期待に胸を躍らせて、宝箱の蓋に指を掛けると――。
”キシャアアアアアァ!!”
宝箱が襲い掛かってきましたわ!
宝箱が! 襲い掛かって来ましたわ!
「キャアアアアアアァなんですのこれええええ!!」
宝箱の蓋が顎のように閉じて、噛みついて来ますわ!
怖いですわ!
ワタクシは一目散に逃げ出しましたわ。ですが――
“キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァ!!”
「宝箱が追いかけてきますわあああああああああああああ!?」
宝箱がぴょんぴょん飛び跳ねながら、ワタクシを追いかけて来ますわ。
これだけ聞くとかわいらしく思えますでしょう?
実物は怖いですわ!
はちゃめちゃに怖いですわ!!
「なんですのこれなんですのこれなんですのこれえええええぇ!?」
ワタクシは悲鳴を上げながら必死に洞窟を走って逃げます。しかし――
「きゃん!」
転んでしまいましたわ。
さっきスライムに襲われた時と同じく、また転んでしまいましたわ。
宝箱が、ワタクシめがけて襲い掛かってきますわ。
「来ないでくださいまし来ないでくださいましー! ええい、こうなったら魔法で迎え撃ちますわ! ええと、ええとプチ――“プチファイア!”ですわ!」
なんとかギリギリ魔法が間に合って、火の塊が宝箱に直撃しますわ!
“キシャアアアアァ!?”
宝箱が炎に包まれて、動かなくなりますわ。
「あぁ、怖かったですわ……!」
ワタクシ決めましたわ。
もう二度と宝箱には近づきませんわ!
「……あら、何かしらこの香り?」
洞窟の中に、香ばしい匂いが漂いますわ。
そして炎の中から、何と料理が出てきましたわ。
「宝箱って食べれるんですのー!?」
不思議ですわ~。
大きなお皿の上に載っているのは、白くて平べったい何かのバターソテー。
この香り、何かの食べ物に似ているような……?
「思い出しましたわ! 貝ですわ!」
さっきの動く宝箱は、貝殻の代わりに木の箱に入っていた貝だったのですわ。
そう考えたら、変な生き物ですけど納得はできますわ……。
ギリギリですけど。
「さて、この貝のソテーどうしたものかしら……」
ワタクシ先ほど、今日はもうモンスターを食べないと決めましたわ。
ですが、それはあくまでさっきまでの話。
今のワタクシは、走ってカロリーを消費してしまったのですわ。
つまり――
「頂きますわ~!」
パクリ。
ワタクシは切り分けた貝のソテーを口に運びます。
「美味しいですわー!」
フィレ肉にも負けない濃厚なうまみが口の中で広がりますわ!
バターの香りが鼻から吹き込んで更に食欲を掻き立てますわ!
もう手が止まりませんわ!
パクパクですわ!
「満足ですわ~!」
一日を締めくくるに相応しい、とってもおいしい貝のソテーでしたわ~。
『モンスターを食べたことによりレベルが上がりました』
『レアモンスター“ミミック”捕食ボーナス。自動発動レアスキル“オートカウンター”を獲得しました』
そして相変わらず変な耳鳴りがしますわ。
新しく“レアスキル”なんて言葉も登場なさいましたわ~。
訳が分かりませんわー!
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現時点でのシャーロットのステータス
シャーロット・ネイビー
LV:29
HP:29/29
MP:20/45
筋力:24
魔力:37
防御力:30(+ボーナス105)
敏捷:20
スキル
〇索敵LV6
〇オートカウンター(レア)
使用可能魔法
〇プチファイア
〇プチアイス
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★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
次回よりついにシャーロットが街に到着して、新しい展開が始まります!
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これからも面白い物語を提供していきたいと思います、よろしくお願い致します!