第35話 ずっと楽しみにしていた年に一度のお祭りに行きますわワクワクが止まりませんわ
「お祭りに行きたいですわ~!」
1週間後に、年に一度の街のお祭りが開催されるのですわ!
街のあちらこちらにお祭りのビラが配られていますし、飾りつけも進んでいますわ。街中がお祭りムードで、もう歩いているだけで楽しいのですわ!
ワタクシ、お屋敷にいたときから一度お祭りというものに参加してみたいと思っていたのですわ。
でもお父様には『庶民の祭りなどに参加することは許さん!』と言われて参加させてもらえませんでしたの。
なのでワタクシお祭りをとっっっっっっっっても楽しみにしているのですわ!
「今からワクワクですわ~!」
音楽家が愉快な音楽を演奏して。大道芸人さんが綱渡りや手品を披露して。珍しいものを扱う商人さんがお店を出して。一番の目玉の馬上試合が開催されて。
それにワタクシ、何より食べ物の露店を楽しみにしていますわ~!!
お祭りの日には、沢山露店が立ち並んで普段はあまり見ない物を出しているそうですわ。
でも所詮は露店で並ぶような食べ物。少しお金と手間を掛ければいつでも食べられますし、わざわざお祭りに行かなくても食べることができる――
というのは! 浅はかな考えですわ!
「お祭りの楽しい雰囲気で食べる露店の食べ物は普段より10倍美味しいらしいですわ!」
一度だけお祭りに参加したことがあるマリーがそう教えてくれたのですわ。
「マリー、早速作戦を立てますわよ!」
「了解ッスお嬢様!」
ワタクシはリビングに街の大通りの地図を広げて、ビラの情報を元に露店の配置を書き込んでいきますわ。
「――だからまずこのルートを通ってホットドッグを確保するのですわ」
「お嬢様、その道は一方通行ではないッスけど、多分人が一方的にこっち方向に流れてるッス。なので遠回りしてこっちのルートからいくのが良いと思うッス」
――
「この小さな広場で、落ち着いて買ったものを食べるのが良さそうですわね」
「流石お嬢様、良い案だと思うッス」
――
「――当日は人ごみの中を移動することになるッスから、いつものドレス姿よりも動きやすい格好の方が良いと思うッス」
「確かにそうですわね。いい機会ですし、あとで動きやすい服を買いに行きますわ」
こんな風に、ワタクシとマリーはお祭りに向けて準備をしていきましたわ。
――そして一週間後。
「快晴ですわー!」
抜けるような青空。
絶好のお祭り日和ですわ。
朝ごはんも控え目にして、露店のお料理を受け入れる準備も万端ですわ。
「さぁマリー、出かけますわよ」
「了解ッス!」
まずは露店で5段のアイスクリームを買いに――
「大変だー! 大通りの方で巨大なモンスターが出現したぞ! お祭りどころじゃない、みんな逃げろー!」
「なんですってー!?」








