第27話 上半身が鳥で下半身が馬の不思議モンスターを食べますわ
プライベートでの用事と、前作の書籍化作業で更新大分間が空いてしまいました
皆さん、お盆休みは何をしますか?
私はたくさん執筆します~!
※8/12 皆様の応援のおかげで、月間ランキング2位を頂きました!
今後も応援をよろしくお願いします!
「お肉、お肉、オオカミさんのお肉〜♪」
街のはずれの森の中。
今日もワタクシ、この森にオオカミさんのお肉を食べに来ましたの。
ワタクシ最近、ランチは森で摂るのが習慣になっていますわ。
モンスターさんのお肉は、とびきり美味しいですもの。癖になってしまいますわ。
最近食べ過ぎたのか、森のモンスターさんが少なくなっているのが残念ですけれども……。
ということで今日も、森の奥までやってきましたわ。
「あら?」
その時、ワタクシは新しいモンスターさんの気配を察知しましたわ。1体のモンスターさんが、凄いスピードで空を飛んできますわ。
そして、大きな音を立てて着地。
「すぐ近くですわね」
一体どこから来たのでしょう。それにどんなモンスターさんなのかしら。楽しみですわ。
「お肉、お肉、新しいモンスターさんのお肉〜♪」
ワクワクですわ。
「あら?」
なんとまぁ、先客がいらっしゃいますわ。なにやら人間の声がします。
モンスターさんのいた場所に着くと、大きなモンスターさんがいらっしゃいましたわ。
上半身はトリ。下半身は馬。
「変わったモンスターさんですわ〜」
そしてその近くで尻もちをついてらっしゃるのは……幼馴染のアウゼス殿下ですわ。
何をしにこんな森の奥にいらっしゃったのかしら。
周りには、殿下の護衛の騎士さんたちも尻もちをついてらっしゃいますわ。
無理もありませんわ。
モンスターさんって、とても見た目が怖いですもの。
ワタクシも初めてスライムさんや狼さんに出くわしたときは、とても怖かったですわ。
モンスターさんというのは、本当は噛まれても全然痛くないし、魔法を一回当てたらお亡くなりになってしまうか弱い生き物なのですけど。見た目だけは怖いですもの。
モンスターさんに初めて会う殿下が、ビックリして腰を抜かしてしまうのも無理はありませんわ。このまま放っておいたら、慌てて逃げようとして転んでしまうかも知れませんわ。殿下ってば間の抜けた人なのですから。
助けてあげないと、ですわね。
「“プチファイア”ですわ」
ワタクシはいつものように魔法でモンスターさんをやっつけますわ。
近くにいたアウゼス殿下は、ぽかーんとしてさっきまでモンスターさんがいらっしゃった場所を見つめていますわ。
……もしかして殿下、魔法を見たことがないのかしら?
それとも、ワタクシのギフト【モンスターイーター】の効果で出てきたお料理に見とれているのかしら?
ダメですわ殿下、これはワタクシのごはんですわ~!
「凄い驚きようですわね。モンスターを見るのは初めてですの?」
「君が、助けてくれたのか……」
「みなさま、お怪我がないようで何よりですわ」
殿下も周りの護衛さん達も、尻もちをついたときに怪我をしていないかと心配したのですが、大丈夫みたいですわ。
「とにかく、助かりました。レディ、もしよろしければお名前を伺っても?」
「名前ですって? ふふふ」
ワタクシ実は、ここへ来る途中通りかかった雑貨屋さんで見つけた可愛いデザインの夜会用仮面を着けていたのでしたわ。新しいお洋服や髪飾りって、買ったらすぐに身に着けてみたくなりますもの。
「じゃーん、ワタクシでした♪」
「シャーロットさん!? な、なぜ君が!?」
「まぁ。やっぱり気づいてなかったのですわね? この仮面、近くの雑貨屋さんでたまたま見つけたのですわ。デザインが可愛くて一目惚れしてしまいましたの。どう、似合いますかしら?」
「か、かわいい……」
やはり殿方にもこの仮面のデザインの可愛さは伝わりますのね。
「では、ワタクシはこれで失礼しますわ。ごきげんよう、殿下」
ワタクシは、殿下や周りの護衛の騎士さん達が注目する前に、モンスターさんから生まれた料理を持って早々にその場から立ち去りますわ。
そそくさですわ。
料理に関心を持たれても困りますもの。
これはワタクシの料理ですわ。
独り占めですわ~!
そもそもワタクシ以外、この料理を食べることができませんし?
――5分ほど歩いて、周りに誰もいない場所に移動しましたわ。
いよいよ実食ですわ!
今回の料理は、カットステーキの盛り合わせですわ!
ワクワクですわ。
さっき倒した上半身は鳥、下半身は馬のモンスターさん。いったいどんなお味なんでしょう。
「鶏肉味なのか馬肉味なのか、楽しみですわ~!」
実はワタクシ、一度も馬肉というものを食べたことがありませんの。
侯爵家にいたころは、移動はいつも馬車でしたわ。
お馬さんの力強く走る姿が、ワタクシはとても好きでしたわ。
力強い太腿。優雅な曲線。お馬さんを見るたびワタクシこう思っていましたわ。
『あの脚のお肉、食べてみたいですわ』と。
その話を乗馬好きのお父様にしたところ……
とっても怒られましたわ。
数時間ぶっ通しで怒られましたわ。
2度とこの話はするまいと固く誓いましたわ。
という訳で、実食ですわ~!
お皿には、白っぽいステーキと赤っぽいステーキが乗っていますわ。
ではまず白っぽい方から頂きますわ。
「――美味ですわ〜!」
味は完全に鶏肉ですわ。
まごうことなくチキンステーキですわ。
鶏肉らしいさっぱりとしたおいしさ。
たまりませんわ~!
期待を裏切らない鉄板の味。
ああもう、いくらでも食べれてしまいますわ!
でも名残惜しいですけど、ここで一度手を止めて。
――いよいよ、赤っぽい方のステーキを食べていきますわ。
白っぽい方は鶏肉でしたから、きっとこっちが馬肉ですわ。
脂がのっていて、とてもおいしそうですわ。
ワクワクですわ。
「念願の馬肉、頂きますわ~」
“ふわぁっ”
消えましたわ。
ワタクシのお口の中で、お肉がとろけて消えましたわ。
なんて……
なんてあっさりした脂なんでしょう!
矛盾するようですが。
この馬肉ステーキ、脂たっぷりなのにとてもあっさりしていますわ!
まず美味しいものというのは、大抵脂で出来ていますわ。
ただし脂っこいものを食べると当然、口の中に脂っこさが残りますし、胃が重くなってしまいますわ。
しかしこの馬肉は! 脂のうまみがありながら口の中に嫌な脂っこさが残らない! いいとこどりですわ!
「こんなの反則ですわ~!」
そして馬肉になれた口に今度は鶏肉を入れると。鶏肉のジューシーさが染みわたりますわ!
鶏肉と馬肉。交互に食べることで無限に美味しいですわ!
パクパクですわ!
さっきのモンスターさん、まるで丸ごとステーキにされるために生まれてきたかのような存在ですわ。
ステーキを口に運ぶ手が止まりませんわ~!
「……完食ですわ」
ワタクシ、大満足ですわ~!
『ボスクラスモンスター“ヒポグリフ”を食べたことによりレベルが5上がりました』
『ヒポグリフ捕食ボーナス。風属性魔法“トルネード”を修得しました』
そしていつもの耳鳴りですわ。
今度は風属性魔法が使えるようになりましたわ。
「折角だし、試してみますわ。“トルネード”ですわ」
ビュオオ、と。
ワタクシの目の前で風が巻き起こりますわ。風は森に落ちていた落ち葉や木の枝を巻き上げながら、大きな渦になりますわ。森の木も折れそうなほどの勢いですわ。
「まぁ、凄い勢いですわ。でもこの魔法……ハズレですわ」
ワタクシのギフト【モンスターイーター】は、モンスターを倒す魔法の種類によって出てくる料理が変わりますわ。
ジャック・オ・ランタンさんを炎属性魔法で倒すと暖かいスープに、氷属性魔法で倒すと冷製スープになるように。
でも、風を使って料理することなんてありませんもの。この魔法でモンスターを倒しても、きっと何の料理も出てきませんわ。
「しょんぼりですわ……」
その時でしたわ。
「あら、この気配は……」
これまであんまり来たことがない方へ歩いてきたからか、これまで感じたことのないモンスターさんの気配を察知しましたわ。大体ここから1キロほどでしょうか。
特別大きな気配ではありませんけど、折角なので食べてみたいですわ。
「何体かいらっしゃいますわねなんでしょう、この不思議な動き方は……」
ワタクシは、森の地図を取り出しますわ。
気配のする方角にあるのは……。
「湖ですわ」
これまでワタクシ、陸上のモンスターさんしか食べたことがありませんでしたわ。
水の中にいるモンスターさんはどんな味がするのか、楽しみですわ~!
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◇◇◇シャーロット・ネイビー◇◇◇
◇◇◇パラメータ◇◇◇
LV:56
HP:52/52
MP:74/74
筋力:44
魔力:69
防御力:56(+ボーナス105)
敏捷:37
◇◇◇スキル◇◇◇
〇索敵LV8
〇オートカウンター(レア)
〇無限アイテムボックス(レア)
〇状態異常完全遮断 (レア)
〇オートヒール(レア)
〇全属性魔法耐性LV10
◇◇◇使用可能魔法◇◇◇
〇プチファイア
〇プチアイス
〇パラライズ
〇ファイアーボール
〇トルネード[New!!]
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