第18話 (モブ冒険者視点)無欲な英雄シャーロット、街の人々を栄養失調から救う
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夜の冒険者ギルドは、今日も大盛り上がりだった。
受付嬢が、いつもの語りで場を沸かせている。
「そしてこれが、シャーロットさんが初めて冒険者ギルドに持ち込んだ素材です!どーん!」
「「「うおおおおお!!」」」
「何度見ても凄い量だぜ!」
受付嬢がシャーロットのこれまでの功績を紹介するたびに、冒険者たちが大いに盛り上がる。
「そして今日は! あのシャーロットさんが無償で害獣駆除した話をしましょう」
受付嬢が熱っぽく語り始める。
「ことの発端は昨日の朝。いつものように冒険者ギルドでサンドイッチを食べていたシャーロットさん、サンドイッチにレタスが入っていないことに気づきます」
「ふむふむ。それでそれで? 早く続きを聴かせてくれ!」
「私は畑を荒らしているモンスターのせいで野菜が取れなくなっていることと、農家さんがお金がなくてモンスター駆除依頼を出せないそうです、という話をしました。すると、優雅に微笑んでいたシャーロットさんの眼光が、途端に鋭くなります。そして、『モンスターを退治しに行く』と言って、畑の方へ向かいました」
「ちょっと待ってくれよ、。それじゃシャーロットさんはクエストを受注せずにモンスター駆除に向かったということか?」
受付嬢がニヤリと笑う。
「その通り。シャーロットさんは、なんと無償でモンスターの駆除に向かったのです!」
「「「うおおおおお!!」」」
酒場が歓声に包まれる。
「そしてこれがシャーロットさんの討伐したラージラビットの討伐証明素材です! どーん!」
受付嬢が、机の上に木箱を乗せる。ガラス張りになっており、中には魔法で防腐処理されたラージラビットの耳が標本のように飾られている。
「すごい、これだけの数のラージラビットを……!」
「だけど、シャーロットさんは本当に無償でモンスターの駆除なんかしてつらくはないのか?」
と、1人の冒険者が疑問を口にする。
「そう! 気になりますよねそこの点! 私もシャーロットさんにそう聞いてみました! すると……」
冒険者たちが、固唾を飲んで聞き入る。
「シャーロットさんは一言『ワタクシにとっては、レタスの入ったサンドイッチが食べられることが何よりの報酬ですわ』、とおっしゃいました」
冒険者ギルドが、一瞬静まり返る。そして
「「「かっっっけええええええぇ!」」」
一気に湧き上がった。
「私にはわかります。シャーロットさんは『確かにワタクシは報酬としてお金を受け取ることはできませんでしたわ。でも、この街の皆様がこれまでと同じようにレタスを、野菜を食べることができたのであれば。皆様を栄養失調から救うことができたのであれば。ワタクシにとっては、それが無上の幸せですわ。金銭の報酬など不要ですわ』と言いたかったのだと」
受付嬢は熱弁する。
「そして、それを短く詩的に表現すると――」
「『レタスの入ったサンドイッチが食べられることが何よりの報酬』!!」
酒場にいた全員が、拳を上げて唱和する。
「強いだけじゃなくて、優しくて気高いぜシャーロットさん……! そしてキメセリフのセンスも最高だ。俺もあんな冒険者になってみてぇ!」
「決めた! 俺は明日から優しくなる! 俺なんかにできることは大してないけど……。それでも、駆け出し冒険者に優しくアドバイスしたり、ダンジョンに落ちてるゴミを拾ったりするぜ」
「じゃあ私はもっと強くなります! シャーロットさんに少しでも近づけるように、負担を減らせるように! 訓練の時間を倍にします!」
「さてここでみなさんに提案です! シャーロットさんの功績を讃えるために、ラージラビットの耳の標本を冒険者ギルドの壁に飾ろうと思うのですが、いかがでしょうか!?」
「「「さんせーい!」」」
こうして、冒険者ギルドの出入り口にラージラビットの耳が飾られることになった。








