第106話 聖女の一族との因縁を断ち切りますわ
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「貴方がシャーロット・ネイビーか」
ワタクシ達が食事を終えてテーブルで談笑していると。壮年の殿方が部下と思しき方々を連れて声を掛けてきましたわ。
「俺はバラガウ。冒険者ギルドシルバーベイン支部長にして今回のモンスタースタンピードの総司令官を務めている。今回の貴方の活躍で、死人も出ずモンスターをここで食い止めることができた。心から感謝したい」
「光栄ですわ。ですけれども、ワタクシだけの手柄ではありませんわ。ワタクシの素晴らしい仲間があってのことですもの」
ワタクシは、パーティーメンバーの3人の方を手で示しますわ。
「もちろん存じている。火薬を生成して小型モンスターを一掃したユクシー殿。卓越した剣技で小型モンスターを寄せ付けなかったアウロフ殿」
ユクシーさんと殿下が頷きますわ。
「そして、モンスターを引き寄せるというこれまで冒険者ギルドで把握していなかった未知のギフトを使い、絶体絶命の状況から街を救ってくださったアリシア殿。貴方達にも、心より感謝申し上げる」
「アタシの力はそんな大したもんじゃないわよ。一人じゃモンスターを引き寄せるだけで倒せはしない、役に立たない力なんだから」
などと言いつつも、アリシアさん嬉しそうですわ。
そのとき。
「随分浮かれているのですね、アリシア」
冷たい声とともに現れたのは、以前にもお見かけした聖女の一族の当主、セレスティア様。後ろにはワタクシと同じくらいの年の聖女様も控えておりますわ。
「げ。出たわね、クソババァ」
「アリシア、あなた当主である私に何という口の利き方ですか!」
「あいにく、どっかの誰かさんに追い出されてアタシはもう聖女の一族じゃないもんで。アンタが聖女の一族の当主だろうがなんだろうが、知ったこっちゃないわよ」
二人の間で火花が散りますわ。
「アリシア、あなた偶然が重なって少しばかりモンスタースタンピードで功績を挙げたからと言って、調子に乗っているのではなくて? あなたは忌まわしい力【黒の聖女】なのだから、もう少し弁えて――」
「君たちが戦っている様子は見せてもらった。アリシア・ウィンザー。今回の戦いでの活躍、見事だった」
話に割ってきたのは、アウゼス殿下ですわ。いつの間にか服を着替えて仮面を外して、王太子として登場なさいましたわ。
「アウゼス殿下!? なぜ貴方がここへ……!?」
「たまには抜き打ちで現場を視察しようと思ってね。それより、今のアリシアさんへの発言が気になってね。確かに彼女は一人で大型モンスターを倒す力はない。だが、モンスターの群れを誘導して戦況を大きく変えた。客観的に見て今回の戦いでの彼女の功績は非常に大きいと思うが。どうだろう?」
「……いえ。先ほどの発言は間違いでした。おっしゃる通り、アリシアの功績は大きいでしょう。……あくまで今回の戦いに限って言えば、ですが」
「『今回の戦いに限って言えば』、ねぇ。往生際の悪いババァだわ」
セレスティアさんが歯ぎしりなさいますわ。
「なるほど、これであなたの【黒の聖女】も全く使い道のない忌まわしいだけのギフトではないことが分かりました。忌まわしい力も忌まわしい力なりに、使い道があるのでしょう。一族に戻ってきなさい、アリシア」
「……何ですって?」
アリシアさんが思いっきり額にしわを寄せますわ。
「あなた、母親のような偉大な聖女になるのが夢だったのでしょう? 一族以外でどこでその夢を叶えるというのです。冒険者ごっこのお遊びは終わりにして、戻ってきなさい」
というセレスティアさんの提案を。
「だーれが戻るかっての! バーカ!」
アリシアさん、舌を出してあっかんべーしながら断りましたわ。
一瞬でセレスティアさんの顔が真っ赤になりますわ。
「あなた! 当主である私になんということを!」
「だからアタシはもう一族じゃないっての。当主の座を用意されても戻らないわよ。夢は今のこのパーティーで叶えるわ。アタシにはもう、アタシのことを必要としてくれて、絶対にアタシのことを忌まわしいだとか言わない、最高の仲間がいるのよ」
そういってアリシアさんは、親指でワタクシ達の方を指しますわ。
「……いつか『やっぱり戻りたい』と言っても知りませんからね」
そういって、屈辱を背中ににじませながらセレスティアさんと若い聖女様は帰っていきますわ。
「アリシアさん、これで一族との因縁は決着ですわね」
「ええ。すっきりしたわ」
アリシアさん、とても晴れやかな顔をしてらっしゃいますわ。
「……ところでユクシーさん、聞きました? さっきアリシアさん、ワタクシ達のことを『最高の仲間』とおっしゃってくださいましたわよ!」
「聞いたよシャーロットお姉さん! 確かに言ってたよ!」
ワタクシとユクシーさんはハイタッチしますわ。
「わー! うるさいわねアンタ達! 忘れなさいよ、もう!」
アリシアさんが顔を真っ赤にしますわ。
そして。
”ドサッ”
アリシアさん、急に倒れてしまいましたわ。
「どうしましたのアリシアさん!? 大丈夫ですの!?」
「平気よ。ギフトを使ったら、なんだかすっごい疲れただけよ。あのババァの前で倒れるのは癪だったから気合で立ってたけど、もう無理だわ……。悪いけど、宿まで運んでくんない?」
「お安い御用ですわ」
ワタクシは、アリシアさんを背負って宿へと向かいますわ。
こうして、ワタクシ達が初めて参加したモンスタースタンピードは無事に終了したのですわ。
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