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第10話 侯爵家のころのメイドがワタクシを慕って追いかけてきますわ

皆様の応援のおかげでランキング4位達成しました!


ありがとうございます!


今後とも応援よろしくお願いします!

「いい朝ですわ~」


 ワタクシの朝のルーティーン。


 それは街の宿を出て、散歩がてらレストランにサンドイッチを食べに行くことですわ。


 ワタクシのこの街での行きつけのレストラン“冒険者ギルド”は24時間営業なのが素晴らしいですわ。


 それに何より、サンドイッチがとっても美味しいですの!


「シャーロットさん、おはようございます!」

「おはようございます!」


 最近は、お店に入ると何人かのお客さんが挨拶してくれるようになったわ。


「ごきげんよう、皆様~」


 これでワタクシも、“常連”の仲間入りができたのかしら♪


 嬉しいですわ。


「さて、今日は何のモンスターさんを狩りに行きましょうかしら」


「探したッスよ、お嬢様~!!」


 レストランに突然、メイド姿の少女が飛び込んできましたわ。


 そして、ワタクシの胸に飛びついてきますわ。


「ご無事だったんですね、お嬢様! 良かった! 本当に良かったッス~!」


 大泣きしていますわ。


 小さい背丈。クセのある栗色の髪。まるでリスのような印象を受ける少女ですわ。


 目まぐるしく表情が変わるのがとってもかわいいんですの。


 この子はマリー。侯爵家にいたときのワタクシの専属メイドですわ。


「どうしましたのマリー、そんなに大泣きして」


 ワタクシはマリーの頭を優しくなでます。マリーの髪はふわふわしていてとっても心地が良いですわ~。


「だってお嬢様が森の中で1人で放り出されたって聞いて。お嬢様がモンスターに食べられてたらどうしようかと思ってええええぇ」


「まぁ。ワタクシがモンスターに食べられるだなんて」


 むしろワタクシがモンスターを食べましたわ。


 パクパクでしたわ。


 ワタクシが涙をハンカチで拭くと、マリーはようやく落ち着きますわ。


「そうだ、私こんなものを預かって来たッス!」


 マリーが取り出したのは、1本の鍵。


「ジェイス様から預かって来たッス。もしお嬢様が生きていたら、もう使う予定がないこの街にあるジェイス様の別荘を好きに使って良いと仰っていたッス」


「まぁ。ジェイスお兄様が?」


 ジェイスお兄様はワタクシの実の兄ですわ。


「ジェイス様は、お嬢様の追放について大変お怒りで当主様と大喧嘩してたッス。侯爵家の存続に関わるようなことにならなければ良いッスけど……いやむしろ、お嬢様を追放した侯爵家なんて滅んじゃえばいいんッス!」


「まぁまぁ。あんまりそんなことを言ってはダメですわ」


 というわけで、早速ワタクシとマリーはお兄様の別荘へ向かいましたわ。


 大きさは侯爵家よりも大分狭くなるけど、1人で住むには十分すぎる程だわ!


 小さいながらもお庭もありますわ~。


「ワタクシ、バーベキューがやってみたいですわ」


 お父様に禁止されていたので、一度やってみたかったのですわ。


 ワクワクですわ。


「それでお嬢様。1つお願いがあるんスけど……」


 マリーが手をもじもじさせているわ。何かしら?


「お嬢様さえよければ、またメイドとしてこの屋敷で働かせて欲しいッス」


 マリーがワタクシを見上げて訴えてきますわ。


「捨て子だった私は、お嬢様に拾っていただけなかったらとっくにどこかの路地裏で死んでいたはずッス。それに、屋敷に来て全然仕事が出来なかった私に優しくしてくれて、お嬢様には感謝しきれないくらい感謝しているッス。だから、無償でも良いのでお屋敷に置いて欲しいッス! よそで働いて自分の食い扶持は自分で稼ぐッス。だから……」


 本気ですわ。


 タダで働くなんて不利な申し出をしてるのに、目が真剣そのものですわ。


「ほら、このお屋敷にお嬢様1人だと掃除が大変じゃないッスか! メイドが1人くらいいないとやっていけないっスよ! だから――」


「だ~め♪」


「どうしてそういうこと言うんスか~!」


 マリーが泣いちゃいましたわ。


 へたり込んで、大泣きしてしまいましたわ。


「駄目ですわマリー。そんな、タダで働くなんて言っては」


 そういってワタクシはお財布から出した金貨を一枚差し出しますわ。


「働いてもらうからには、ちゃんとお給料はお渡ししますわ。それにね、ワタクシ侯爵家での暮らしが長すぎて、あなた無しでは生きて行けそうにないのですわ」


「お、お嬢様……お嬢様あああああぁ~!」


 マリーがワタクシに抱きついて来てますます泣いてしまいましたわ。


 大号泣ですわ。


 マリーは家事が得意で、特にマリーの焼くパンケーキは絶品ですの!


 あれがないとワタクシ生きていけませんわ~!


 早速作って欲しいですわ。


 ワタクシはマリーが泣き止むまでフカフカの髪の毛を撫でていましたわ。


 モフモフですわ。


 一日中撫でていられますわ~!


 10分ほどそうしていますと、マリーがようやく落ち着きますわ。


「泣き止みましたわね? マリー。さぁ、早速出かけますわよ~」


「へ? 出かけるってどこへッスか?」


「ご飯を食べに森へ行きますわ。さぁ、マリーも一緒に」


「ええ、森へ行くッスか!? 危ないッス! モンスターがいて危険っスよぉ」


「大丈夫ですわ。この辺りの森に危険なんてありませんわ~」


――――――――――


「ほら出たッス! ほーら出たッス! お嬢様、早く逃げるッス!」


 森に入るとすぐに、狼さんが出てきましたわ。


 まぁワタクシ、狼さんがそこにいるのは森に入る前からわかっていましたけど。


 1キロ周囲のモンスターさんの気配は丸わかりですわ~。


「お嬢様。私が時間を稼ぐッス! その間に早く逃げ――」


「狼さーん、こちらへいらっしゃいですわ~♪」


「お嬢様ー!? 何挑発してるッスか!?」


 手招きすると、狼さんがこちらへ飛び掛かって来ますわ。


『ガウッ!』


 狼さんがワタクシの手に噛みつきますわ。


 でも。


“ボキンッ!”


 牙が折れてしまいますわ。


 ワタクシの手には、傷一つついていませんわ。


「ほらね? 大丈夫でしょう?」


「え、ええええ!? なんでッスか?」


「さぁ、よくわからないですわ。多分この辺りに棲んでいるモンスターさんって見た目は強そうでも全然弱いのですわ」


「いやいやいや。そんなはず無いッス!」


「ではマリーは、ワタクシのお肌がカッチカチになっているとでも言いますの?」


 失礼しちゃいますわ。


 毎日ちゃんとハンドクリームも塗ってますのに。


 ワタクシは、まだワタクシの手に噛り付いている狼さんに目を戻しますわ。


「“プチファイア”ですわ」


 狼さんを、炎が包み込みますわ。


「お嬢様、その魔法の威力は何ッスか!? 強すぎッスよ!」


「そんなことないですわ~。普通ですわ、普通」


 最近見た目が少し派手になったような気はしますけど。


 炎に焼かれて、いつものように狼さんがステーキになりましたわ。


 今日もお皿とナイフとフォークもそろっていますわ。


 至れり尽くせりですわ~。


「お嬢様、なんッスかコレ!?」


「ワタクシのギフト【モンスターイーター】の効果ですわ。ワタクシが倒したモンスターさんは、料理になりますの」


「そんなんありッスか!?」


 ふふふ。


 わかりますわその反応。


 ワタクシも最初はびっくりしましたもの。


「さて、頂きますわ~」


 美味しいですわ!


 このジューシーさ、たまりませんわ!


 パクパクですわ!


「いいなぁ、お嬢様……」


「もちろんマリーにも分けて差し上げますわ。はい、あーん」


 ワタクシはステーキ肉を切って、マリーにおすそ分けしますわ。


 お肉はマリーの小さくてかわいらしいお口に入る……寸前で消えてしまいましたわ。


「あら?」


 不思議ですわ。


 煙のように消えてしまいましたわ。


「お嬢様、私のお肉は? 私のお肉はどこに行っちゃったんッスか?」


「ごめんなさいマリー。ワタクシのギフトで作ったお料理は、ワタクシしか食べられないみたい」


「そんなああああぁ」


 涙目になるマリー。


 ごめんなさいマリー。ワタクシ、あなたのそんな表情も可愛いと思ってしまいますわ。


「……あら?」


 近くに、これまで見たことないモンスターさんの気配がしますわ。


 どんなモンスターさんに会えるか、楽しみですわ~♪


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[一言] うっわ。メイドさん目の前でドロップ料理食べるところ見なきゃいけないとかナマゴロシ… お嬢のスキルだから他の人は食べられないのかな? でも、お嬢が手を付ける前にメイドさんが手に取れたりすると食…
[一言] 多分、イメージはうまなんだろうけど、感想欄がぶっちゅっばなの草
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