第1話 実家追放されましたわ
短編がとても人気が出た&「連載版が読みたい」という声を頂きましたので連載版をスタートさせました!
短編版とは細かい部分で設定が変わります!
「ワタクシ、追放されてしまいましたわー!」
ワタクシの名前はシャーロット・ネイビー。15歳。
実家を追放されて、森のなかにたった1人放り出されていますわ。
まずは何故ワタクシが追放されたのか、順を追って説明いたしますわ。
――――――――
「15歳の誕生日おめでとう、シャーロット」
立派なあごひげを蓄えた男性。ワタクシのお父様が笑顔で祝福してくださいます。
「ありがとうございます、お父様」
この世界では、15歳になると“ギフト”という不思議な力を授かるのですわ。
“ギフト”の影響はとても大きく、“ギフト”によって人の人生は大きく変わりますわ。
しかし逆に、役に立たない“ギフト”を授かり、『役立たず』と言われて生まれ育った家を追い出される事もあるのだそう。
ワタクシとお父様が今いるのは、侯爵家の応接間。これからギフト鑑定士様を迎えて、ギフトの鑑定を行うのですわ。
「不安か、シャーロット?」
父上が優しい声でたずねてきますわ。ワタクシは頷きます。
「ははは。心配することはない。ギフトに頼って生活しているのは、農民や騎士、モンスターと戦うことを生業にしている者達だけだ。彼らにとって、ギフトは生命線だ。だが我々貴族は、ギフトに頼らずとも生きていける。私も実は攻撃魔法のギフトを持っているんだが、使ったことはほとんどない。どんなギフトを授かっても、お前を追い出したりはしないさ」
と、仰っていたのに――
「シャーロット、お前は侯爵家に相応しくない! 今すぐ出ていけ!」
ワタクシは追放を言い渡されてしまいましたわ。
お父様の嘘つきー!
「なぜですの、お父様!」
「決まっているだろう! お前が授かった【モンスターイーター】は『モンスターを美味しく食べられるようになる。モンスターを食べるほど強くなる』というギフトだが、卑しいにも程がある! モンスターを食べるなど、下品すぎる! こんなスキルを持った者がいると我が侯爵家の品位が下がる! 即刻出ていけ!」
こうしてワタクシは、侯爵家を追放されてしまったのですわ。
「さて、これからどうしましょう……」
持ち出せたのは、旅行用のケースに詰め込めるだけのお洋服とお小遣いだけ。ご飯を用意するための道具などは1つも持っていませんの。お腹がすいたらどうしましょう……。
しかも悪いことに、屋敷はお父様の意向で森の中に建てられています。近くにレストランなどはとてもありませんわ。
「確か、街は北の方にあったはずですわ。街に行けばレストランがあるはずよ。ええと、いつも太陽が昇ってくるのはあちらの方角だから……」
というわけで、私は街を目指して歩き始めましたわ。この森にはモンスター出るらしいけど、そんなに簡単に遭遇しないはずですわ♪
――――
「モンスターが出ましたわー!?」
街を目指して森の中を歩き始めて5分。
樹の陰から、小さなモンスターが飛び出してきましたの!
“ぷよんっ”
いくらモンスターだとか物騒なものに疎いワタクシでもこれくらいは知っていますわ。
スライム。半透明の粘液の塊のような小型モンスターですわ。
「きゃああああぁ! 食べられてしまいますわ! 早く逃げ――きゃん!」
慌てて足がもつれて転んでしまいましたわ。動けないワタクシに、ぷよん、ぷよんとスライムさんが近づいてきますの。
「ワタクシ、大ピンチですわー!?」
そんな時、ふと家庭教師の先生に教わったことを思い出しましたわ。
『どうしても自分の身を自分で守らなくてはならなくなったとき。この魔法を使いなさい』
「ええと、なんでしたっけ……かわいらしい名前の魔法ですわ。プチ……プチ……そう、“プチアイス”ですわ!」
ワタクシの手のひらから小さな氷の塊から飛び出して、ふらふらしながらスライムさんに当たりますわ。
“ぷきゅん!”
可愛らしい声を上げて、スライムさんが弾けて消えます。
「ワタクシ、スライムさんに勝てましたの……?」
ワタクシはハンカチで額の汗を拭います。
「怖かったですわ。もう二度とモンスターなんかと戦いたくないですわ! ……あら?」
スライムさんがいた場所に、何かが落ちていますわ。これは――
「シャーベットですわー!?」
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