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もう一度

「……バメオロス、なのよ、ね?」

 短い白い髪はどこか神秘的で。でも、穏やかな黒の瞳は全く変わっていない。

「ああ。まだ、そんなに長い時間この姿を保つことはできないが」

 バメオロスが、頷く。

「あなたは、恋と愛を見たいと言ったが。私は、恋と愛をしているあなたが見たい」

「残念だけれど、いくらバメオロスの願いでも叶えられそうにないわ」

 私がそういうと、バメオロスは悲しそうにそっと目を伏せた。そして、いつもの獣の姿になる。

『あなたをそう頑なにさせるのは──、アイルーマでの出来事が原因か?』

「……そうね」


 この世界は、ルナのための世界だった。世界の悪役に選ばれた私には愛も恋も与えられなかった。今はもう違う。私は私の人生を歩めるのだろうけれど。それでも。期待などしないほうが、とても楽なのだ。


『……そうか』

 バメオロスが私に身を寄せた。

 私は、バメオロスの背を撫でる。手触りの良いふかふかな毛が気持ちいい。

「でもね、バメオロス。今の私は幸せなの」


 だって、思う存分自堕落な生活ができて、バメオロスという友達もいる。それに、旦那様は、私に恋を見せてくれるし。


 私がそういうと、バメオロスは俯いた。

「バメオロス?」

 バメオロスは答える代わりに、悲しそうにミャアと鳴いた。






 翌朝。

 いつものように、支度をして朝食の席に向かう。朝食をとっていると、旦那様と目があった。

「どうされました?」

「君のことを、考えていた」

わぁお。旦那様ってば大胆ー、とふざけるのはやめにして。なにかしら。


「そろそろ、私も同行する公務ですか?」

「昨夜もそうだが、君はあえてとぼけているのか? ……いや、言葉が伝わらないのは、私のせいか」

 旦那様は、一瞬目を伏せ、それから、私をじっと見つめた。

「初夜は本当にすまなかった。私は、君を傷つけた」

「その件については、以前も謝罪をいただきましたが、傷ついていないので陛下が謝られる理由がございません」

「それでも──、謝りたい。すまなかった。そして、昨夜もいった通り、君を尊重し、守ると誓う。だから、もう一度私に、チャンスをくれないか」

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