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一方、クリナたちは

 ふわふわとした甘い快感が、脳から抜けきったのはあれから3日後。

 幸い、あの炎に中毒性はなく、完全に回復することができた。


 だが、クリナの胸には、ぽっかりと穴が開いたようだった。


 これまでパーティを引っ張ってきた大黒柱、ナズがいないからだ。

 確かにここ数か月は役に立たなかったかもしれない。

 だが、このパーティには彼が必要だった。


 いくら「不死」のスキルを持っているとはいえ、死ねば死ぬことに変わりはない。

 死ぬのは、誰だって怖い。

 それなのにナズは、パーティの為に何度も死んだ。

 死んでまでして、パーティを導いてくれた。


 そんなナズに、クリナは密に思いを寄せていた。

 だが今、そのナズは……。


 クリナは、いてもたってもいられなかった。

 今すぐにでも、ナズを探しに行きたかった。


 ドラゴンの攻撃を受けてしまったが故に、ギルドに絶対安静を言い渡されていたが、ようやく快復した。

 これでナズを探しに行ける。


 ――なのに。


「ガナイア、君があんなことを言わなければ、ナズが自らを犠牲にすることはなかったんじゃないか!?」


「お前も、あいつのおかげでここにいるんだろ? だったら同罪だ」


「そうだけど……」


 頼れる仲間は、喧嘩をしていた。


「言い合ってる場合じゃないですよ! 早くナズを助けに行かないと!」


 パトルは、ガナイアを睨んでいた視線を一瞬だけクリナによこすと、

「わかってるよ!」

 と叫んだ。


 鬼気迫る表情のパトルと対照的に、ガナイアはゆっくりベッドに腰を掛ける。


「別にそんなに急ぐ必要はないんじゃねーの? だってあいつ、死なねーんだろ?」


「ガナイア!!」


 パトルは、ガナイアの胸倉を掴み、ぐいと引き寄せる。


「仲間なんだぞ!! 仲間を放っておいていいのか!!」


「役に立たねぇ木偶の坊が仲間ねぇ」


「役に立つ立たないじゃないだろ!!」


 パトルに怒鳴られたガナイアは、やれやれといった様子で、大きなため息を吐いた。


「わかったよ。あの能無しを、探しに行けばいいんだろ?」


 パトルの手を払いながら、ガナイアは言った。


 もはやこれでは、パーティの役割を果たせない。

 そのせいで、ナズを1人置き去りにしてしまった。

 その事実が、クリナの心臓を、何度も何度も突き刺した。


 

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