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最後のダンジョン

 その戦闘を終えてからしばらく歩いて、俺達はダンジョンの深部へと至った。

 ここは人類にとっての最前線、前人未到のダンジョンだ。

 その深部ともなれば、何が待っているかはわからない。


 まず俺達を出迎えたのは、門とも見紛うほどの巨大な扉。

 この奥に、ダンジョンの主が待っているのだろうか?

 

 周りに敵の気配は感じない。

 ともなれば、このダンジョンで一息つけるのはここが最後だろうか?


 そのことを察したパーティメンバー・ガナイアが、これ見よがしに大きなため息を吐く。


「ふぅ。まったく、役立たずを一人介護するのも、骨が折れるぜ」


 俺達のパーティは4人。

 勇者候補のガナイア、戦士のパトル、盾のクリナ、そして俺。

 このメンバーの中で、現状最もパーティに貢献できていないのは、間違いなく俺である。


 そのガナイアの言葉に噛みついたのは、パトルだった。


「役立たず……? 誰のことだい?」


「へ、言わせる気かよ」


 ガナイアは口をへの字に曲げると、その視線を俺へと流した。


 俺も理解はしている。

 いま、自分はこのパーティにとってお荷物であると。


 その時、俺とガナイアの間に、クリナが割って入ってきた。


「ナズは、私達パーティをずっと引っ張ってきてくれたんですよ!? そんな言い方――」


「俺はナズだなんて一言も言ってねえけどなぁ」


「そ、それは……」


 ガナイアは俺の肩をポンと叩くと、パトルとクリナに順々に目をやる。


「お前たちもわかってんじゃねえか? そろそろ、こいつとやっていくのは無理だって」


 パトルもクリナも、目を伏せた。

 誰もガナイアの言葉を、否定できないのだ。


「だ、だけど、僕達がこうして最前線にいられるのも、ナズのおかげじゃないか! ナズが死さえも恐れずに戦ってくれたから――」


「生き返るんなら、死ぬのなんかこわくないさ。なぁ、ナズ。何とか言ったらどうだ?」


 先程から俯き、沈黙を貫いている俺に対して、ガナイアが顔を近づける。

 鼻が触れるのでは、と言える距離まで。

 そして――


「ここで死ぬのと、俺達の前から去るの、どっちがいい?」


 と俺の耳元で囁いた。


 俺がガナイアへと視線をやった瞬間、ガナイアはふっと離れる。


「もちろん、生き返るのはナシだ。骨まで焼き尽くしてやるよ」


「……ガナイア……今ナズに何を言った!?」


 パトルはついに、ガナイアに掴みかかった。

 彼の鎧の首元を掴み、ぐいと近づけたのだ。


「根暗の意見を聞いただけさ」


 なおも態度を改めないガナイアに対し、パトルは自らの魔力を脈動させた。

 あまりの苛立ちに、魔力の制御を失っているのか。


「ガナイア!!」


 その魔力が、稲妻となって顕現した瞬間、俺はパトルの肩を叩いた。


「……いいんだ。このダンジョンを抜けたら、俺はパーティを降りる。それでいいだろ?」


 俺の瞳は、今にも涙で滲みそうだった。

 ウルウルと歪み始めた視線を、ガナイアへ向ける。

 

 そんな俺の手を、クリナは優しく握ってくれた。

 俺はクリナの手を握り返し、このパーティで挑む最後のダンジョンの……最奥部へと続く扉を開いた。

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