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彼は王子様になれない  作者: カキノキ
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いままでのこと その4

2話目です。



レオン王子の婚約者に家柄や年齢も、ちょうど合うのが彼女“ローゼマリー・クリスタル”。

彼女しかいなくて、とりあえずの婚約者候補として登場してた。


…なるほど、ここで顔合わせ失敗したからゲームでも候補状態だったのか。

“ローゼマリー”は流石に私と違って、ギャン泣きしたとは思えないけどね~。


それでも彼女は婚約者になるのは自分しかいないって、王子に絡んでたのよね。

いわく最初に会った時それはもう王子が優しくしてくれたそうで、だから絶対彼は自分のことを好きだとかなんとか…とんでも理論を……あ~?

親切には…もの凄く心当たりがあるよ?

惚れてはないけど、知らずに見事にシナリオに沿ってますわ…。


いや、気付いたのが今で良かった。

アレだけ醜態を晒したんだし、さすがに“候補”もないでしょうけど。

でもダメ押しにお父様へ「私じゃ無理です」をアピールしておきますか。



「お父様、今回のことで自分がいかに足りない人間か分かりましたの。お兄様に言われるまでもなく、レオン殿下の婚約者のような大役、到底務まるとは思えません。それは他の殿方に対してもです。私、まず自分をしっかりと高めたいと、いえ高めるべき時期だと確信しておりますの!クリスタル公爵家の娘として、いつかは嫁ぐことは分かっておりますが、あまりの己の未熟さに今は到底考えられません。今まで我がままを随分申しておりましたことは分かっております。ですが今後の行動にて私の覚悟のほどを見ていただけませんか?」



普段家族と会話がないから、どういう風に喋ったらいいのか分からないけど。

先手必勝。

言うだけいってみようー!って、お話させていただいたんですが。


また全員止まるし、アピール作戦失敗ですか?

転生特典で、時空属性でも手に入れた訳でもないよねぇ。

あ、お約束『ステータスオープン!』やってないわ。

ゲーム違いだけど出るかも知れないしね。出たら楽しいだろうな~。

魔法はあるから、ぜひ“自分を高める為”にも勉強させてもらおう!

本音は、やってみたいだけ。

歴史とかも楽しそうよね!ゲームの設定の裏が分かるんだよ?

図書室の本もチェックしないとねー!

なんたってリアルファンタジー。絶対面白い本とかあるよ。喋る本とかありませんかね。

あんなステキ空間を“ローゼマリー”は避けてたんだよね。

もったいない。自分として許せないわ。



「あ~、ローゼマリー?」


「はい、お父様」


「お前は、本当にローゼマリーか?」


「…先ほども同じ質問をされてましたわね。間違いなくあなたの娘ですわよ!」


ただしプラスもう一人分の記憶持ちだけどね。

精神的には転生前が主流です。

これって、私が乗っ取ったことになるのかしら。

中二病が治ったみたいな扱いにならないかな。


「ふむ、確かにその親を親とも思わぬ不遜さ。そして容赦なく咬みつく様はまさしくローゼマリーだ」


ええ~?一体親とどんなやり取りをしていれば、こんなコメントが来るの?

種族が人間じゃなくて闘鶏とか闘犬だったのかしら。



「それで自分を高めるなどと言いだしたが、一体どのようにするつもりだ?ただ見ていてくれなど、それは己を律する心を持ち、行動できる人間が言ってこそだろう。何もなさず殿下だけでなく他の者も婚約者に据えるな等、お前が言える立場だと?」


まぁ、そう言いたくなるよね。

わがまま信用度0の“ローゼマリー”がするつもりです~だけ言っても、絶対無理。

私も信じられない。

たった5歳だというのに、この圧倒的な信頼のなさは、なんなのか。

さすが悪役キャラと言うべき?



「それについてお願いがございますの、今はマナーの先生と教養の先生お二人が来て頂いてますが、一週間後試験をして頂き、私の実力がどれほどのものか知りたいと思っております」


「なぜ一週間だ?実力を知りたいなら明日でも構わないではないか」


「少し熱のせいかボンヤリしていて、自分がどこまで出来ていたか見直す時間が欲しいのですわ」


そうですね、お父様の言うとおり抜き打ちが一番良いんだけど、記憶はあっても何となく~的な感じが強いのよね。転生前の記憶が強すぎて、5歳の頃の勉強って一体どれくらいの勉強をしていたのか。ノートとか取ってるはずだから見直したいし、きちんとこの場所の常識を少しでも教わっておきたいのよ。

下手に出来すぎて天才だ!なんていわれる事になりたくない。


ある程度出来て、これなら魔法なども勉強させても良いなとか思ってくれるぐらいが良い。



「私、魔法に興味が出てまいりましたの。でも、あちらこちらに手を伸ばしても上手くいくか分かりませんでしょう?ですので結果を元に、今後の勉強方針を立てて頂きたいのです。もし今、学んでいることが身についていると先生方が判断した時は、魔法について学ばせて頂きたいの」


そしてとどめに精一杯お願いの気持ちをこめて、手を胸の前に組んでの上目遣い。

どやっ!前世でのカワイイ子限定お願いポーズやぞ。

鏡で見たら、キツイ顔立ちながら銀髪碧眼の美幼女だったのよね。

一応、未来では美人系悪役だけはある。これを活かさない手はないですわ。

どうよ?!

これ利くよね、ね。お願い聞いてよ~、お父様~。


「……お前が?何かを学びたい、だと?」


「信じられん、他人(ひと)の意見を聞くと…?」


「まぁ……計画的にですって?」


お願いポーズより、そっちに反応されるんですか。

今までひと言も口を開かなかったお母様まで参戦しての、家族全員で完無視ってあり得んよ。

反応してよ、恥ずかしいじゃない…。

ローゼマリーがあの性格になったの、家族の所為じゃないの?


違っても、少なくとも私の心は恥ずかしくて死ねるね!





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