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彼は王子様になれない  作者: カキノキ
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いままでのこと その1

ブックマークありがとうございます!励みになります!!


改めましてご挨拶申し上げます。


ビジューエル王国クリスタル公爵家が娘、ローゼマリーです。

日本の記憶を持った転生者で、ある乙女ゲームの悪役令嬢をしております。

ラノベでテンプレな存在ですね。



転生前はテンプレ悪役でも良い。

異世界行きたいって思ってたけど、実際『皆に嫌われたあげく味方が誰も居ない中断罪され、死んでいく存在』になるのは、ちょっと酷くない?

あの時はブラック気味の会社で正常な判断が失われてただけなのに…。

本当になるなら、それはしっかり明るい生涯設計を考えるわ。


とにかく苦しくて何処でも良いから行きたいとは思ってたけど、遊ぶ体力気力も無い。

時間もなかったし!

会社とコンピニと家をループする毎日。ハムスターの回し車に負けないくらいの周回ぶり。

好きなアプリゲームも遊ぶ元気もなくなってね…。

一応は気軽に読める漫画やラノベで気持ちだけでも逃避してたのよ。

この仕事が一段落したら絶対休む!と思いながら日々アニメを溜め、乙女ゲームを積み上げながら地味に生きていた。

そんな、どこにでもいるオタク喪女のひとりでしたのよ。

喪女がそこら辺にそんな気軽に転がってるか?それは知らん。

転生前の希望だから異論は求めない。

なのに、マジ異世界逝きですよ。





そんな生前の記憶を思い出したのは、5歳の時。


その日は朝からおめかしされ、父と母に連れられて城に遊びに行った。

今ならわかる。

遊びに行ったんじゃない、見合いだと。

最初はただ初めてきた城に喜んではしゃいでいたんだけど、だんだん疲れてきたのよね~。

公爵家の屋敷もすごいのだけど、国の中枢機関の城なんですよ?

広いわけで。それはもう規模が違う。その中を着飾って歩いていくわけですよ。

疲れる。

根性ないとか思わないで欲しい。子供だし、仕方ないと思う。



そんな中でレオン殿下に会ったんだけど、頭の中が真っ白になるって本当にあるのね。

彼を一目見て、周りのことが全部見えなくなった。

名乗って頂いたと思うし、こちらも何か返えしたと思うんだけど…そんな記憶も残ってないくらいの衝撃と言えば、少しは伝わるかしら。

とにかく、世の中にこんなに綺麗な子がいるのが信じられなかった。

さらさらなびく、それ自体が発光してるかのような金の髪。

それに縁取られ顔は、今まで見てきた中で一番美しくて。


(すごい、天使みたい…)


その時に、あれ?『天使』って、何?って思った。

ああ、羽が背中に生えてる人のこと…そんなの居るの?

だって、この世界で人型で羽が生えているのはハーピーって、この前本で…。


ん?『この世界』って、何?

あれ?あれ?



レオン殿下だけでなく、王妃様の前で固まった娘に両親は焦ってたんだけど、こっちはそれどころじゃなく大混乱。(正直、王妃様が居たのも覚えてないんだけど)

考えれば考えるほど、変なことが頭の中から浮かんでくるんだもの。

よくぶっ倒れなかったわ。



「大丈夫ですか?」


「え?」



いつの間にか、レオン殿下がそっと手を取って椅子に座らせてくれていた。

大人たちも用意されていたテーブルに着いてて、私たちを見てた。



「手が冷たいですし、緊張しましたか?気分はどうですか?」


「あの、わたし…ちが…わ、わたくしは……」



一体、自分は何なのか?


不安があふれそうな時に殿下の声と銀の瞳がとても優しくて。


それがきっかけで……大泣きしちゃったのよね~。

はははは、もう笑うしかない。

いや~、あそこで涙ポロリぐらいだったら可愛い女の子なんだけど。

ギャン泣きですよ。それはもう盛大に泣きましたの。

だって、ホントに怖かったの。自分が消えそうで。





当然、顔合わせも中止。

大慌ての両親に連れて帰られて、そのまま屋敷に帰ったら熱が出て3日寝込みました。




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