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「ねぇ、自分から楽しまないと、楽しくできないことって有ると思わない?」
文化祭で校舎中が笑顔と笑い声で溢れる中、そこについていけない人たちは必ず存在するらしい。
自分からそれを望んでいる人は放っておけばいいと杏はあっさり答えた。
ただ、本当は混ざりたいのに混ざれない人は助けないとね…
とのこと。
遠くから体育館を覗き込んでいた、しかも先輩の手を掴み、杏は走り出した。
そして、その人を私と杏の間に入れ、曲に合わせて手拍子をするように促した。
気づいたら、その人は笑顔に変わっていた。
これは能力じゃない。
でも、能力だ。