別の世界へ繋がった
板橋駅の近くにある日から居酒屋があった。
そのお店の看板には『いざかや みながわ』と平仮名で書かれていたのだ。
そして、何故か扉には『えいぎょうじかん17:00から23:30 しょくじのらすとおーだー22:30 のみもののらすとおーだー23:30』とこちらも平仮名で書かれている看板があったのである。
そして、ちょうど17時に男性のお客さんが入ってきた。
「いらっしゃい、おひとりですか?」
「はい」
「そこのイスでよろしいですか?」
「えぇ」
お客さんはカウンターのイスに座ったのだ。
「飲み物、どうします?」
「えと…生で」
「生……あー、麦酒と同じやつか」
「麦酒?」
「じゃなかったびぃるですね、瓶のやつですけどいいですか?」
「え…えぇ…」
ここのマスターはやたらと日本語がおかしいがその理由は実はこの世界の人間ではなかったのである。
以前、ある家でマスターで30歳であるミナガワ シュンは自分の家で大量の箱を片付けていた。
「やたら汚ねぇな……ん」
箱をずらすと床に隠し扉のような物があったのだ。
「これは……」
その扉をあけると階段がありその階段を下がると更に部屋がありその部屋にはもうひとつの階段と箱がひとつあったのである。
「まて、おかしくないか?」
この家は共同住宅であり下には別の住人がいるためこの部屋の存在は明らかに変だった。
そして、その部屋にあった箱を開けると色々な物があるがミナガワが子供の頃亡くなった父親からの手紙が一番上にあった。
「長い手紙だな…」
その手紙には色々なことが書いてあり読み続けるとこの部屋と階段の下は別の世界でありもしここを見つけたら下の階で居酒屋を開くことや既にミナガワ シュンをその別の世界で偽造して登録していること等が書いてあったのだ。
「…………」
そして、それからミナガワはその部屋や下の部屋を見て下の部屋から別の世界へ繋がっている扉を確認しそこを居酒屋にしたのだった。
その別の世界の部屋を綺麗にして居酒屋として営業できるようにした数日後、ミナガワは異世界の町を歩いていたのである。
この異世界は向こうの別の世界と同じ日本語しか存在せず英語等は存在しない世界だった。
また、この町はまるで中世のヨーロッパのイタリアのような町で路上には屋台のような物が並んでいた。
「ささ、野菜いかが!!」
「赤茄子、2つくれ」
赤茄子…赤茄子のこと。
「いいよ、100円ね」
ミナガワは100円玉を渡してトマトを受け取ったのだ。
この異世界は不思議なことに500円までの硬貨は別の世界の物と同じ形をしていたのである。
本来、この異世界には漢字が存在しないが硬貨を作っている場所は名前と共に別の世界の漢字と同じ形の物を記号として使っており恐ろしい程に色や形、そして、素材まで別の世界の硬貨と全く同じ硬貨になっている。
また、その硬貨を使っている場所はある政府の一族が経営しておりその際に『昭和』や『平成』という記号を使っておりその一族が別の一族に変わる際にその昭和が平成等に変わった。
なので本当にあの別の世界の硬貨と一緒なのだ。
因みに紙幣は存在せず1000円以上の硬貨は小さい銀貨や金貨として存在するがもちろん別の世界の紙幣はこっちで、異世界の1000円以上の硬貨は別の世界では使えない。
あの世界とこの世界の硬貨は殆ど同じだった、偶然?それともお父さんがワザとそういう世界に仕組んだのか?
そこへ、
「あっ、ミナガワさん」
「ん?アヤカか」
ミナガワの所にやって来たのはミナガワの年下で25歳のイナムラ アヤカだった。
「ねね、ミナガワさん、お腹空いたぁ〜」
「いや、いきなりなんだよ」
「だってぇ〜」
「わかったわかった、お昼にトマトで特力粉麺を作る予定だから作ってやるよ」
「わーい」
特力粉…特力粉のこと。
そして、ミナガワのマンションの部屋でミナガワは台所にいたのである。
「トマトで何するの?赤茄子調味料とか?」
「あ、ああ…トマトケチャップはこないだなくなったからトマトで今日、作ろうかなと」
「楽しみ〜」
ミナガワはトマトケチャップの材料を台所に並べた。
トマト(2個)、玉ねぎ、にんにく(ともに5重)、唐辛子(少々)、酢(15g)、香辛料〈乾燥生姜、桂皮…桂皮、丁香…丁香、甘少毒…甘少毒〉、塩、砂糖(ともに少々)。
一まず、鍋に水を入れ沸騰させヘタを取り除いたトマトを入れてすぐに取り出し氷水に入れて皮を剥きとる。
そしたらトマトを粉砕器に入れてすり潰し別の鍋に入れてさらにつぶしながら煮詰めて裏ごしをする。
さらに小鍋に玉ねぎ、にんにくをともにをすりおろし唐辛子と一緒に入れ水を入れて暫く煮込む。
煮込み終わったら酢と香辛料を入れて弱火で少し煮込み、煮込み終わったらトマトの鍋に入れて塩、砂糖を加えて煮詰めたら完成一
「さて、トマトケチャップはできたと…」
「どんなパスタ?」
「できてからでいいだろ?」
「無理無理教えてっ!!」
「……わかった赤茄子の焼き特力粉麺だ」
「え、初耳、何それナポリタンって?」
「それこそできてからな」
「えぇぇ!!」
ミナガワは更に台所に材料を並べたのだ。
パスタ(200g)、玉ねぎ(45g)、甘青子…甘青子(2個)、燻製豚肉(40g)、にんにく(5g)、ケチャップ(60g)、塩(少々)、乳脂肪固(5g)
一まず、玉ねぎを半分、さらに半分にし薄切りにする、ピーマンも半分にしヘタと種を取り除き横から薄切りする。
次に鍋でお湯を沸かし塩を入れパスタを茹で、茹で上がったらザルにあげておく。
平焼鍋…平焼鍋を熱してバターを溶かしベーコンと玉ねぎを炒め、次にピーマンを入れて少し炒める。
ここにすりおろしたにんにく、ケチャップ、塩を入れて馴染ませて火を通しパスタを加え絡ませて焼き上げ完成一
「さて、できたぞ、粉乳酸発酵食と辛酸調味料はいる?」
「うん!!」
ミナガワは机に粉チーズとタバスコを置いたのである。
「辛い!!でもこれ、うまいわ」
「そうだな」
「でも、どうしてミナガワさんは料理できるの?」
「……………」
この世界では政府内でしか料理を作ることができず一般人は作ることを法律で禁止されている。
父親もずっと政府で料理人をしておりこっそり子供の頃のミナガワに料理を教えたり調理法書を書いて教えたりしていたのでミナガワは料理人並に料理を作れた。
最も軽い食事は一般人でも作れて法律的に問題ない。
そして、政府の料理人を辞めた父親は病気で亡くなったのだった。
その後、ミナガワは居酒屋を経営し出したのだ。
居酒屋で瓶ビールを飲んでいた男性のお客さんはさらに瓶ビールを注文して飲んでいたのである。
父さんの手紙には書いてあった、この世界では僕らの世界の酒を売るなって、もし、バレた場合、密造酒と勘違いされて面倒なことになるから酒はこの世界で仕入れろって…
「そういや、食事注文してなかったな、なんか揚げ物がいいな」
「あー、揚げ物ですか?……鶏のから揚げなんていかがですか?」
「あー、いいね、から揚げ」
「わかりました」
ミナガワはから揚げの材料を厨房に並べた。
鶏もも肉(4つ)、しょうが、にんにく(ともに5g)、塩、醤油(ともに3g)、黒胡椒(少々)、酒(大さじ1)、小麦粉、じゃがいもでん粉(ともに大さじ2)、黄蜜柑…黄蜜柑(1/8)、油(揚げ用)。
一まず、鶏もも肉に塩、黒胡椒を揉み、次にすりおろしたしょうが、にんにく、醤油、この世界で買ったにほんしゅっていう米が原料の醸造酒を揉み込んで5分ぐらい置いておく。
時間が経ったら小麦粉、片栗粉を交ぜて鶏もも肉を着けて180度ぐらいの油に入れて揚げる。
数分間揚げたらいったん鶏もも肉を外に上げて油を200度にし少し鶏もも肉を置いておく。
最後に200度の油に鶏もも肉を入れて揚げたら油をきって完成、レモンも加える一
「さて、から揚げできましたよ」
カウンターにミナガワはから揚げを置いたのだ。
「わー、美味しそう!!あ、瓶ビールおかわりで」
「えっ、飲むの早いですね」
ミナガワは瓶ビールをもうひとつ出したのである。
「あ、そうだ、マヨネーズってあったりしますか?」
「まよねぇず………………って何ですか?」
「えっ……………………………………いや、やっぱいいです」
「……………すいません」
そして、お客さんはレモンをかけてから揚げを食べた。
「!!うまいっ、普通のから揚げより全然うまいっ」
「ありがとうございます」
その後、23:30を過ぎてお客さんたちもいなくなりミナガワは居酒屋を掃除していたのだ。
「まよねぇず……ってなんなんだ…」
ミナガワはマヨネーズについて考えるのだった。
こちらから物語スタートです。