旅の始まり1
眩い光と共に霙は目覚めた。
「やはり、右半身は動かないか…」
左手で右肩の方を触ってみたが包帯の感触であった。
「お、気分はどうだ?まだ傷が痛むか?」
「あ、おかげさまで。どうにか左半身を動かすことはできます。
その…あなたは…?」
「あぁ俺か?俺の名はキスイダ=ローエ。ローエで構わないぜ?」
「ローエさんでしたか。この度は助けていただき、ありがとうございます。
ひょっとしてローエさんはお医者様ですか?私は…その…かなり重体だったはずなのに。いくらお支払いすればよろしいでしょうか?」
「あぁ。金ならいらねーよ。職業に関しては50点だな。俺はただの冒険者さ。ただみんなとは2つ違うところがある。」
「まず1つ、俺には呪いがかけられている。この世界の神によってな。そして、その呪いってやつは〈他人にダメージを負わせられない〉だ。」
「えっ…そんな…では冒険者でもクエストを攻略するのはかなり難しいですね…」
「そして2つ目。俺は昔パーティーを組み、神に挑んだ。覚えてるかな?15年前の厄災を。あれの元凶の1人が俺なのさ。」
「…そうだったのですか……確か私がすごく小さい時のことでしたね。厄災とは言っても死者は1人も出なかったって。」
「それは違う。死者1000人以上でたさ。しかしそれを神が直したのさ。」
「その…答えたくなければいいのですが、なぜ神に戦いを?」
「この世界が間違っているからだ。
意味はまた今度教えてやる。」
ローエは少し寂しそうな表情をした。
「そうだ!義士のところへ行こう。とにかく義手義足は必要だろう。」
「わ、わかりました。」
椅子に座りローエの転移でどこか知らない街の店まで移動した。