表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/116

第87話 お昼に探して

「アベル、お昼行こ」


 隣の席のオリヴィアに声をかけられる。

 いつもならここから昼食に向かう。

 しかし、


「先に行ってて、すぐに行くよ」

「最近そればっかね。ま、いいけど」

「はは、ごめんね。すぐ行くから」


 俺はそう言い残し、とある教室へと向かい始めた。

 それはシモンの教室である2組……ではなく、1組。

 俺はそこにとある人を訪ねに向かっていた。


「……アマネ、はどこだ?」


 廊下の方から教室の中を見てみるが見当たらない。

 もうすでにどこかに行ったのだろうな。


 にしてもアマネに友達はいるのだろうか?

 カレンは結構な人気者みたいだし、オリヴィアもよく友達と仲良くしている所をみかけるが……アマネはどうなんだろうな?

 もしいないとしたら、余計俺が仲良くするべきだろう。


 しかし教室にいないからといってどこを探せばいいんだ?

 アマネがいそうな所なんて、正直分からないぞ。


「うーん……人気の無い所、とか?」


 俺はとりあえず校舎から出て、人気の無さそうな所を歩いてみた。

 でも見当たらない。

 なので結局、


「……そろそろ植物園に行くか」


 俺は昼飯を食べに植物園に行く事にした。


 学院が広いとはいえ、俺がいた場所から植物園まではそれほど距離は無く、すぐに着くことが出来た。

 そして植物園の中からはもうすでに何人かの声が聞こえてくる。


「遅れてごめん」


 俺は一応ことわりを入れて、中に入って行った。

 すると植物園の中にはすでにグルミニアとカレンとオリヴィア、そして──アマネがいた。


「……え!? アマネ、何で!?」

「……はろー」

「はろー。……じゃなくて!」


 つい乗ってしまった。


「お、お兄様、どうしてハルデンベルク先輩がここに!?」

「そうよ。どうしてハルデンベルクさんがいるの!?」


 カレンとオリヴィアはアマネがいる事に驚いている。

 でも驚いてるのは二人だけじゃない!


「それは俺が聞きたいよ!?」

「まぁまぁ、驚くのも分かるが、少し落ち着くのじゃ」


 グルミニアが俺達をなだめてくれる。


「ごめんごめん、少し熱くなり過ぎたな……」

「アマネがお主に用がある、と言ってここに来たんじゃ」

「そうだったのか」

「……そう」


 そう言うアマネは手に剣を抱えている。

 ん? ……どこかで見た事ある剣だな。

 ていうか……


「……これ、俺の剣だ」

「……忘れて、帰った」


 あー忘れてたのか。

 シモンをアマネの家に連れていった時に剣を外して、そのまま忘れて帰ってしまったのだろう。

 それをわざわざ届けに来てくれたのか。

 ありがたいけど……


「家に……行ったんですか」

「二人はどういう仲なの?」


 カレンとオリヴィアの視線が痛い。


「いやーその……」


 困ったな。

 なんて言えばいいんだ……。


「……あっ! あの時ですか……」


 カレンが何かに感づいたようだ。

 俺がシモンを連れてどこかへ向かった事を思い出してくれたのだろう。


「……でも、何で家を知っているんでしょうか?」


 ……そうか。

 やはりこうなったか。


 その後、俺はカレンとオリヴィアに問い詰められた。

 アマネとグルミニアは一切の助け舟も出さずに、その様子を眺めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ