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第57話 学院ダンジョン第四階層

 2階層を攻略後の翌日を丸一日休みにし、そこから2日で3階層を攻略した。

 その後も念のために一日を休みにして、昨日はようやく4階層に入り、今日も4階層を攻略している。


「『氷欠片(アイスフラグメント)』」

「……『石弾(ストーンバレット)』」


 俺は氷の欠片をアマネは石の弾丸を、こちらに全速力で向かって来る白い狼の群れに飛ばす。

 この狼はホワイトウルフ。

 美しい白い毛に鋭い牙が特徴の狼系モンスターだ。


「GYAAAA!!」


 弾幕によって遠くで全員を倒そうとするが、しかし何匹かはその弾幕を突破してくる。


「ったぁ!」


 手には杖を持っているから蹴りを放つ。

 それによって蹴られた狼は遠くに飛んでいく。

 今までの階層主の魔石を食べたおかげか、俺のスピード、パワーは更に強くなっていた。


「GRUUU!!」


 俺が蹴りを放ったのを見て、狼達は3匹が同時に襲いかかってくる。

 おそらく蹴りだと一匹しか対応できないと考えたのだろう。

 しかし、甘いな!


「『魔剣(ダーインスレイヴ)』!」


 杖を持つ手の上に漆黒の剣を出現させ、そのまま横薙ぎに狼を斬る。

 しかし一匹がそれを上手くかわし、俺に噛み付こうとする――


「GUUAAAA!!」

「っく!」

「……『氷欠片(アイスフラグメント)』」


 アマネが氷の欠片でその狼を打ち落とす。

 それによって最後の狼も魔石になり、狼達は全滅した。


「ふぅ……ありがとね」


 俺はアマネに感謝した。


「……気に、しないで」


 アマネはどこか誇らしげだ。

 そんなアマネの姿を見れて俺も嬉しい。

 だが、まだ攻略途中だ。

 油断はできない。


「よし、後はこの道だな」

「……うん」


 マッピングしていた地図を見るに、おそらくこの先に階層主がいるのだろう。

 俺は奥に歩きつつも一応剣を抜く。

 ジャイアントスパーダーの時のように、魔術が当たらないほど動きが速かった時のためだ。

 そして進めば、


「UGAAAA!!」


 奥から先程の狼たちのような声が聞こえてくる。

 おそらく階層主だろう。

 よく聞けば大量の足音も同時に聞こえてくる。


「……『氷欠片(アイスフラグメント)』」


 アマネは前方に5つの氷の欠片を飛ばす。

 奥から狼の悲鳴がいくつか聞こえるが、遠く暗い通路の奥ではどれ程当たっているのかわからない。


「……『氷欠片』」


 もう一度アマネは氷の欠片を放つ。しかし足音は止まらず、


「UGAAA!!」


 狼達の姿が見えてくる。

 奥には中でも毛並みの立派な大きい一匹がいる。

 おそらくはこの群れのボス、階層主だろう。

 俺はそれに対し恐れずに前に出る。


「たああぁぁ!」


 剣を振り先頭の狼を切り捨てる。

 そして返す刀で2匹目を斬る。


「おら! たあぁ!」


 更に襲いかかってくる2匹も連続で切り捨てる。

 そして奥の大きいボスは、


「……『生命力操作(ライフコントロール)』」


 アマネがスキルで爆発させる。


「GURUUU!」


 残りの狼はボスが倒されたことによってその場でうなる。

 さてここからどうしたものか。


「退いてくれればそれでいいんだけど」

「……かたき討ち? ……するかも」


 狼達は攻めてくることは無いがこちらを睨んでいる。

 これ以上戦うのもめんどくさいし……。


「『神殺槍(ロンギヌス)』」


 俺は漆黒の槍を右手に出現させる。


「GAU! GAUGAU!」


 別にその槍でどうこうする訳では無いが、危険を察したのか、それによって残ったホワイトウルフは奥へと逃げていく。

 この先はおそらく5階層への階段。

 ホワイトウルフ達がどうなるのかはわからないが、他のモンスター達もいてボスも既にいないし、まぁ無事ではないだろうな。


「もし飼うなら、もう少し優しい生き物がいいな」

「……ふわふわ、がいい」


 俺達の4階層の攻略は難なく終わった。

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