表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/116

第94話 早くも二日目

「へーこの杖凄いですね」

「それは確か300年程前の宮殿の魔術師の物じゃな」


 カレンにグルミニアが説明している。


 翌日。

 俺達は宮殿の近くにある、資料館に来ていた。

 日程については細かく決めている訳では無いが、「近いし、ここでいいか」みたいな感じで決まった。


「ハイトウッド先生詳しいですね」

「ま、これでも昔は神童と呼ばとったのじゃよ」


 確かにグルミニアは神童と呼ばれていた。

 200年前の話だがな。


「そうなんですか。ハイトウッド先生の過去も気になりますね」

「気になるか?」

「私の友達もすごく知りたそうでしたよ」


 そんな二人の会話を聞きながら、俺は一人で展示品を見ていたが、


「……ッ!」


 一つの展示品の前で足が止まった。


「これは……」


 そこに展示されていたのは、ボロボロになっているバルザール魔術学院の制服だった。


 ……これは俺の服だ。

 最初に宮殿に転移した時、俺が着ていたものだ。


「アベル、何見てるの?」


 横から突然オリヴィアの声をかけられた。


「いいいいや、何でもないよ!?」

「しー、静かに」


 オリヴィアは人差し指を口の前で立てる。

 その姿はとても可愛らしいけど、今はそんな気分じゃない。


「ご、ごめん……っ」

「これ見てたの?」


 オリヴィアは、制服の魔術服が飾られた展示ケースの中をのぞきこむ。


「へーこれ、聖杖の勇者の服なんだー」

「へ、へー。そうなんだ」

「なんだかうちの制服に似てるわね」

「そ、そうかな?」


 自分でも分かってる。

 今の俺はたどたどしい。

 それをオリヴィアが疑問に思わないはずも無く、


「どうしたのアベル?」

「な、なんでもないよー?」

「どうして疑問形なのよ。この服に何か思う所でもあるの?」


 ぎくっ……!

 と驚く俺。

 汗を流しながら顔を背けるさまは、怪しさ満点だろう。


 返す言葉も思い浮かばず困っていたが、


「……当然。……だって、その服、似てる」


 そこへアマネが現れた。

 ……少し不安だが、ここは頼るしかあるまい。

 頼んだぞ、アマネ!


「服が似てたら驚くものなのかな……?」

「……当然。……学校の、その服が、モデル」

「そうなの? この服がうちの制服のモデルなんだ、知らなかった」

「……博識」


 アマネは無い胸を張る。

 だが、ひとまずは助かった。


「流石ハルデンベルクさんね」

「……これも、当然」


 俺の着ていた制服、という多少驚いた事もあったけれど、一日目は他にも様々な観光地を見て回り、何事も無く終わった。


 ◇◇◇


「本当にありがとうございます!」

「いえいえ」

「では、失礼しますね」

「お兄ちゃん、ばいばーい」


 母親は頭を下げ、子供は手を振りながら去って行った。


「はぁ……そろそろ帰るかな」


 これでようやく帰路につける。


 翌日。

 この町に来てからの二日目。

 女の子のみんなはショッピングに行ってしまった。

 当然俺も誘われたけど「こういったものは同性だけで行った方がいいだろう」と考えて俺は一人で回ることにした。


 そしてかなり歩き回り、両手がお土産とかでふさがった頃。

 俺は帰ろうとも思ったのだが、迷子の少女に出会ってしまった。


 それでその子の親を探していたこともあって、既に時刻は夜となり、俺が帰るのは暗闇の下だった。


「ふ、ふ、ふ~ん」


 俺は少女をきちんと送り届けられた事もあり、嬉しさから、鼻歌を歌いながら帰っていた。


 そしてたまたま通りがかった通りの脇。

 人通りのなさそうな路地から、声が聞こえて来た。


「こちらを」

「うーん……分かりました。額については申し分ありませんね」

「では?」

「はい。私も次期宮廷長にオーデ様を推しましょう」


 明らかに怪しい事をしている会話だ。

 だから俺はバレないように近づき、角から様子をのぞいてみた。


 すると、そこに立っていたのは二人の男性。

 その両方が魔術服を着ている。

 それも宮廷魔術師達の着る魔術服を。


「良かった。それでは、よろしくお願いしますよ」

「勿論分かっておりますよ。……にしても動きが速いですね、感心します」

「いえいえ、滅相もございません。何分、オリヴィア様が卒業する前に行わなければいけませんので……」


 ん? オリヴィア?

 聞き間違いか?

 まぁ、おそらく同名の別人物だろう。


「それもそうですね。彼女の派閥は根強いですから」

「そうです。宮廷長の座はオーデ様が座るべきなのに、ですよ、はは」

「ははは」


 そう笑い、二人は路地の奥へと消えて行く。

 追いかけても良かったが、確信がある訳じゃない。

 俺は疑問を抱きつつ、宿に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ