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誰にも言えない二つの秘密  作者: 海橋小楢
誰にもいえない二つの秘密:高校編
9/43

ホラー映画はお好きですか(3)--凛子の場合

 私には二つ、誰にも言ったことがない秘密が……って、なんか最近毎日のように頭の中にこのフレーズが出てくるんだけど、いったいなんなんだろう。四択が出るのと関係あるのかな。わかんないけど、とりあえず今後は頭をよぎっても無視しよう。四択と違って特に行動制限もかからないみたいだし。

 さて、何としても今日は優斗にお金を出させまい、と意気込んで家を出た私。それはもう、いろいろとシミュレーションを重ねたわけですよ。ええ、四択が出た瞬間に完全に無駄になるのなんて百も承知でね。「こっちもタダでもらったものなんだからお金を出してもらうわけには」と言われたら、もともと映画に1500円払うつもりだったんだから交通費くらい出させてほしいって食い下がるとか。「無駄にしなくてすんでこっちも助かったのに」と返されたら、行きたくても一人だとなかなか踏ん切りがつかなくて結局行かないし、機会ができて助かったんだからそのお礼なんだって無理やりにでも払うとか。

 なのに。ふたを開けてみれば、優斗はどこか上の空。手紙についてはノーコメントで、拍子抜けしてしまった。まぁ、楽でよかったっちゃよかったんだけどさぁ。なんかこう、すっきりしないというか。もやもやした気持ちを抱えたまま、自分用のパンフレットと、二人分のポップコーンとドリンクを購入。優斗はあんまりパンフレットを買わないんだ。まあ、もらったチケットってことは本人が特別見たかったわけでもないんだし、当然っちゃ当然かな。ポップコーンは塩味とキャラメル味を一つずつ。あいつはたぶん塩派だったと思うんだけど、これならもし今日の気分が違っても問題ないよね。あと、単純に味の違うものを買って少しずつ交換するのって、なんかすごくデートっぽくていいじゃん……? 幸運にも、私には幼少期から積み重ねてきたキャラクターと関係性があるので、「ちょっと交換しよ!」的な発言は軽く受け入れてもらえるはずだ。まあ、何とも思われてないってことだから、喜んでいいのか微妙なところではあるんだけどね。あ、ドリンクはさすがにもらわないよ? 間接キスはさすがに……その……ハードル高くない……? ま、向こうは気にしなさそうだけどな! 別に悲しくなんてないし!

 

「塩とキャラメル、どっちがいい?」

待合の椅子でチケットを眺めていた優斗に声をかける。あれ、無視? 聞こえてないのかな。

「あ、悪い、ぼーっとしてた。これ、凛子の分な。」

優斗はようやく私に気付いたらしい。交換したチケットを手渡してくる。I列の真ん中付近、うーん、中央列よりやや後ろくらいで、実にいい位置取りだ。

「おっ、いい席じゃん。ありがとね。こっちもはい、優斗の分ね」

もう一度どっちがいいか聞くのも気まずいので、塩味の方を渡す。あ、何かに気付いたような反応。さては、お金出してないことに気が付いたな。でももう遅い。

「ほら、もう開場するって! 映画って、予告見るのも楽しいんだよね。」

何か言いたげな優斗を置いて、そそくさと席を立つ。まずは第一ミッションクリアだ。これから二時間半、思いっきり映画を楽しもうじゃないか。

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