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誰にも言えない二つの秘密  作者: 海橋小楢
誰にもいえない二つの秘密:高校編
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いつもどおりがわからない ――凛子の場合

あのあと、若い男は暴行罪の現行犯として捕まった。なんでも、手紙の血痕と男のDNAが一致したとかで、私を刺した件についてもそのうち起訴されることになったらしい。話がとんとん拍子で進みすぎてちょっと怖いくらいだ。裁判とかはまだあるにせよ、これであの事件は一区切り。

ああ、そうだ。ジョナサンも「今回は正当防衛にしておくが、ちょっとアグレッシブすぎだ。次回以降気をつけるように」とお小言を食らってたな。スタンガンの携帯は、正当な理由がないと軽犯罪法に抵触するんだとかなんとか…。今回は護衛のためだからOKにしておくけど、普段から持ち歩くのはやめるように言われて、ジョナサンは不服そうだった。今日も給食の時間に思い出したように愚痴っていたから、没収されなかった良かったじゃんとなだめておいた。


まだ若干はれものに触れるような扱いはあるけどの、基本的にはもうすっかり日常が戻ってきた、と、言っていいと思う。でも、優斗と私の関係はというと、ちょっとギクシャクしたままだ。考えないといけないことが多すぎて、どうにも思考がまとまらない。これがまた心配をかけるらしく、ジョナサンと優斗がどんどん過保護になっていくのも非常によろしくない。いつもどおりにすればいいはずなんだけど……いつもの私ってどうしてたっけ? どうやって平然と生活していたのか、昔の自分が信じられない。ほらその、アレじゃん、その後のウヤムヤでちょっと放置してたけど、その、優斗、私に恋愛感情持ってるっぽかったよね?! 意識から外れていた事実が最近ようやく咀嚼されて、ここ数日ずっと思考リソースを圧迫している。顔を見るたび、声を聞くたびに意識してしまって、もはやまともに会話することもできていない。これはまずい。とりあえずリハビリが忙しいってことにして先送りにしているけど、いろいろと解消しないと行けない問題は多いんだよ。ノートのお礼とかは一応言ったけど、もうちょっとちゃんとしたいし、今までの遊びの代金も清算したいし、あのときなんでコントローラーを渡してくれたのも聞かないといけないし。それに何より、まだあの日の返答も訂正しないと! 本当に嬉しかったこと、あんなリアクションになったのは私の謎の特性のせいなこと、しばらく喋れなかったのもそのせいなこと。伝えないといけないことはいっぱいあるのに、会うだけで顔がほてってそれどころじゃい。

ああ、両思いが嬉しくないとは言わないけど、山積みの問題を解決するまでは前の状況のほうが都合が良かった。おーい、帰ってこい片思い時代! どうせ伝わらないからって、たかをくくって恥ずかしげもなく色々言えたあの時代をもう一度!! 


口頭が無理でも手紙なら…なんて気分にも、今はなれないし。何か他の代替手段ってあったっけ、少し考えて、一つの案を思いついた。ああそうだ、それならプレゼントを贈ろう。優斗が確実に持ってなくて、ほしいと思っているかはわからないけど、今ならゴリ押しで押し付けられそうなアレを。

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