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誰にも言えない二つの秘密  作者: 海橋小楢
誰にもいえない二つの秘密:高校編
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一緒にお出かけしませんか――凛子の場合

私には二つ、誰にも言ったことがない秘密がある。一つ目は、幼稚園来の幼馴染にもう十年以上恋心を抱き続けていること。もう一つは……、私には選択肢が見えるってこと。確実に四分の一以上の確率で正解にたどり着ける選択肢が見えるっていうのは、もちろん時に便利だ。でも、それ以上にままならないことが一杯ある。ま、どんなマンガや小説でも、大体便利な能力にはそれなりのデメリットがつきものなわけだし、これはこういうものとして私は割と受け入れている。


さて、前からうすうす気づいてはいたんだけど、最近はっきりしたことがある。小山内優斗という例の幼馴染にも、奇妙な特殊能力があるらしいのだ。そう、彼はどうやら、優待券やら余ったチケットやらを集めてくるという特殊体質の持ち主だった! それも私好みのものばっかりというオプション付きだ。特にバイトを始めてからは、バイト先の先輩がそそっかしい人らしく、人数が思ったほど揃わなかっただの日程間違えただのと、やたらとチケットをくれるのだそうで。そんな馬鹿なと思うかもしれないけど、現に今も何か持っている。

「よっ、小山内! また何かチケット持ってんじゃん。あんたの周り、なんか魔法掛かってるんじゃない?」

背中を叩かれた優斗の表情は微妙だ。持っているものを見つかってしまったせいだろう。そうだよな、誰と行くかとかいろいろ考えてたよな。でも残念、もともと誰を誘うつもりだったのかは知らないが、その権利は私に譲っていただこう。

「で、今回余ったチケットは何かな? 屋外プールだと嬉しいんだけどー。」

困ったように笑う優斗。ごめんな、迷惑だよな。でも、私はこの表情が見たいばっかりに、むやみに絡んでしまうんだ。

「残念、今回はクレープ無料券だ。一つ買わないと使えないらしいんだけど、俺二つもいらねぇからさぁ。」

赤:あんた、甘いものホント好きだよね。

青:仕方ないなぁ。つきあってやんよ!

黄:えっ、嬉しいなぁ。前にクレープ食べたいって言ったの、覚えててくれたんだ!

緑:あんた、他に行く人いないわけ?

お、来たな選択肢。正解はどれだ? 黄色を選ぶほどうぬぼれちゃいない。緑は論外。赤は一見問題ないけど、あいつがそれほど甘いものを好きじゃないことを、幼馴染の私は良く知っている。となると……

「仕方ないなぁ。つきあってやんよ!」

台詞は笑って元気よく。きっとほかの子なら、どんな言葉を言うべきか自分で一生懸命考えて、もっと複雑な返答ができるんだろう。でも、私は時々四択でしか言葉を選べなくなる。これは本当に私が言いたい言葉なの? 正直わからない。だから、せめて表情では全力で自分の気持ちを表現したいんだ。どうかな、この嬉しさ、ちゃんと伝わってるのかな。


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