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誰にも言えない二つの秘密  作者: 海橋小楢
誰にもいえない二つの秘密:高校編
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青信号、全速前進 ーー優斗の場合

 今日も今日とて学校帰りに病院へ。今日の表示はクイズ番組風で、悩んでいる人のそばにコマンドが浮かんで見える。例えば、そろそろ役に立つそうな表示や内容のゲームのネタも尽きてきたジョナサンが、格闘ゲームとパズルと恋愛シミュレーションとリズムゲームのどれに着手すべきか悩んでいる、とか。凛子の前にも何やら浮かんでいたが、こちらからでは色分けされたパネルの裏面しか見えない。ついに詰みか…なんて思いながら、「恋愛ゲームで」とジョナサンに言い残して眠りにつく。


すぐに眠れるよう最近は常時睡眠不足気味にしてあるから、今の俺は寝ようと思えば即座に眠れるようになっている。あっと今に眠りに落ち、次に気がついたのは、ジリジリ言うアラーム音に起こされたときだった。なんだ、火事か? いや、単なるインターホンのようだ。内線を利用して対応してくれているジョナサンの姿が見える。時計をみると眠りについてから2時間弱しか立っていないが、ギリギリ時間が足りたらしく、ステータス表示はタスク一覧の表示に切り替わっていた。視界の左端に、「凛子のステータスを確認する」というタスクが最上位に浮かんでいるのが見える。

指示に従って凛子の方を見ると、タスクが表示しきれないほどに溜まっていた。勉強、リハビリ、事情聴取への対応、入院中に出版された書籍の購入……。「学校関連」「バイト関連」のようなタブごとに分けられた上で、それぞれのタブ内のタスク数がバッジ表示されている。友人関連と別に俺だけ専用のタブがあるのは、喜んでいいのかどうか。多種多様なタスクの中で、メインのタブの一番上位に位置しているのは「四択を選ぶ」というよくわからないものだった。他のタスクがほぼグレーアウトしている中、それだけが選択可能に見える。どういうことだ? わけがわからず、自然と眉根にシワが寄る。と、急にタスクの表示が点滅し始めた。点滅の意味は…有効期限切れが近い、か? どういうことかと凛子の方を見ると、見たこともないような形相でゲーム画面を凝視していた。なんだろう、浮かんでいるタスクとなにか関係があるのか? 動き出した脳裏に、寝る前に見えたステータス表示のパネルのことがよぎる。確かにあれは「四択」だった。カラーリングをはっきり覚えているわけじゃないが、画面の選択肢とよくにていた気がする。なぜ四択? 今まで2時間このゲームをジョナサンがプレイしていたはずなのに、なぜ急に状況が変わったんだ? わからないことはたくさんあるが、なにかが変わる可能性が万に一つでもあるなら、試してみない理由はない。


凛子は目を丸くして、コードレスのコントローラーを差し出す俺を見た。続けて、コントローラーに目を落とし、困惑した表情でもう一度俺の目を見つめる。まあ、俺の行動は意味わからんだろうからな。落胆しかけた次の瞬間、俺の手からコントローラーが消えた。凛子がひったくるように奪い去ったからだ。そして、


「お、ま、たせっ……!!!」

青と緑のボタンをほぼ同時に叩き、その口から久しぶりの声を吐き出した。


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