表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
誰にも言えない二つの秘密  作者: 海橋小楢
誰にもいえない二つの秘密:高校編
22/43

to tell or not to tell ーー優斗の場合

 俺には二つ、誰にも言ったことがない秘密がある。一つ目は、幼稚園来の幼馴染にもう十年以上恋心を抱き続けていること。もう一つは、俺にはいろんなステータスが見えるということだ。前者はすでにバレた。後者については、打ち明けるべきか否か猛烈に今迷っているところだ。理由は、あらぬ嫌疑を晴らすため。黙ったままで嫌疑を晴らすには、あまりにも今までの俺の動きは不自然なんだが、疑われっぱなしと能力について気味悪がられるのと、果たしてどちらがマシなのか。


 俺の悩みとは裏腹に、案外何事もなく時間が過ぎること3時間半。今朝のことは夢だったのかと不安になり始めたタイミングで、凜子とジョナサンが俺を図書室に連行した。給食時間終了直後のことだ。

「優斗、ちょっと状況を整理したいから付き合いなさい。」

強引に俺の手を引いていく凛子。付き合うという表現に、無関係と分かりながらも一瞬ときめいてしまったのは言うまでもない。頭上に浮かぶのは「推理レベル8、固有スキル:絞り込み」の文字。今朝鏡で見た俺のステータスの最大値が情報収集の9だったので、これはかなりの高得点だろう。ちなみにジョナサンは聞き出しレベル5、固有スキルが電撃特攻と取り押さえだった。なんて物騒なスキル名だ、使用される機会がないことを切に願う。

「状況の整理って、なんの?」

「今朝の話に決まってるでしょう!」

凛子は机をバンと叩いた。

「ダメ元で聞くけど、事態はどこまで把握してるの?」

「ジョナサンの物がしょっちゅう失くなるのは不自然だってことなら。あと、俺が犯人だと疑われてるのもわかってる。」

正確にいうと朝礼の段階ではわかっていなかったんだが、その後の佐藤と俺に対する凜子の態度でなんとなく察した。凛子とジョナサンは意外そうに顔を見合わせている。

「思ったよりわかってたですね。」

「助かった、そこまでの説明が一番難しそうだったんだよね。」

大変な言われようだ。

「その件で、俺から聞きたいことが2つあるんだ。ジョナサンの物が失くなるのは本当に人のせいなのか? それから、お前達は俺のことを疑っていないのか?」

「うん、どっちもそうだよ。」

「はい、いいえ!」

二人は即答した。そして、互いに信じられないという顔になる。

「えっジョナサン、あんた優斗を疑ってるわけ!?」

「?? ワタシはNo言いました。もちろん疑うしないですよ! 凛子の方が酷いです!」

「待て、落ち着け、俺の聞き方が悪かった。日本語と英語だと否定疑問文の答え方が違うんだった。」

否定疑問文という単語がピンときていなそうだったので、もう少し例を交えて説明すること数分。二人は互いに俺のことを疑っていないということを確かめて硬い握手を交わすに至った。普通なら、信じてもらえたことに俺が感謝の言葉を述べたかったところだが、完全に期を逃してしまった。


「じゃ、この中は一枚岩だという前提で話すよ? ワタシはジョナサンに話を聞いてから、物の紛失タイミングとクラスメイトのアリバイをずっと調べてたの。で、十中八九佐藤達がクロ。」

先ほどの勉強タイムで落ち着いたのか、淡々と話す凛子。差し出したメモには、紛失物とその時のクラスメイトの状況が事細かに記されていた。危ないことをするなとかよくここまで調べられた物だとか言いたいことはいろいろあるが、それよりも気になる部分があった。

「待てよ、お前の本もリストにあるんだが。」

「あー、うん。ジョナサンと話してるの見られたからだと思うんだけど、それ以降時々物がタイムスリップするんだよね。一旦消えて、ちょっとしたら戻ってくるの。」

「確かに何回か見つけて机の上に置いたな。少なくとも一回は佐藤が原因で間違いない、直に会話して確かめたし。」

「ああー了解、なるほどね。今朝の佐藤の動きは優斗が追い詰めたせいかぁ…。」

先日のことを話すと、凛子は大仰に天を仰いだ。続けて、「いい、優斗は、何も妙な動きをせずにいつも通りにしててよね。」と俺に厳命し、ジョナサンと2人で今後の方針を話し始めた。呼び出したくせに、俺のことはもう完全放置だ。とてもじゃないが、超能力がどうのと言った話が出来る雰囲気ではない。俺は口をつぐんで横から話を聞くことしかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ