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誰にも言えない二つの秘密  作者: 海橋小楢
誰にもいえない二つの秘密:高校編
13/43

約束通りの転校生 ーー優斗の場合

俺には二つ、誰にも言ったことがない秘密がある。一つ目は、幼稚園来の幼馴染にもう十年以上恋心を抱き続けていること。もう一つは、俺にはステータスが見えるということだ。今日は他人のスペックとか感情が見えて辛い。非常に辛い。

というのも、今朝から入った転入生が、えらくハイスペックだからだ。なんだよ、金髪碧眼高身長の陽気なイケメン外国人って。度を超えた金持ちってわけではないにせよ、中流家庭の上澄み層らしいし、人懐っこそうな表情は誰の目にも好印象を与えるはずだ。なんだそれ、盛りすぎだろう。身長は20センチ負けているし、ステータス曰く数学と音楽の成績も俺より上らしい。体育と英語なんて言うまでもなく勝てない。勝てそうなのは国語と社会(半分日本史だからな)だが、こんなのは流石に勝てても嬉しくない。もちろん、勉学は別に競争でもないし、他のクラスメイトの関心が他所に移ろうがさしたるダメージもない。しかし、曲がりなりにも凛子に恥じない人間になるために品行方正に努めてきた身としては、今まで築き上げたクラス内の地位があっという間に揺らぐのは面白くない。まったく、ないない尽くしで嫌になる。

何より気に食わないのは、他にも女子が数多いるにもかかわらず、ヤツが確実に凛子を意識している点だ。自己紹介の前も、明らかに凛子の方を見つめていた。凛子が今どんな表情をしているのか、なにを思っているのか。前方の女子たちがやたら黄色とピンクの感情を飛ばしているのを見せつけられ、とても今日は彼女の方を見られる気がしない。

「ワタシはジョナサン・ローリングです。イングランド出身です。日本来たら言いたかったセルフ-イントロダクションがあるです。ンー…、ただの人間には興味ありません! この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、ワタシのところに来なさい。以上!」

イングランドっていうと…イギリスか? 後半部分には一瞬俺の特殊体質がバレたのかと焦ったが、クラスがざわめいたあたり、何か元ネタがあるらしい。何かしらの由緒ある自己紹介なんだろう、残念ながら俺にはさっぱりだが。たぶんドラマとかアニメとかの有名なセリフに違いない。


「もちろんjokeです。皆さんと友達になりたいですので、よろしくおねがいしマス。」

クラスメイトが落ち着いてから、ヤツは軽く頭を下げて言った。

「ローリング君は、その一番後ろの席に座ってもらえるかな。あ、日本語わかる?」

「一番後ろ、わかるですよ!」

「教科書とかは持ってる?」

「ちゃんと買うしました! ……でも、読むは難しいです。」

「そうか…じゃあ…」

担任が教室の後方、つまり俺と凛子の方を見る。 昨日までは39人だったうちのクラスは、6人列と7人列が交互に並んだ仕様だ。最後尾には、間にスペースを置きながら凛子と俺ともう1人が座っている。で、今回席が増えたのが俺と凛子の間。教科書が読めない時のフォローを隣席のどちらかに頼むのは自然な流れと言える。

「あ、じゃあ俺がフォローします。」

「ああ小山内、助かるよ。お前英語もできるし気もきくし、適任かもな。」

日頃の行いがいいと、好きな子を他の男子と関わらせたくないなんて不純な動機で行動してもバレないものだ。「よろしくお願いするです!」と熱烈に握手してくる転校生。腕を振り回された拍子に、転校生越しにものすごく不機嫌な顔の凛子が見えた。周囲の感情も、青黒赤となかなかに禍々しい。やめろ、そんな目で見るな。非常に辛くはあるが、ここで変に仲良くなられるよりはマシだ。ここは耐えるしかない。

今度のチケットは、凛子の機嫌を取れるように奮発する必要がありそうだ。

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