プロローグ
AM 5:30 道場
薄暗く新聞配達が始まっているだろう。
脆月剣道術道場にて、師範の俺……脆月雲雀は毎日の日課になっている瞑想を始めていた。集中力を高め、身体能力を上げるのだが、今日はなんだか調子が悪いようだ。
「まぁこんなこともあるか……」
そんなことを呟きながら、素振りを始める。音を斬るように降り続ける。
?「お兄さま朝食ですよ」
呼ばれて日が昇っていることに初めて気づいた。いつもは気づくはずなのに。
雲雀「わかった、直ぐにいくから先に行っていてくれ……雪」
雪「行けませんわ、お兄さまより早く朝食を取るなど恐れ多いです」
雲雀「まったく……わかったじゃあ行こう」
雪「お兄さま……いつ着替えたのですか?」
先程まで胴着だった姿はなくおれたちが通っている白鴎学院の制服に着替えていた。
雲雀「言わなかった?俺の特技の一つ瞬間着替えだ……それより呼びに来たということは父上が起きて待っている急ごう雪」
雪「はい!お兄さま♪」
雪はとびきりの笑顔を振り撒き、雲雀の後ろに着いていく。数分してリビングにたどり着いた。そして、引き戸を開けると和服を来た威厳のある男が腕を組み座っていた。
「遅いぞ雲雀……何時だと思っている?定刻にはいつもいるだろうに。早く座れ朝食にしよう」
雲雀「すみません……稽古に集中しておりました。父さん」
威厳のある男……脆月剣道術道場18代目師範代総長 脆月 嚴无……雲雀でさえも一太刀も与えず、柄だげ倒す実力を持っている。
嚴无「いいだろう……さぁ頂こうか、冷めてしまうからな」
朝食が終わり学校に行こうとしたとき嚴无がやってきた。
嚴无「雲雀、雪……今日は嫌な予感がする。上に気を付けろ」
雲雀「(父さんの予感は当たるからな)わかりました。気を付けます。行くぞ雪……」
雪「わかりましたわお兄さま」
二人は学校に向かった。
雪「お父様は何をいいかけたのでしょうか?」
雲雀「父さんの予感は当たるからね。いつも以上に回りには気を付けないと」
雲雀は咄嗟に鞄の中から折り畳み式の木刀を出した。
雪「お兄さま!」
雲雀「剣術発動……004式逆刃刀」
木刀の刃をなぞるように動かすと、木の刃から刃が逆さまの刀が顕現した。
この木刀……脆月に代々伝わりし変化する刀である。初代が妖怪……破天童子(※そんなのいません)により造らせた妖刀である。力を封印するために木刀にする必要がある。刃をなぞるように動かし、001~005式まで使うことができる。初代はそれ以上の技を解放できたが、嚴无は009式までしか解放できなかった。
雲雀「脆月流抜刀術……」
逆刃刀の刃を鞘に納め抜刀に入った。
雲雀「5閃」
上空から飛来する物体を見えない速さで5回斬る。その物体は切り離れ、雪、雲雀の間を勢いよく通り抜け街路樹に大きな音をたてぶつかったら。雲雀はゆっくり目を開き、街路樹を見ると車らしきものが煙をあげ転がっていた。
雲雀「何故……車が?」
雪「ぁ!いけません遅刻してしまいます。急ぎますよお兄さま」
雲雀「わかった。」
雲雀は雪に知られないように目に術式を展開すると、車の破片について調べ始めた。
雲雀(やはりおかしい…………これは人為的に起きたものではない。それに落ちてきたという点にも引っ掛かる。航空機が通った形跡もない。じゃあ誰が?)
雪「お兄さま!なにをしてらっしゃるのですか?遅刻してしまいますよ」
雲雀「あ…………」
学校に着いてからも朝に起きたことや昼休みになにも無いところから花瓶が落ちてくる不可解なことが起きすぎていた。
放課後
PM 4:50
雲雀は、今日に起きたことを導き出そうとしていた
雪「お兄さま……なんだか嫌な予感がします。言葉では表せないような恐ろしい何かが起きるような気がします。」
雲雀「俺も違和感には気づいていた。父さんの予言は当たっていた。だとすれば…………なんだと」
雲雀と雪は言葉を失った。いつも通りの道で帰り、曲がり角をまがるとそこは、緑が広がっていた。周りを見渡すが街はなく、ただ木が生い茂るだけだった。
雲雀「はぁ、不幸だ…………」
雪「お兄さま……ため息はいけません。幸せが逃げてしまいます。」
雲雀「雪……なにを呑気に言っている。帰る方法を見つける」
雲雀は目を閉じると半径5kmの情報体を調べる。結果は、ここは日本ではなく異世界に飛ばされた結論に至り、見たことのない動物の情報体にもアクセスして、強さや賢さを調べることに成功した。
雪「お兄さま……?」
雲雀「ぁ、悪い父さん直伝の技を使っていたんだよ。ここは日本じゃない異世界に飛ばされたんだ。」
雪「異世界?っじゃあ家に帰れないと言うことですか?そんな、そんなこと」
雲雀「雪……」
雪「うれしいではありませんか!お兄さまと二人きり……あんなことやこわなことを」
雲雀「はぁ、心配した俺が馬鹿だった。」
頭を抱えて、この状況を整理した。持ち物は妖刀 紅椿、魔導書、筆記用具、漫画本、ジャージ上下、遭難したとき用の3日分の食べ物etcなど入っていた。
雲雀「雪、動くぞまずは、散策をしなくては状況がわからないからな」
雪「私はお兄さまに着いていきますので」
二人は、動き始めた。どこかもわからないところで死ぬよりは、この状態を打破したいと考えたのだ。時間が経つにつれて暗くなっていく。すると茂みから熊?のような見たことのない生き物が出てきた。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
そいつはふたりを見ると涎を撒き散らしながら襲いかかってきた。