No.4 サラディー城
「私の名前はシュリナ。
サラディー国のプリンセスです」
この地を治めるサラディー国の王女、シュリナ。
その姫様がこんな港町にいることにクレイは驚いた。
「なんでお姫様がこんな所に!?」
「お忍びであなたのような救世主を
探していたのです」
「メシア・・?」
「ところで、あなたのお名前は?」
「僕はクレイと言います」
シュリナはクレイという名に聞き覚えがあった。
しかし、たまたま同じなだろうと気に留めていなかった。
「そう、クレイね。
一緒に来てくださるわよね?クレイ」
「は?どこへ??」
クレイはシュリナに連れられサラディー城へとやって来た。
しかしシュリナは門の前まで来ると・・
「私はお父様にクレイの事を伝えに行きます。
あなたは少し後から王室に来てください。
それまで城の中を見て周ってるといいわ」
そう言うとシュリナは一人で城の中に入って行った。
一人残されたクレイも遅れて城の中に入る。
吹き抜けになっている城内は正面階段が一つと
その左右にも階段が一つずつの作りになっている。
クレイは正面の階段を上り廊下を進んで行く。
するとそこには扉とそれを守る兵士がいた。
しかし兵士は立ちふさがり部屋には入れてもらえない様子だ。
「入れてもらえないのか?
シュリナ姫に来るように言われたのだが・・」
「ちょっと待ってくれ。客人が来ているのだ。
今は開けるわけにはいかん」
クレイは廊下を引き返し、別の階段を上った。
そこは兵士たちの休憩室らしく休憩中の兵士たちが
何やら話しているのを聞いた。
「いったい王は何を考えておられるのだ!」
「アルシャルク将軍がご立腹なのも当然だ!」
「まったくだ!」
何やら問題があったらしいが
関わりを避けるようにクレイはその場を後にした。
そして、もう一つの階段を上った先には
食堂があり、そこでも兵士たちがもめていた。
「なぜだ!?なぜ陛下はエンパイヤ帝国なんぞの
言いなりになっておるのだ!?」
斧を背に威厳のあるそのたたずまいは
まさに将軍といった感じのその男は
今にも襲い掛かりそうな勢いで怒鳴り散らしていた。
NAME アルシャルク・ルボン
サラディー国のアックス将軍。強靭な肉体を持ち正義を
重んじる厳格さ持ち合わせる反面、仲間には優しく国内外
でも彼を敬する者は多い。曲がった事が大嫌いな男である。
「しかし将軍・・」
「えーーい!!お前たちでは話にならん!!
陛下に直に話してくる!」
「しょ、将軍!お待ちください!!」
アルシャルクは食堂を飛び出し、兵士たちは
慌ててそれを追いかけていった。
クレイもその後をついていくことにした。
するとアルシャルクは先ほどの
正面の階段を上った先にある部屋の扉の前にいた。
「そこをどけ!!」
アルシャルクが扉の前の兵士に言った。
「すみません。将軍殿!
ここは通すわけにはいきません!!」
「どけと言っとるのだ!!」
アルシャルクは強引に通り抜けようとする。
「いかん!将軍を押さえろ!!」
「でーい!!離さんか!!」
兵士たちは3人がかりでアルシャルクを抑え込むと
そのまま引きずり行ってしまった。
つまり扉の前には誰もいなくなってしまたのだ。
クレイはこれ幸いとばかりに扉を開け中に入った。
すると中ではサラディー王を前にして
一人の男が王と何やら話していた。
「・・では、そのように皇帝に伝ええる。
くれぐれも妙な気を起こさぬようにな」
「承知した。ザクリュード殿」
ザクリュードと呼ばれた男は
クレイの横を何の気も留めずに過ぎ去っていった。
その禍々しい闘気にクレイは得体も知れぬ
不快感を感じていた。