染まる白
少しはピュアなお話が書けたかなと笑
見ていて、懐かしく褪せる想いに
心をくすぐられるようなものであれば嬉しく思います。
この世は真っ白な世界だったんだと思う。
色を生み出したのは人間だ。
様々な色を見つけ、生み出し、そこかしこに
撒き散らして…。
確かに動物には色がある。
しかし元を辿れば、
この世に生きとし生けるもの、在るもの。
色が付いているものなど無かったのかもしれない。
僕はそんな世界を探した。
色のない、どこまでも。果てしなく。
色で溢れかえる世の中を捨てて。
そんなものには目もくれず。
しかし、ないのだ。どこを探しても。
この世で色に染まっていないのは、僕くらいのものだ。
僕にはない。
怒りの赤も、悲しみの青も、喜びの黄色も、安らぎの緑も…
そう、僕には色がないのだ。
僕は、僕がこんなに鮮やかな世界にいることが
不思議でならなかった。
だから、探した。求めた。僕がいるべき世界を。
どこだ、どこだと探し続けた。
もうどれくらい経ったのか。わからない。
そんな時、僕の前に現れた、一人の女。
どこもかしこも色だらけだ。
(あぁ、こいつは色に塗れている。俗世間に溺れている)
僕が求めているものとは程遠いのに、何故か惹きつけられた。
顔を合わせ、言葉を交わした。
そんな時、僕の中に淡いピンクが生まれた気がした。
僕は世間に染まった。僕も色に染められてしまった。
それは紛れもなく、目新しい淡い初恋の色だった ━━ 。
帰りましょう!
あの頃に。まだまだ早熟。
ビビッドなワールドではない。
パステルが褪せるあの時に。