イケメン妖怪ハンターリックの冒険(黒幕編)
リックは古今無双のスケベな妖怪ハンターです。
ハンターの元締めが元の仲間のレックに殺されていました。
レックは嫌味で自信過剰で自分大好きで嫌いな人間はとことん虐める○の穴の小さい男でしたが、決して元締めを殺してしまうような悪人ではなかったと思うリックです。
(一体何があったにゃん?)
リックは愛妻の遊魔をつれて、ハンター仲間がたくさんいるススキノという町に行きました。
(何もかも皆懐かしいにゃん)
見覚えのあるネオン街に着き、感動して某艦長の台詞をパクるリックです。
「遊魔、危ないにゃん!」
いきなりどこかから弓矢が飛んで来ました。リックは素早く動き、遊魔と共に地面を転がって逃げました。
「来たか、謀反人め!」
ネオン管の向こうに女の猫又が現れました。でも決して○○○○○さんではありません。
好きな名前を入れて楽しんで欲しいと思う地の文です。
「お前はミケ! 生きていたのかにゃん!」
リックは目を見開きました。
「お前様、あの方はどういう方ですか?」
いきなりリックの襟首を捩じ上げる遊魔です。
「ああ、あんたに見捨てられた時は、死んだと思ったけどね!」
ミケと呼ばれた猫又はもう一度弓を引きました。
「遊魔、じゃれてる場合じゃないにゃん!」
リックは遊魔の手を振り解き、ミケが放った矢から逃げました。
「それより、謀反人てどういう事にゃん? 何で僕が謀反人にゃん!?」
リックは怒り心頭でミケを睨みつけました。
「元締めを殺したくせに、惚けるつもりかい、リック? その上、あんたを改心させようとしたレックまでその手にかけて!」
ミケの言っている事が理解不能なリックです。
(どういう事にゃん? ミケはどうかしてしまったのかにゃん?)
ミケとは確かにあんな事やそんな事をした仲ですが、捨てたのではなく、捨てられたのです。
しかも、ミケは乗り換えた男に殺されたと聞いていたリックなのです。
そこまで考えて、ようやく事件の全貌が見えたリックです。
「そういう事かにゃん。黒幕はあいつにゃんね?」
そして、遊魔を見ると、
「お前ら、やっちまいな!」
得意の子猫の術を発動しました。次々に遊魔の胸当てから子猫が現れます。
「おねいさーん!」
千匹の子猫達が一斉にミケに飛び掛りました。
「うわ、な、何をする!?」
たちまちミケは身包みを剥がされてしまいます。
「ああ、そんなとこを……」
ミケは悶絶しています。自主規制しました。
「はああ……」
とうとうミケは昇天しました。まさに文字通りです。
『リック、ありがとう。あいつの術から解放してくれて。今でも好きよ』
ミケは投げキッスをして天へと昇って行きました。
「お前様!」
また遊魔が激怒しました。リックは慌てて、
「遊魔、ある男にミケは殺されたにゃん。そして、そいつが事件の黒幕にゃん」
素早く真空飛び膝蹴りをかわしながら言いました。
「そうなんですか」
遊魔は笑顔全開で応じました。
「よくぞ見破ったな、リック」
不気味な声が告げました。リックは遊魔を庇って辺りを見渡しながら、
「やっぱりお前にゃんね、グフ!」
すると建物の陰からリックより遥かに大きい猫又が現れました。
片目に眼帯を当て、右腕に鉤爪を付けた海賊モドキの猫又です。
きっと好きな映画はあれだと思う地の文です。
「両目とも見えてるくせに何故眼帯を付けてるにゃん?」
リックは半目で尋ねました。するとグフは、
「うるせえよ! ファッションだよ、ファッション!」
唾をたくさん飛ばして言い返しました。そして、
「ほお、ミケより若くて可愛い女を連れているな。俺に寄越せよ」
下卑た笑みを浮かべました。
「お前様!」
遊魔が怯えてリックの背中にすがりつきます。
「誰がお前のような変態に渡すか! 遊魔は僕の最愛の子にゃん!」
リックは遊魔をチラッと見てからグフを睨みました。グフは、
「ふざけるな! 俺はお前の兄弟子なんだよ、リック! 兄弟子の言う事は絶対だろうが!」
今時流行らない王様ゲームみたいな事を言うグフです。
「寄越せって言ってるんだよ!」
グフがリックに突進しました。リックはスッと右手で何かの文字を書く仕草をしました。
「黄泉の国で、元締めとレックとミケに謝って来るにゃん、グフ!」
その途端、リックの指先から紅蓮の炎が激流のように噴き出しました。
「ぐあああ!」
グフはその炎に焼かれ、いなくなってしまいました。
「間違えたにゃん。謝って来なくていいにゃん。謝るだけでいいにゃん。来る必要はないにゃん」
リックは気取って言いました。
「お前様、遊魔は惚れ直しました!」
遊魔がリックに抱きつきました。
(また今夜もハッスルにゃん)
どこまでもスケベなリックです。
めでたし、めでたし。
また始まると思います。一旦、お開きです。