キャバレー
角瓶に入ったまやかしの琥珀がほろりグラスに虚ろに残る
ビロードの臙脂色のソファーをミラーボールが映射する
ボックスの中の戯れが夜毎に囀ずる社交場
ジャズとルンバとサンバのRHYTHM
サックスのうねりに搾り切ったオレンジが破裂する
歌謡曲が楽しげに寂寥を唄い上げる
ピンクのキャミに網タイと長い耳
バニーが運ぶのは異国の微笑と瞳の奥の嗚咽とフルーツ盛合せ
源氏がヒラリ蝶になりて蜜毒を吸出し憐れみの粉末を擦り付ける
狐と狸のあそび
いとをかし
「今宵は花金だからよ」
「……も死んだよ」
欲望と羨望と願望と失望
覆い被さる滅亡が
踊るジルバに益々華麗なステップを動かせる
チークで抱いた肩越しに指が食い込む
吐息は首筋に生温い郷愁を誘いこむ
薔薇色の期待が首輪を微弱に締め付ける
歓びの真紅の薔薇が千切ればらばらばララ
棘抜きになられた
嗚呼 美しいこと
終いはそっとそっとおやすみなさい
そっとそっとおやすみなさい




