回想Ⅱ その２日後 夜 そしてまた独り言
ピンポーン
「はーい」
ガチャ
『あ…』
「うお！！ これはお久しぶりで…」
『電気がついていたので… パーカーを返しに着ました』
「これはどうも… って…電気で確認って、そんなに近いんですか…？」
『あ、あああの…実は』
「ん？」
『…実は2部屋…隣でした…』カァー
「えええええ」
『びっくりですよね… あ…』
グゥー
「…ご飯…食べました？」
『え… いえ…』
「食べてきます？有り合わせですけど…」
『い、いいんですか？』
「どうぞどうぞ」
『ご馳走になります！』
ガチャン
『お…おいしい…』モグモグ
「そう言って頂けてうれしいです」モグモグ
『お料理、上手なんですね』
「高校の時から飲食店のバイト多かったんで 半分は自己流ですけど… あ、お茶入れますね」
『あ…すいません …ありがとうございます』
「俺のついでですから気にしないで」
コト コト
『料理できるところとか、そう言う気遣いするところとか 似てるなぁ…』ボソ
「…元彼に？」
『あ…！ すいません…なんで比べてるんだろ …気を悪くされましたよね…』
「あははは まだ別れて全然経ってないんだし、普通でしょ？ 気にしてないですよ」
『すいません…』
「…すいません より ありがとう の方がいいかな」
『え？』
「どっちでも良いでしょ？ なら ありがとう の方がお互いいい気持ちになる」
『…そうですね！ ありがとうございます！』
「いえいえ！」
『お優しいですね…』
「え？そうですか？」
『まだ全然面識少ないのにここまでして頂いて… ご…ありがたいです』
「あはは 俺はなにかの縁かと思ってますので… …いえ、変な意味ではなくデスヨ」
『ぷっ 声裏返ってますよ？』
「あははははは 参ったな…」
『あはははは 面白い人ですね』
「よく言われます…」
『お料理上手も言われますか？』
「んー あまり振舞ったことはないので」
『なるほど…』
「あんまり人呼びませんし」
『お料理…勉強したいです』
「まずは食べるとこから始めるのがいいと思いますよ」
『そうなんですか？』
「作り方とかは…まあ調べれば分かりますし、まずはこんな料理があるんだなぁと食べて経験するのがよいかと」
『なるほどなるほど…』
「いや、人様に教えるほど偉くはないですが… 自己流ですから」
『あ…あの…』
「ん？」
『勉強…したい』
「はい？」
『お料理…だ、だめ…？』
「あー 全然OKですよ！」
『本当ですか？！ ありがとう』
「うちに来れる日 連絡下さい 俺もその日大丈夫なら、料理つくって待ってますから」
『おおお ありがとうございます！』
「お安い御用で」
『…あ …連絡先…』
「あああ 忘れてました」
『あははは』
『でも、ご迷惑じゃないですか？ お金だってかかりますし…』
「んー 実はですね」
『え… は、はい…』
「一人分も二人分も、大して変わらないんですよ むしろ一人分って大変なんです」
『そうなんですか？』
「うんうん」
『じゃ、じゃあお言葉に甘えて… あ、じゃあその代わり』
「ん？」
『外食は奢ります！』
「ええええ… いいですよ…そんな…」
『人の料理も食べて勉強するべきです！ なので外食！ それとも…やはりご迷惑でしょうか…』
「ええ？！ いやいやいや全然！ むしろこちらがお願いしたいくらいで、ってなに言ってんだ俺…」
『ぷっ じゃあ決まりですね』
「じゃ、じゃあお互いの時間が合ったら行きましょうか… お言葉に甘えますし」
『はいっ』
「むぅう…」
「これは… いい感じじゃないか…」
「あっちすげえ積極的だぞ…」
「いいのか？ いいのか？ い、いや何がいいんだ…落ち着け俺」
「まずは飯友だ それから…いやそれは考えないでおこう とりあえず…飯だ！」
「しかしあの子… 何を考えているんだろう…」
「無防備すぎるのは元彼と照らし合わせているのか…」
「だとしたら…複雑…だ」
「今は… いいか…」
