一人悩む
友「……で?で? それでそれで???」
「いや、その日二人で酔い潰れてうちに泊まってって」
友「…なんもなし?」
「…なし 俺ソファーで寝たし あっちはベッド で、普通に起きてその日からもいつも通り… いや…」
友「!! なんかあったんか?!」
「週4で夕飯 週4で昼飯 月1で泊まりに来る様になった 風呂も入りだした …あ、いやもちろん一緒にじゃないけど」
友「仲良くなってるじゃねーか! 何でその方向に行けるんだ…」
「なーんか お互い吹っ切れた感じでかなぁ …で、なんか今の関係っぽくなった」
友「フラレた話っていうより、なんか惚気話聞いた気分だ」
「いやいや、しっかり玉砕してんだろ…」
友「なるほど…なぁ… こりゃあ難攻不落の要塞だな…」
「要塞と言うか空母というか…」
友「今なら攻略可能なんじゃないか? その要塞だか空母だか」
「…どうだろうなー」
友「もう近くまで着てんだろ 前回以上に武器も経験も充分 後は指揮官が攻め落とす合図のみ」
「…」
友「俺は今の状況、そう考えるね しかも…」
「…しかも?」
友「要塞はもう攻められてきてもいい様に、門を開けて待ってる」
「攻め時… ってことか」
友「もう充分内部攻略は終えていると思えるが…」
「 …ちょっと待て」
友「なんじゃい なんぼでも待ちまっせ」
「別に一緒に飯食ってきたのは攻略するためじゃねえ」
友「…そんなのわかってるよ じゃなかったらもっと前に突撃の号令が出てるだろ」
「その前に襲ってるかもな」
友「あの子お前の前じゃ完全無防備だからな 襲っても抵抗しなさそう…」
「おい… 変な想像するなよ」
友「はははっ 想像したのはお前じゃないのか??」
「…否定はせん」
友「膨らむ欲求はどう処理してんだか…」
「ってゆーーーか 何で俺の話なんだよ お前があいつのこと好きだって話じゃなかったか…?」
友「ああああ そうだったそうだった ついいつものノリで…」
「…まぁいいや で、他に何か聞きたいことは?」
友「…う~~~~む なんとなく分かった」
「むしろ怖気つかねーか? このタイミングでこんな話してもさー」
友「う~ん どうすっかなぁ…」
「ほらなぁ」
友「ちょっと考えておくわ」
「慎重にな ここはがお前の岐路だぜ?」
友「でも、その内告白するわ」
「…なんという鋼鉄メンタル ここまで聞いていくのか」
友「わからないだろー やってみなけりゃさ 俺に神の一手が舞い込んでくるかもしれん」
「一手だけじゃ勝てないぜ」
友「悪手は打たんさ」
「…健闘を祈るよ 勝って帰ってきたら祝ってやるよ」
友「ふーん …祝ってくれるのか?」
「な、なんだよ…」
友「…呪ってやる の間違いじゃなくて?」
「…バーカ」
「むーーーー」
「…」
「うーーーーん」
「…」
「解せぬ」
「何か納得がいかねえ…」
「友の告白にOKするかなあいつ」
「いや、それは… ないのかな」
「…断ってほしいって思ってるよな、俺」
「やってることと考えてること、完全に逆だなぁ…」
「でももし… もし、あいつが断ったら どうするんだ? 俺」
「告白…するのか、また…」
「俺、今すげーやな人間かも…」
「俺が…」
「告白したらどうなるんだ… うわ… 怖い…」
「怖いってこういうことか…」
「でも あんなこともあったし… 実際どうなんだよ、おい…」
「内定日のあれ…」
「だめだ…」
「どこが伏線かわかんねえ…」
「全てが伏線で 全てがただの日常のように感じる…」
「キス…は最初で最後だったな…」
「あれは…なんなんだ…」
「あーーー もうわかんね」
「…寝よう 明日仕事大変かもしれんし…」