第三話・堕天使の罪
じいさんから説教?を受けて数日、罪の意識は日に日に増していった。
フィオナへの罪、ジャンヌへの罪が僕の心を弱らせていた。
「セラフ~お昼寝しよ~。」
「あ、ごめん。今日は用事があるからカイルとお昼寝して。」
ウソだ。用事なんてない。
「お仕事?」
「う、うん。国王のところに行かなきゃいけなんだ。」
ウソだ。ジャンヌから逃げたいだけだ。
「そうか~、わかった。いってらっしゃい~。」
「うん、行ってきます。」
僕の心は、嘘と偽りで固められてるんだ。
ジャンヌの純粋で無垢で優しくて、愛おしい姿を見たくないから。
怖いんだ、愛する人を一瞬で亡くすのが。
フィオナ、ジャンヌは君にそっくりなんだ。
だから、とても壊したくなる。
「おい、堕天使。
なんで俺様のところに来てるんだ。」
「・・・少しだけ、王宮にいさせてほしい。」
「話とアドバイスぐういはくれてやる。」
「お言葉に甘えるよ、ウィーラ。」
僕はウィーラにジャンヌへの苦しみを話した。
コイツも長い付き合いで、最高の親友だろう。
「そうか、うん。
やることは決まってるから、俺には何も言えん。」
「え?それはないよウィーラ。
一応、困ってるんだよ。」
「っていうか、お前は答えを分かってるんだ。
ただ、分かりたくないんだな。
それは、うん、フィオナの姿があるからだ。」
「つまり?」
「その嘘は、仕方のない嘘だ。
でもな、もう嘘は十分なんだよ。
本当を、言いたいんだよ。お前は。」
本当を?
フィオナのことを?ジャンヌに?
それこそ今までの嘘の意味がなくなる。
「ウィーラは俺の家庭を壊したいのか?
俺の今までの苦しみを無駄にしろと?
守りたかったものを捨てろって言うのか?」
「はぁ。
お前はバカだな。
そんなんで家庭崩壊してたら、お前の妻なんてジャンヌちゃんはやれねえよ。
もっと、他人を見ろ。お前の愛する人は弱くない。強いんだ。」
「・・・すまんウェーラ、家に戻る。」
少しでも早く、伝えたい。この気持ちをジャンヌに。
「言葉遣い、直して戻れよ。」
大好きだ、ジャンヌ。この世で一番。