ailes d'ange -6
テスト投稿です
「それってもう」
ジャックの言葉を遮るようにダニエルが言う。
「そう言う事なんだと思う。
個である事に疲れたのかも」
「魂を生まれ変わらせたくないと」
「ああ。たぶん」
「でも個人のそんな願いで未来が見えないものになるのか。
まさか、お前」
「そんな事する訳ないよ。
それにもし彼女のその願いを伝えたら、天界の全てに知れ渡るはず」
「俺からも評議会へ連絡を入れる」
それでどうなるかはわからないが、ジャックは考えた。
神が不在の現状で評議会がどう動くのか。
『何もしない』
それがここ暫くの彼らの方針である。
介入禁止。
神が戻られるまで現状維持。
正確には、方針を示してくださる神が居ない今、彼らも動くに動けないのだ。
神は忙しい。
あちこちで世界を創り、破壊し、また創る。
それを繰り返している。
定例会でこちらに来た天使に話を聞いたところによると、同行した者たちはみな大変そうだった。
人間個人の思いで未来が見えないものとなるのは問題である。
彼らがどう判断するかはさっぱり分からないが、これは自分が知る限り、前例がない。
「今日はわざわざすまなかったな。
俺には『注意深く観察を続けるように』と連絡が有ったから、暫く様子を見る」
「ああ、何か有ったらすぐに知らせてくれ」
そう言ってジャックは消える様に去った。
問題は、何も無い、何も変化が無い場合である。