ailes d'ange -1
テスト投稿です。
最近天使が流行っている
雑誌やワイドショーで頻繁に話題に取り上げている
「ふぅ」
ひと段落終えてモニタから視線を外すし、凝り固まった首筋や肩を伸ばすように腕を回した。
「先輩、天使って1人に1人ついているんですって」
嬉しそうな声で隣の席の後輩が話し掛けてくる。
「最近流行ってるわね、その話題」
仕上げた資料を添付してクライアントへメールの送信ボタンをクリックすると、彼女は飽きれたように答えた。
「おいおい、見られたかもってどう言う事だよ」
ジャックと呼ばれている天使がもう1人の天使の肩を慌てたように掴んで言った。
「見えてるのかハッキリとはわからないんだけど、時々俺の方を見るんだ」
彼、ダニエルは続けた
正確には見えている訳では無い。
気配を感じているだけのようだ。
自分の目に映る全てから、色彩が無くなった事に気付いたのは何時だったか。
それは物理的な意味ではない。
赤は赤だと解るし、青は青だと解る。
だが確実に自分の心から色が無くなったのだ。
それでも美しいものを見れば、美しいとは思う。
だが何が足りないような、何かを通して見ているような不思議な感覚は否めない。
「見えてるって訳じゃないが、気配はバレてるって事か」
「そうらしい」
「何者かバレてないならいいじゃねえか」
「まあそうなんだが」
彼女は小さい頃の記憶が人よりも残っているタイプだ。
幼児の頃は誰でも人ならざるものが見えたり感じたり出来る。
ほとんどの場合成長と共に見えなくなり、見えていた、感じていた記憶も無くなる。
覚えていても、夢と思うほど希薄なものとなる。
だが彼女は違った。
天使は公平に愛さなければならない。
博愛でなければならない。
しかしながら1人の人間の一生を見ていれば、愛着もわくし、どうしても贔屓目になる。
天使と人間では時間の流れもその長さも違うが、それでも一生は長い。