冒険者業一日目終了
ここは天国だ。
長い年月をかけて厳選された植物群は俺の想像を超える魔力の活用方法をしている。
衝撃波を発生させ魔獣を弾き飛ばした大木。
単純にとてつもなく硬い草。
傷をつけた瞬間炸裂する果実。
大量に生成された綿で押し流してくる花。
仕留めた魔獣を近づけた時の反応が千差万別だった。
様々な植物が様々な方法でこの土地で生き残ってきたのだろう。
一見普通に見える植物も何らかの生き残るための能力がある。
とても素晴らしい環境だ。
ぜひとも研究したい。
ぜひとも俺の糧にしたい。
いっそのことここに住むか?
ギアァァァァァァァ!!!
さすがにそれは無理か。
探索中もずっと魔獣が襲ってくる。
クマ魔獣が三体。
魔法を発動されると面倒だから速攻で終わらせる。
「溶解樹液」で柔らかくして「連鎖貫木」で二体仕留める。
最後の一体はぎりぎりで魔法を発動。
体を凍らせ貫かんと迫る鋭い木を防ぐがもう遅い。
小規模な爆発を推進力としたハンマーで頭蓋を砕いて絶命させる。
これ以上は持ち帰れなさそうだしさすがにそろそろ疲れてきた。
よし!町に帰ろう!
魔改造植物で台車を組み立て、今日の成果をのせる。
でこぼこした地面に木の道を作り出し、からからと車輪のついた台車を蔓で引きながら街に帰った。
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「こ...こちらの討伐証明部位イノシシ魔獣11頭、狐魔獣4頭、クマ魔獣6頭、鹿魔獣2頭、精査完了ののち確かに受け取りました。こちら報奨金、及び昇級証明書となります。これからのご活躍、ご期待しております」
やったぜ冒険家業初収入だ!!
いや初ではないや。今日昼頃お兄さんたちに換金してもらったからそれが初か。
冒険者組合では魔獣の指定部位を討伐証明部位として買い取ってくれる。
クマ魔獣であれば爪、鹿魔獣であればつの。
特に役に立つ部位を冒険家たちに確実に持って帰ってもらう。
また、魔獣の過度の増加による人的被害の事前対策としてより多く魔獣を討伐してもらう。
魔獣はやたら好戦的で森を荒らし人を襲う。なので協会からも国からも積極的な討伐が推奨されている。
そして冒険者の強さの確認。
パーティーメンバー斡旋の際の指標にするそうだ。
実力の近い者同士で組ませたほうがトラブルが起きにくいらしい。
それら三つの目的で討伐証明部位を定め、窓口で換金してくれるようだ。
とにかく、これでやっと長期的かつ継続的な収入を得ることができた。
やったぜ今日はお祝いだー!ご馳走食べまくってやるぜー!
そして家族に仕送りだー!
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「すいません俺何か悪いことしましたか?」
「一応それの確認かな。悪いね。急に呼びだしてしまって」
町の屋台で豪遊しようとしていた俺はなぜか冒険者組合理事長に呼ばれ取り調べを受けている。
なぜだ?俺なんか規則破ったか?
理事長は優しそうなお爺さんだがムッキムキだ。たぶんもと冒険者だろう。
「登録から三か月、しかもそれから活動記録なし。
死んでしまったと思われていた新人の子が唐突に大量の魔獣討伐。
誰かが盗難届を捏造するかもしれない。
そうするとこっちも面倒くさいからねぇ。
だから先に確認しておこうと思ってね。
これは君自身が一人で倒して手に入れた物?」
「はい、間違いありません」
「方法は?差し支えなければ教えてほしい」
「植物魔法と自分で改良した種子によるものです」
「ほう。植物魔法使いか。
確かここのクマ魔獣は冷気を出す魔法を使うよね。
多くの植物魔法使いはこれを倒せない。
どうやって倒したんだい?」
「鎖で拘束して魔力を封じ小麦を大爆発させて倒しました」
「…おじさんうまく聞き取れなかったみたい、もう一回言ってもらっていい?」
「鎖で拘束して魔法を封じ小麦を大爆発させて倒しました」
「…聞き間違いじゃなさそうだねぇ。
そっか君かぁ昼前に森で爆発音がしたっていうのは。
それがわかったら大丈夫ありがとう。疑って悪かったね」
「いえいえ、お気遣いありがとうございます」
「いい子だねぇ。お詫びに飴ちゃん上げるよ。それじゃあ帰って大丈夫だよ」
「わぁありがとうございます!さようなら!」
やらかしたかと思ったがそうじゃないなら安心だ。
では改めて。今日はお祝いだー!




