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リベンジ

戦力強化に当たりまず行ったのは先人の知恵の拝借だ。

今まで植物の改造はほぼ我流で行っていた。

村にいたときは仕方がなかったが今はそこそこでかい町にいるんだ。

どんどんありがたく使っていこう。


店で結構な値段のする植物魔法講座の本を買った俺はさっそく新しい技術を見つけた。

「混成」である。その植物の特徴を抽出し、ほかの植物に加える。

言ってしまえばこれだけのことだが、俺にとっては革新的だった。

どうりでヤドリギが売れ続けるわけだ。混成の材料にもされているのか。


その他にも「操作」、「解析」などといった俺の知らないことがたくさん載っていた。

「急速成長」、「模倣複製」のように本に書いていて自分も使っているものも中にはあった。

だが、一つだけ俺がよく行っていてかつ載っていないことがあった。


それは魔力を種にぶつけるということである。

どういう理由か知らないが種に魔力をぶつけてから成長させると通常と異なる形に成長することが多い。

まともに成長しないものも多いのだが、まれに何らかの特徴が突出したものが生まれる。

その強い特徴を持った種を増やし同様のことを繰り返す。

こうして望んだ特徴の植物を生む。


なるほど。

ほかの植物使いが補助職とされるのは普通の植物を混ぜて操作するだけだからか。

俺はこれを使って過剰成長小麦、血液耐性ヤドリギ、肥大化つたなどを作ってたわけだが、

世の植物魔法使いは毒のある花粉、とげ付き操作つた、変形可能木製武器などで戦っている。

多くの植物魔法使いたちは植物魔法をサポートとして使っているのだろう。




その次は森で入手した植物の特徴の調査だ。

混成に用いるに値する効果を持つ植物を冒険者組合においてあった植物図鑑をもとに調べた。

載っていないものは自分でいろいろ試した。

やはり魔力の濃い土地で育つ植物はいろいろと奇抜な効果を持っている。

これほど改造しがいのあるものはない。




それらを終えたらひたすら森のはずれで実験を繰り返す。

種に魔力をぶつけ、都合のいい成長をする種だけを残す。

村じゃここでおしまいにしていたが、混成を知った今ならこれができる。

それを何度も何度も繰り返しできた種、その種の特徴を「混成」でほかの種に移す。

こうして複数の強い特徴を持った種を作り出せる。

さらにその種を「複製」し、また魔力をぶつけより強く、悪辣な効果を発揮するように厳選する。



ひたすら繰り返し、ようやく満足のいく種ができたのはあの日から三か月がたち、冬の終わりが感じられるころだった。





______




覚悟を決め森にやってきた。


いままで実験を繰り返していた森のはずれではなく、どんどん奥へ。


あの日奴と出会ったくらい深い森の奥へ。


道中遭遇した野生動物もイノシシの魔獣も、すべてを蹴散らしさらに奥へ。

もうすぐ魔境にたどり着くというところで奴は出てきた。

漆黒の毛の根本が白く染まっている。間違いない。

あの時小麦粉を浴びせて逃走したあの時のクマの魔獣だ。


グァァァァァァ!!!!


「お久しぶり!少しでかくなったな?」


奴も俺のことを覚えていたのか最初から全力で魔法を使ってくる。

全身が強く青に発光。冷気がはしり奴の周囲から氷が広がっていく。


奥の手を使えば一瞬ですりつぶせるかもしれない。

毒をまけばあっさり倒せるかもしれない。

仲間を作って袋叩きすればきっと簡単に仕留められるだろう。

でもこれはリベンジマッチだ。

そんなしけた殺し方をしたところであの敗北の記憶は払拭できない。


これはけじめだ。

天狗みたいに伸びた鼻をへし折ってきたこいつを、あの時と似た方法で倒して初めてあの屈辱を晴らせる。

あの時の俺とは違うってことをこいつを踏み台に俺自身に示す!


魔改造植物「つた」改め「木鎖」!

この前は凍らされて柔軟さを失ったから壊された。

だから凍っても固まらない鎖で縛る!乾いた木なら凍っても割れない!



木鎖で拘束したクマ魔獣に「ヤドリギ」改め「魔力喰らい」!

対象の硬さで防がれるヤドリギなんてもう古い!

付着した瞬間に全身の表面に広がり体外に出す魔力を奪う!

奴の冷気が引いていく。

魔法は体外に出した魔力を用いて発動する。

ならば発動前につぶせば魔法なんて怖くない!




魔法も使えず身動きも取れないただのでかくてかたいクマとなった魔獣にとどめを刺すべく、「爆発小麦」を奴の足元にばらまいて遠くに離れる。

過剰に肥大に成長し小麦粉がばらまかれる。

爆発はこのことじゃない。

爆発の名を関するのはこれから起こることだ。

小麦粉を飛ばし終わった穂の先に小さく発火の種が発生する。

大地の魔力を糧に生み出した小さな火花が...



ドガァァァァァァン!!!!



大規模な粉塵爆発を引き起こす。




「勝ったぜ見たか前の自分!雪辱は果たしたぜ!」


燃え広がらないように火消しの実をばらまきながら勝利の感慨に浸る。


こうして俺は冒険者としての第一歩を踏み出した。

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