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敵討ち

魔獣の対処は思ったよりもスムーズに進んだ。

なにせ葉翼蛇樹が飲み込むだけでたいてい倒せるからだ。

俺の知識の集大成、大量の魔力を用いて作り上げた大木の蛇は魔境深層に入ってからもすさまじい活躍をしてくれる。まあ操作してるの俺だけど。


深層の植物もたくさん集まってきた。

ほんとうに一つ一つが興味深い。きっと未知が盛沢山なんだろう。本当に来てよかった。

正直俺の目標はほとんど達成されたとみていいだろう。


だがカルラが深層を目指していた目的。

表層にずっと籠ってまで強くなろうと思っていた目的。


おじいさんの仲間の敵討ちが終わっていない。


だいぶ前に彼が話してくれた。


昔彼のおじいさんのパーティは深層のある魔獣によって半壊させられ、二人が死んでしまったそうだ。

その原因の魔獣はいまだ討伐された報告がない。


そう。当時最強と謳われていたパーティを半壊させた化け物が今もこの森にいる。

カルラはおじいさんの後悔を聞いたらしい。

だから敵討ちを目指していた。

魔法が使えない自分に生き方を、強さを教えてくれたおじいさんに恩返しをしたかったから。



素晴らしい心意気だと思った。感銘を受けた。

だから協力することにした。だから過剰なまでに鍛え上げた。

敵を共に討つために。


「来たぞ!」

「ああ!」


最深部と思われる場所にたどり着いた俺たちの前にそれは現れた。


伝説に謳われる龍。

神々しき輝きを発する巨大な翼。

全身を覆う煌びやかな鱗。

鋭い牙。長き爪。

奇しくも葉翼蛇樹と似た姿の、いや違うな。

俺が昔見た神話に出てきた龍そのもの。


生まれたときから魔獣である、魔獣として種が確立されている数少ない頂上生物。

野生動物から変化した後付けの魔獣ではない、先天的な生まれながらにしての魔獣。

生まれながらの絶対王者。

それが俺らの前に顕現した。


黒き森の中でただ一つ、黄金に輝く大樹の前。


グアァァァァァァァ!!!


「敵討ちと行こうか!カルラ!」

「ああ!!」


この森最強の存在との戦いが幕を開けた。



龍の翼がひときわ強く赤く輝く。

火か!業火が降り注ぐ。だが植物を従えてるからってこれで終わるとでも?

飲み込め!熱を喰らえ!炎も所詮魔力だ!

葉翼蛇樹に炎を飲み込ませる。知ってるぞ。空気がなければ物は燃えない!

魔力を吸収、炎を鎮火。これで大丈夫だ。


空が暗くなる。雷か!

高い木を即席で生成!雷を吸う。

直後に轟音。

木が真っ二つになった。なんて馬鹿げた火力だ。当たればお陀仏だな。


聞いていた通り当然のように種類の異なる魔法を使う。

なけなしの対空攻撃も簡単に防がれた。


ずっと飛ばれ続ければ勝機はない。

だから空からじゃこいつは殺せないと思わせろ。

効いている素振りなんてかけらも見せるな。

さぁ降りてこい。


勝負はそれからだ。

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