旅立ち
俺の家は農家だ。
とげの生えた近づくと硬い種が飛んでくるスミレに囲われた畑で穀物を育てている。
長い年月をかけて植物魔法によって品種改良された小麦は病気をものともせず毎年大ぶりの穂を実らせ、村の皆の腹を満たし、村の外への輸出品にもなっている。
村の人たちもいい人ばかりでいろいろなことを教えてくれる。
だが…
だが…
土地がない!
「このままじゃ俺の弟たちの分の畑ないじゃん。だから俺旅に出るわ」
「そうかいってらっしゃい」
「ハタにいまたねー」
…やけにあっさりした別れと共に俺は旅に出た。
越冬の中暇すぎて魔改造しまくった植物の種と共に。
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がこがこがこがこ
「乗せてくれてありがとうございます」
「いやーハタ君が旅に出るって聞いたときは驚いたよ。弟君たちのためだって?」
「はい。あの人数だと土地の分配でもめるのは目に見えてましたから。
それに世界の植物を見て回りたいって昔から思っていたので、俺が外に出てくのがちょうどよかったんです。」
今俺は定期的に交易に来る行商人のベガルタさんの馬車に乗せてもらい、近くの大きめの町に向かっている。
「それもまた親孝行だねぇ。ところで行く当ては?何かつく仕事とか考えて…おっと。
魔獣が出たみたい。魔法隊が対応するからちょっと待っててグレーヌ君」
「俺が倒しますよ。旅に出るにあたって鍛えてましたから。」
「そうかい?じゃあ頼むよ」
さっそく出番だぜ魔改造シリーズ「ヤドリギ」!
魔力を込めながら種を地面にたたきつける。
生えてきた弓と矢に「ヤドリギ」をつけ魔獣めがけて放つ!
よっしゃヒット!
「おーあたった!すごいねハタ君」
「これからが本番ですよ!ヤドリギ起動!」
「えっなにそれ?」
撃ち込んだ種が魔獣の中で急速に成長する。
魔獣の血肉と魔力を糧に大きく伸びた根によって魔獣は討ち取られた。
「ふふふ…俺、魔改造植物を使って冒険者としてやってこうと思ってるんです」
おやみなさん大口を開けていらっしゃる。
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魔物の死体の栄養を吸い取って咲いた地味な花から種を採取していると、呆然としていたベガルタさん達が復活した。
「えっなにその種?めっちゃ便利じゃん!いくらで売ってくれる?」
「ヤドリギのことですか?これ植物魔法使えない人が使うとたぶん暴発して自分に生えますよ?」
「あっぶな!いやでも全世界の植物魔法使い渇望の品じゃん!やっぱ売れるよこれ!」
交渉成立!
交渉の詳細や注意すべき点、栽培方法などを話している間に馬車は町へと到着した。
「ほかによさげなの出来たらぜひうちに卸してくれない?言い値で買うからさ」
「わかりました。ここまで乗せていただきありがとうございます!」
思わぬ旅費が手に入ってホクホクした俺は少しよさげな宿をとり馬車の疲れをいやすべくふかふかのベッドで安眠した。




