君という宝物
夜の街を歩いていた時、ふとした風にあの匂いが混じった。
春先の花の甘さとも、冬の朝の冷たさとも違う――君だけの匂い。
胸の奥に沈んでいた熱が、一瞬で蘇る。
記憶と体温が重なって、俺は思わず立ち止まった。
俺にとって、君と過ごした時間はすべてが宝物だ。
どんなに喧嘩をしても、最後には二人で笑い合えた。
くだらないことで声を荒らげた夜も、手を取り合って眠れば、朝には愛しさしか残らない。
その積み重ねが、どんな言葉よりも強く「君で良かった」と教えてくれる。
強く抱き寄せた時、胸の奥から確信が溢れる。
――あぁ、俺は愛している。心の底から、君だけを。
けれど、愛が大きすぎると怖くなる。
君を失うことを考えるだけで、息が詰まる。
だからこそ俺は、今この瞬間を大切にしたい。
未来に怯えるよりも、ただ君の笑顔を目に焼き付けていたい。
「今だけ見れればいい」
―そう思えるほどに、俺は君に溺れている。
君は、ふとした時に見せる仕草がたまらなく愛らしい。
無邪気に笑う横顔も、真剣に考え込む時の眉の寄せ方も、すべてが俺を惹きつける。
その度に俺は、何度でも心を奪われ、惚れ直してしまうのだ。
君のすべてが愛しい。
弱さも、強さも、笑顔も、涙も。
全てを抱きしめたい。全てを守りたい。
その想いに浸るたび、俺はただ一つの言葉に辿り着く。
「……永遠に愛している。俺の心は決して変わらない。」
そう囁くと、君は静かに笑い、俺の腕の中で呼吸を重ねる。
その温もりを確かめながら、俺はもう一度思うのだ。
――やっぱり、君で良かったと。