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第17話 禁書庫へ

それから、しばらくのあいだ。


 神殿での奉納騒動、そして王の前で語られた“祈りのかたち”の余韻は、まるで秋の風のようにヴィンクルムの中を吹き抜けていった。


「──はい、ノム三枚のおつりです! また来てくださいねっ!」


 エーリの元気な声が店のカウンターを越えて響く。ミヤビはその様子を奥から見つめながら、軽く息をついた。


「だいぶ板についてきたね、エーリも」


「……褒められた……!」


 にっこりと笑って、エーリはコインを指先で弾く。その仕草はどこか、歌を紡ぐような軽やかさを帯びていた。


 けれど。


 その明るさの奥に、あの日──神殿で響いた、あの“旋律”の断片が今も残っていた。


 ピアノが不意に輝き、不死鳥が現れたあの日。ディスプレイに映し出された古代の言葉──「不完全」。


 あれは、いったいなんだったのか。


 答えのないまま、時だけが流れていた。


 そんな日々のなかで──エーリは、少しずつ変わっていった。


 王宮での奉納以降、彼女の名は城下に広まっていた。“あの旋律”を歌い上げた少女として、貴族たちの夜会にもたびたび招かれるようになったのだ。


「……あ、来週はまた夜会、だそうです」


「すごいね。もう完全に“売れっ子”じゃん」


 露店の片付けをしていたとき、何気なくそう口にしたミヤビに、エーリはちょっとだけ頬を赤らめた。


「べ、べつに……行きたいわけじゃないですよ。行かないと、なんか……怒られそうで」


 拗ねたように口をとがらせる彼女に、奥の方で帳簿を締めていたアルトが小さく笑った。


「……それも立派な社会的責任というものですよ」


「うぐ……アルトさん、そういうの冷たいんだよなあ……」


「それに──」


 アルトはふと視線を上げる。カウンター越しの窓の向こう、王城の尖塔が夕陽に染まっていた。


「……国王陛下が“隠れファン”でいらっしゃるという噂もあるっ!」


「ちょ……なにそれ!? 聞いてないんだけど!?」


「下世話な噂話ですよ。気にする必要はありません」


「気にしちゃうっての……!」


 そう言いながらも、どこか照れくさそうにエーリは笑った。その横顔は、ほんの少しだけ、大人びて見えた。


──その日の閉店後。


 いつものようにカウンターを拭いていたミヤビのもとに、エーリがこそこそと紙袋を抱えて近づいてきた。


「オーナー。えっと、その……これ、受け取ってほしいですけど」


「ん? なになに……って、えっ!? これ、ミスリル包丁!?」


 ミヤビが思わず声を上げた。青銀色に輝く刃は、魔力を通しやすく、料理人の間では“憧れの一本”と呼ばれている逸品だ。


「えへへ……夜会のギャラが入ったから。日頃の感謝ってことですっ」


「うわあ……ありがとう、エーリ! これ、大事に使うよ!」


 ミヤビは目を輝かせて包丁を構え、さっそく切れ味を試したくなっている様子だ。そんな様子を見て、エーリは満足げに頷いた──が。


「で、アルトさんには、これっ!」


 そう言ってもうひとつの小箱を差し出す。中には、光沢のある黒曜石と銀細工であしらわれた、重厚なカフスボタン。


「……ほう。なかなかの趣味ですね」


「でしょ? 絶対似合うと思って!」


 だがアルトはカフスを手にとったまま、やや真顔で言った。


「しかし、場面としてはネクタイピンが妥当だったのでは?」


「え〜!? せっかく選んだのにー!」


「貴女とは──またまた、ウマが合いませんね」


「ちょ……! じゃあ返して下さい!」


「いえ。これはこれで──なかなか」


 そう言って、すました顔で懐にしまう。


「……ほんっと素直じゃないな〜アルトさんは」


 呆れたように笑うミヤビに、アルトはほんのわずかに口角を上げた。


「……私に、何か?」


「いえいえ。こっちのセリフだよ」


 閉店後のヴィンクルムは、すっかり静まり返っていた。ランタンの灯がゆらりと揺れ、まだ片付けの途中だったカウンターに、ミヤビは腰を下ろしていた。


 その隣で、エーリが小さな文鳥に指を差し出す。


「それにしてもさ……この子、節目節目で出てくるよね。しかも、ただの鳥じゃないし」


 ぴ、とアウリスが一声鳴いた。まるで話題にされていることをわかっているかのように。


「まあ……そうだね。気づいたら、何かあるたびに近くにいてくれる」


 ミヤビは微笑んで肩をすくめた。


 すると、奥で帳簿を締めていたアルトが口を開いた。


「……“アウリス”という名は、本来、音楽の神アウラに仕える御使の名です」


「え?」


 ミヤビがきょとんとした。


「知らなかったのですか?」


「え、うん……なんとなく響きが綺麗で、それっぽいなって思って……」


 エーリが、箒を持ったまま固まる。


「ちょ、待ってよ。それ知らずに名付けたんですか? 逆に何者なの、オーナー……」


「いやいや、そんな大したもんじゃないから……」


 ミヤビが苦笑する中、アウリスはちょこんとミヤビの肩に飛び乗り、安心したように丸くなる。


「でも──やっぱり気になるよね。あの歌と、あの古代文字。ピアノの反応……」


 ミヤビの言葉に、エーリが小さく頷く。


「……前に院長先生が言ってた。あの歌の譜面、昔どこかで見たって」


「どこで?」


「たしか、大聖堂の地下……」


 エーリが言いかけたとき、ミヤビはふと思いついたように顔を上げた。


「じゃあ──院長先生に、このピアノ、弾いてもらえばいいんじゃない? 何か反応あるかもだし」


 沈黙が落ちた。アルトは何も言わず、眼鏡を指先で押し上げた。その仕草は、いつもより少しだけ、深く思慮に沈んでいるように見えた。


「……それは、確かに一考の余地があります」


「よし、じゃあ──」


 ミヤビは立ち上がり、笑った。


「明日、ヴィンクルムに来てもらおう。ちゃんと、お願いしてさ、馬車も予約しなきゃ」


 アウリスが、ぴ、と鳴いた。どこか、その声は嬉しそうだった。


 朝の光が差し込むころ、店の扉が控えめにノックされた。


「おはよう、ミヤビさん。約束どおり来たわよ」


 扉の向こうに立っていたのは、深い青のローブに身を包んだ女性だった。品のある立ち姿と静かな眼差しが、どこか神殿の気配を感じさせる。


 マリナ=エルディナ・クローヴァンス──かつて神殿で最年少で上級神官となった経歴を持つ、今年で六十五歳。いまは城下の丘にある孤児院の院長を務めている。


「来てくださってありがとうございます、マリナ院長」


 ミヤビが頭を下げると、彼女は優しく笑んだ。


「あなたが“あのピアノを見てほしい”と言ってきたとき、正直ちょっと驚いたのよ。まさか、あの曲に関わりがあるなんて」


「……はい。実は、あの歌の旋律が、ここで不思議な反応を起こしたんです」


「ふむ……」


 マリナ院長が視線を移すと、奥のカウンターのほうからエーリが顔を出した。


「あっ、院長……!」


「あらエーリちゃん、今日はお仕事の日?」


「うん。夜会はお休みだから。……でも、こんな形で会うのは変な感じかも」


 エーリが照れくさそうに笑う。マリナ院長も目を細め、嬉しそうに言葉を返した。


「あなたがあの童謡を歌ってくれるなんて、なんか嬉しいわ」


 その言葉に、ミヤビが反応する。


「やっぱり、あの曲……不思議です。以前禁書庫で見た譜面とか……」


「ええ。随分昔の話になるけど、まだ神殿にいたころ、偶然見つけたの。あの頃は私でもあの書庫に入れの。古い本だったけど、妙に心に残る旋律だったわ。だから……孤児院の子たちにも、ただの“童謡”として教えていたの」


「他意はなかった、ってことですね」


 アルトが静かに言うと、マリナ院長はすっと頷いた。


「ええ。ただの綺麗な曲だと思っていたのよ。まさか……それが、何か神々に関係しているのかしら」


 ミヤビは、奥のピアノに目を向けた。


「それを、確かめたいんです。このピアノが反応した理由を──あの旋律の“続きを”」


 マリナ院長は無言で頷き、ピアノへと歩み寄る。アウリスが鍵盤の上に止まり、じっと見つめ返した。


「……この子、ずいぶんと不思議な目をしているわね。まるで、神の側からこちらを見ているよう」


 そっと腰を下ろし、静かに鍵盤に指を置く。


 やがて、指先が旋律を奏で始めた──


 カタカタカタ。


 やはり音は出ない。


「あら、この子、鳴くのが怖いのかしら……それとも……」


 するとアウリスがマリナ院長の肩にとまった。


 ブーン……!


 水晶板に淡い光が走り、ピアノが起動する。音が鳴り始めた。


「やはりこの鳥……」


アルトが息をのむ


「いい子ね」

 マリナ院長は微笑むと、指先をもう一度鍵盤に走らせる。心地よい可愛らしい童謡が、ヴィンクルムを包んだ。


 しかし曲が終わると、水晶板には古代マニール文字で──


 ──《不完全》


「……あらまあ」


 マリナ院長が、かすかに眉を下げて言った。


「記憶していたとおり、あの譜面と同じ“終わり方”。でも……最後のページまで見たんだけどね、他には何もなかったわ」


 ミヤビがそっと息を呑む。アウリスが静かに羽を揺らした。


「……じゃあ、行くしかないですね」


 彼の声は、いつになくはっきりとしていた。


「禁書庫へ」


(王都・大聖堂地下 禁書庫前)


 翌朝。石畳の大聖堂を背に、三人は静まり返った回廊を歩いていた。


「……地下にこんな通路があるなんて知らなかった」


「神殿直属の保管区域ですからね。一般の信徒や観光客が目にすることはありませんよ」


 前を歩くアルトが淡々と答える。


「でもさ……本当に入れるの?」


 不安そうにエーリが尋ねると、アルトは一瞬だけ微笑んだ。


「ご心配なく。すべて手配済みです」


 その先──分厚い石扉の前に、二人の衛兵が立ちはだかっていた。


「止まれ。禁書庫への立ち入りには、第三階位以上の許可証が必要だ。見学はおろか、申請者の同行も不可だ」


「申し訳ないが引き返して──」


「──クローヴェルの名で提出済みです」


 遮るようにアルトが歩み出る。黒の手袋越しに懐から書簡を取り出すと、王印の封蝋が陽の光を受けてきらりと光った。


「国王グスタフ・キア・マニール陛下、宰相ユリシウス=アリスベルト閣下よりの発令です。禁書庫、第二格納層への短期立ち入り。同行者二名、確認済み」


 衛兵の目が見開かれる。


「へっ陛下にユリシウス様……!?」


 書簡を読み取ったもう一人の衛兵が、わずかに姿勢を正す。


「……確認しました。お通りください。ご案内を──」


「結構。場所は把握しておりますので」


 それだけ言って、アルトはすたすたと階段を降り始めた。ぽかんと口を開けていたミヤビとエーリが、そろって顔を見合わせる。


「……なんなんだよ、ほんとにこの人……」


「無敵かも、アルトさん……」


 二人が慌てて後を追いかけると、前を歩くアルトがちらりと振り返った。


「……ただの事務処理です」


 さらりと言って、彼はまた黙々と階段を下りていった。


 軋む音を立てて開いた扉の向こう──そこはまるで、時間そのものが沈殿したような場所だった。


「うわ……」


 ミヤビが思わず声を漏らす。冷えきった空気のなかに、幾層にも積み重なった巨大な書架群が並び、見上げるほど高い天井からは、魔石の光が青白く灯っている。


 空間全体が、呼吸を拒むかのように静まり返っていた。


「……すご……これ、全部、資料?」


「ええ。神歴以前のものを含めて、禁書庫にはおよそ七万点が収蔵されています。全て原本。複写禁止、閲覧は許可階位による厳格な管理下」


 アルトが淡々と解説しながら、指先で一冊の書物を示す。その表紙には、錆びついた金属のチェーンが絡んでいた。各冊子すべてに“封印具”が施されている。


「……全部、こんなふうに縛られてるんだ」


「はい。“知識の暴走”を防ぐためです。ここにあるのは、理論、呪術、神名、記録、音律構造まで……扱いを誤れば、国家が吹き飛びますから」


 エーリがごくりと息を呑んだ。


「じゃあ……どうしようか、どこから見れば……」


 ミヤビが周囲を見渡しながらつぶやいた、そのとき。


 ふわっ


 彼の背中のバッグが、ひとりでに揺れた。


「……え?」


 思わず振り返ると、バッグの隙間から、ふわりと小さな影が飛び出す。


「──ピィ」


 ひょっこりと顔を出したのは、文鳥のアウリスだった。


「え、ちょ、ちょっと待って!? さっき身体検査あったよね!? あのときいなかったよね!?」


 ミヤビがあたふたする隣で、エーリも目を見開く。


「ずるい! 完全にノーチェックだったじゃん!」


 アウリスはぴっと鳴きながら、ひとつの書架に向かってふわふわと飛んでいく。その姿を見ながら、アルトはため息交じりに呟いた。


「……まぁ、想定の範囲内ですね」


「これ……どう? “神名関連文献・旋律編”って書いてある」


「うーん、それらしいですが……こっちの“音響構造術式大全”のほうが、該当しそうな気がします」


 ミヤビとアルトは、肩を並べて書架の間を歩いていた。巻物や分厚い書物の背表紙をひとつひとつ確認しながら、必要なキーワードを探している。


 ある古い本を開くと、難解な文字列が並んでいた。


「えーと……これ、やっぱりアレ?」


「古代マニール語ですね。──“双神の律動、その循環の果てに”。“ひとつの旋律はふたつの魂を結ぶ”……続きは……」


 一方その頃──


 エーリは最初こそ、真剣な顔で本を数冊手に取っていた。しかし、古代文字ばかりの文章に頭をかかえ、ため息を三つついたのち──


「……もう、無理」


 そう呟いて、中央の読書用ソファにどさりと腰掛けた。


 全体を見下ろせる、少し高くなった位置。そこから、無数の書架と封印の鎖、そして沈黙の空間を見渡していた。


「……ふーん、禁書庫って、ほんとに全部、鎖付きなんだ」


 ぼんやりと天井の魔石灯を見上げながら、ふと視線を横に流す。その先に──ほかの鎖とは微妙に“違う動きをしている”ものが、あるような気がした。


「……エーリさんも、真剣に探してください」


 やや低めの声で、背後からアルトが静かに苦言を呈した。


「はーい」


 エーリは気のない返事をして、ソファからひょいと立ち上がる。そして、ふらふらと足を引きずるように、隣の書架へと向かっていった。


「だって難しいんですよ、私には……。古代文字なんてほとんど読めないし、封印ついてるし、みんな重いし……」


 ぶつぶつ文句を言いながら、適当に背表紙を眺めていると──


「あれ?」


 一冊だけ、妙に明るい色合いの本が目に留まった。周囲のくすんだ革表紙の群れの中で、それだけがほんのりと淡い水色を帯びている。


「……え、なにこれ……かわいい……」


 恐る恐る手に取ってみると、金の装飾が施された小ぶりな本。表紙には繊細な刺繍模様と、くるんとした可愛らしい蔓草のモチーフ。まるで、童話集か絵本のような装丁だった。


「え、こんな仰々しい書庫に、こんな子がいるの……ギャップかわ……」


 思わずほころぶ口元。けれど──ページをめくった瞬間、笑顔は一時停止した。


「……文字、ガッツリ古代文字かーい!」


 ばしっ、と本のページを軽くはたきながら、エーリは突っ込んだ。


「アルトさーん、これ訳してくださいよ〜」


 エーリが気軽な声で手を振ると、少し離れた棚の影からアルトが現れる。


「……仕方ありませんね」


 いつもの調子で呟き、彼はエーリの隣に立って本を覗き込んだ。


「“ひとりの神が 妹に歌を贈る”──」


 古代マニール語を読み上げるアルトの声が、徐々に低く、張りを帯びていく。ページをめくる指先が慎重になる。


「……これは……“音楽の神が妹である水の神に贈った旋律”。恐らく、詩と旋律が融合した“神律記譜”の形式……!」


「それって──!」


 ミヤビが息を呑みながら駆け寄ってくる。


 そのときだった。


 ふわっ


 書架の上から、ひとすじの金の羽が舞い降りる。


「っ──!」


 三人が振り返るより早く、文鳥だったアウリスの身体が黄金の光を帯びて宙に浮かぶ。


 そして──静かに、ゆっくりと、本の上へ降り立ったのは“不死鳥の姿”のアウリスだった。


 その瞬間、禁書庫の空気が変わった。沈黙。重圧。揺れる魔石の光。


 まるで、神の記憶が、呼び起こされるのを待っているかのようだった。神聖な空気が流れていた。


 本の上に、黄金の光を帯びた不死鳥──アウリスが静かに降り立ち、禁書庫全体がその存在を“感じて”いるかのような、重い静寂が支配していた。


 ミヤビは思わず息を止め、アルトですら言葉を失っていた。


 その中で──


「ねえ、アウリス」


 静かに、けれどためらいなく、エーリが口を開いた。


「不死鳥になったからって、思わせぶりすぎじゃない? ……これ、絵本だよ?」


 ──ピシッ


 空気が、一瞬で割れた。不死鳥アウリスが、ぴくっ……と羽根を震わせた。金色の光がかすかに弱まり、首がぎこちなくこちらを向く。


 ミヤビ「えっ」


 アルト「……」


 エーリは、完全に真顔だった。


 アウリスが、ミヤビの肩の上に戻ろうと羽ばたきかけ──途中でふらりと軌道を逸らし、そっと書架の影に引っ込んだ。


「いや、ちょっと、そんな顔しないでってば!」


 エーリが慌てて手を振る。


「そんな“がーん……”みたいな背中しても、フォローしづらいからっ」


 ミヤビが苦笑しながら、「……アウリス、傷ついてない?」と小声で尋ねる。アルトは眼鏡越しに一言だけつぶやいた。


「……意外と繊細なんですね、あの鳥」


 アウリスが書架の影に引っ込んだあと、ほんの数秒、沈黙が落ちた。


「……いや、しかし」


 その空気を破ったのは、アルトの低い声だった。


「今のは冗談抜きにして……この本、やはり只者ではありません」


 彼はもう一度、ページに目を落とし、慎重に指でなぞるように読み始める。古代マニール語の細かい詩文が、ところどころ欠けながらも、独特のリズムを持って並んでいた。


「……“みずのおチビちゃん すいすいすい”……」


 片言のように、ひと節ずつ読み上げるアルト。


「“おとのおねえちゃん ぴかぴかぴー”……」


 それは、まさしく──


「……えっ」


 エーリが小さく声を漏らす。ミヤビが、そっと問いかける。


「エーリ?」


「これ……あの歌……まったく一緒……!」


 息を呑んだミヤビが、思わず本をのぞきこむ。アルトが顔を上げて、静かに言った。


「間違いありません。……これです。この絵本が、マリナ院長が見た“あの歌”の原典です」





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次回「おねえちゃんといっしょ」 禁書庫で見つけた古びた絵本。隠された旋律は深い姉妹の愛で結ばれていた。

7日(火)21:00更新 

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