余白の花
あの優しさは真っ白な舟だった
本当の希みがいつも空の向こうにひろがっていたから
わたしはその舟に乗りいつも心の底から泣いて笑って冒険の旅に出ていた
あの優しさは真っさらな余白だった
その余白の中でわたしは深呼吸をして
光をみつけられていた
あの優しさは真っ白な画用紙だった
手渡された画用紙に花を
水彩の絵の具で花の絵を、
画用紙といえども人生にふりかかるは砂の日もあればコンクリートの日もあるかしら
それでも時間をかけて砂さえ足元に硬めながら空へと根を張ってゆけるかしら
そんな風に咲いてゆけたら 素晴らしいね
一雫、一雫、あの雨がゆっくりと沁み入れば
いつか 一凛、一輪と花は咲く 花は咲くと
真っ白なあの画用紙に花の絵ばかりを
何度も描いていたように
真っ白なあの舟に乗ってただ潮騒を聞いていたように
ただ一凛、一輪と心の花を海に投げていった